蟻の王(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『蟻の王』とは伊藤龍が2015年6月より『月刊少年チャンピオン』で連載を開始した作品である。主人公の亜久里四郎は喧嘩負けなしの地元で有名な不良である。しかし、彼には日本で最も権威のある財閥の総帥、六道鬼三郎(りくどう きさぶろう)の血が流れていた。六道鬼三郎が亡くなり、その運命に巻き込まれていく中で四郎が成長を重ね、どんな困難にも果敢に立ち向かっていくサバイバル・バトル漫画である。

『蟻の王』の概要

『蟻の王』とは、2015年6月より伊藤龍が『月刊少年チャンピオン』で連載している漫画である。原作は塚脇永久となっている。単行本の発売は2015年12月からとなっており、2021年11月では13巻まで発売されている。
自らの道を突き進む人間たちを「蟻」という独特な表現をし、その蟻の王を目指す人々の生きざまを描く。今までの不良漫画とはスケールが異なっており、不良少年VS国家権力にまで話は大きくなっていく。
日本有数の財閥である六道財閥の総帥、六道鬼三郎が亡くなり、鬼三郎が残した莫大な遺産のせいで亜久里四郎(あぐり しろう)の生活が一変する。元々、四郎はお金などの資産に少しも興味がなく、誰かに命令されるのは非常に嫌いな性格であった。そこで、六道財閥の根古長吉(ねこ ちょうきち)に遺産相続拒否を提案されるが、それを拒否したことで全てが動き出す。日本有数の財閥が仕掛けてくる様々な試練を一切諦めずに向かっていき、そんな四郎が蟻の王になるために成長していくバトル漫画となっている。

『蟻の王』のあらすじ・ストーリー

主人公「亜久里四郎」の正体と待ち受ける運命

六道財閥の総帥である六道鬼三郎が亡くなり、彼の総資産数千億円は3人の子供に相続されるはずだった。しかし、鬼三郎には4人目の子供が存在した。それが主人公の亜久里四郎である。四郎は鬼三郎の愛人の子供であるため、世間には認知されておらず、質素な生活を送っており、地元では誰も近寄らないほどの有名な不良少年であった。そんなある日、四郎の目の前にかつて鬼三郎に仕えていた根古長吉という老人が現れ、遺産相続を放棄するように提案された。四郎は遺産そのものには興味がなかったが、しかし誰かの指図を受けるということが嫌いだったため、その申し出を拒否する。根古長吉からの報告で四郎に遺産相続を放棄する意思がないことを知った鬼三郎の3人の子供たち、六道龍太郎、六道静流、六道霧男は邪魔な四郎を殺すべく、様々な刺客を送り込んでくる。今までの四郎は喧嘩相手に満足できず、退屈な日々を送っていたため、生死を彷徨うような試練に心を弾ませて立ち向かうのであった。

末弟「六道霧男」 VS 「亜久里四郎」

まず最初に四郎の排除に乗り出したのだが、鬼三郎の末弟である六道霧男だった。彼は、亜久里四郎を殺すべく自身の部下に拉致させる。しかし実際に四郎と会って彼の雰囲気などに鬼三郎の面影を感じた根古長吉が、霧男の邪魔をして四郎を逃がしてしまう。そのことに腹を立てた霧男は、四郎に1億円の賞金をかけて、街中の不良に始末してもらうゲームを始めたが、喧嘩慣れした四郎の首をとることができた者は一人もいなかった。

