銀魂 / Gintama

『銀魂』とは、空知英秋が手掛ける『週刊少年ジャンプ』(集英社)の漫画である。『週刊少年ジャンプ』(集英社)では2004年2号~2018年42号、『ジャンプGIGA』ではvol1~vol3、そして『銀魂公式アプリ』にて連載し、完結した。テレビアニメでは、2006年よりスタートし、2018年まで367話分が放映された。
主人公坂田銀時をはじめとして、志村新八、神楽の三人で「よろず屋」を営み、困ったことがあればなんでもするというコンセプトでさまざまな事件、相談を解決していくというものになっている。基本スタイルとしてはギャグ系であるが、内容が進むにつれバトルシーンなど、シリアスモードに移行していくこともある。
時代背景としては、鎖国時代が終了した江戸時代終盤が舞台だが、「天人」と呼ばれる者たちにより江戸が支配されたことでテクノロジーが進歩したものとなっている。その結果人々は江戸時代の様相のままだが、江戸の街はビルが立ち並んだりなど、まるで現代の東京のような風景となっている。

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銀魂 / Gintama
9

銀魂は熱血ヒーローものではなく、寄り添うタイプの少年漫画だ。

銀魂は、空知英秋によって「週刊少年ジャンプ」で2004年から2018年まで連載された漫画である。週刊少年ジャンプといえば友情・努力・勝利のキーワードに代表されるように、主人公がレベルアップを重ね仲間と共に成長していく…そんな熱血ぶりが定石だが、銀魂には、その少年漫画らしい熱血さとは別の売りがある。物語の舞台は、江戸の幕末。「天人(あまんと)」という宇宙人の襲来によって、幕府は傀儡政権となっていた。主人公の坂田銀時は、かぶき町で万事屋を営んでいる、普段は無気力な27歳。その万事屋に、廃刀令によってすさんだ道場の復興を目指す志村新八が加入し、さらに戦闘部族の神楽も転がり込んでくる。1〜3話完結のショートストーリーが基本で、コメディ要素が多いが、物語が進むにつれて真選組動乱編などの長編ストーリーや主要キャラクターの死など、シリアスな展開もみられる。また、パロディや時事ネタが多く、他作品を連想させる作画やセリフが絶えない。それゆえアニメでは「偉い人に怒られる」とキャラクターに謝罪させるシーンもある。一見危なっかしいこれらの作風。しかし作者は、銀魂だからね、で許される空気感を読者と一緒に作り上げた。銀魂には明るい性格の登場人物が多いが、過去に攘夷戦争に参加していたり身内を亡くしていたり、それぞれに背負っているものがある。単なる熱血漫画ではなく、この人間臭いリアリティが漂う作風こそが、読者を味方につけている。さらに、2011年の東日本大震災の直後に公開された作品では、銀時と仲間たちが1列に並んだイラストと共に、「悲しい事がたくさん起こって 前向きになんてなれない時もあると思いますが そんな時は 気負わず横でも向いてください みんなついております、みんなで一歩ずつ前へ 進んでいきましょう」というメッセージが添えられ、注目を集めた。笑いあり涙ありの銀魂は、熱血ヒーローものではないが、寄り添って軽く肩を叩いてくれる、兄弟のような漫画だ。