不良たちから逃げる中で、四郎は公園の隅にある教会に逃げ込んだ。そこをアジトにしようと考えていると、神父の娘の「ミハル」と出会う。ミハルの協力を得て六道財閥への反撃を狙う四郎が公園を探索している最中、ミハルを盗撮している数多くの監視カメラの存在に気づいた。仲間となったミハルを守るためにその犯人を排除しようと考え、探し出すことにした。監視カメラの角度や位置などから、犯人のアジトを推測し探し当てると、犯人は「小鉢」という少年だった。しかし、小鉢は「肉原」というミハルのストーカーを監視するために、カメラを設置していたのだった。四郎は小鉢からそのストーカーからミハルを守るように頼まれる。そこで四郎は小鉢に対して、六道財閥への反撃に協力することを交換条件にミハルを守ると約束し、小鉢を仲間に引き入れる。そして、四郎はストーカーを殴り飛ばすという形で見事に排除し、約束を果たした。

六道財閥現総帥「六道龍太郎」への宣戦布告

四郎は六道財閥の現総帥である六道龍太郎に宣戦布告をするべく準備を進めているが、なかなか公の場に顔を見せない龍太郎に近づくのは簡単ではなかった。そこで、たまたま見かけた新聞で六道財閥の主催するパーティに龍太郎が出席することを知った四郎は、パーティ会場に潜入することを考える。考え付いた計画は六道霧男になりすまし潜入するという方法だった。四郎は霧男が入院していると知り、その病院に突入し、霧男と彼を守るナズナを強引に連れて逃走する。四郎を殺そうとしていた霧男だったが、彼は龍太郎のことも良く思っていなかった。四郎の計画を聞いた霧男は彼に協力することを決めて、四郎のパーティ潜入をサポートした。

無事にパーティ会場に足を踏み入れた四郎が龍太郎を捜索していると、龍太郎がライバル財閥である三界財閥の御曹司、三界星之介を殺害したところに出くわした。龍太郎と星之介は幼い頃からの親友であったが、龍太郎は自らの野心のために親友でライバルの星之介を謀殺したのだ。四郎はその現場で龍太郎に襲い掛かるが、鍛え上げられた龍太郎との圧倒的な力の差を見せつけられ、完敗してしまう。そこで、龍太郎の口から四郎の母の「亜久里千鶴子」を殺したのが龍太郎だということを知り、激怒する。だがその場で龍太郎にやり返すことはできず、ボロボロの四郎は長吉によって救出された。長吉に抱えられて脱出する際に、四郎は龍太郎に宣戦布告をする。

六道歌謡祭へ潜入

四郎は龍太郎を倒すために、霧男の力が必要だと考えた。パーティの潜入を手伝ってはくれたが、霧男は完全に仲間となったわけではない。そこで霧男を説得し、その結果、霧男とその護衛のナズナは仲間になった。

龍太郎に中々会う機会がない中で、霧男から六道財閥が主催する歌謡祭の表彰式に龍太郎が現れることを聞き、四郎は歌謡祭でグランプリを取る計画を立てる。四郎はミハルが地下アイドルであることを知っていたため、彼女を利用して歌謡祭への出場しようと考えたのだ。ミハルを歌謡祭に出場させるため、プロデューサーにミハルを近づけさせるが、そのプロデューサーは立場を利用してアイドルを食い物にしていただけで、実際のところは何も権力を持っていなかった。そのため、歌謡祭への出場の計画は失敗してしまった。

二度目の宣戦布告

歌謡祭への出場の計画が失敗した四郎は、今度は自分たちでアイドルグループを結成して歌謡祭への出場しようと考えた。そこでまず、六道財閥が経営している六道テレビのワイドショーに乱入し、四郎は三界財閥の星之介を殺したのは自分だと宣言し、龍太郎に年末の歌謡祭へ出てくるように宣戦布告をする。その様子をテレビ局内の別室から六道静流が見ていた。静流は、強引なやり方ながらも人を惹きつける四郎が六道鬼三郎の血を色濃く引く継いでいると実感し、興味を持ち始める。
また一方で、三界財閥の人間は、星之介を殺したという四郎に激しい怒りを感じ、彼のいる六道テレビを包囲するのであった。そんな中、四郎はミハルをカメラの前に連れていき、歌を歌わせると、日本人離れした声量と美しい歌声に六道静流を始めとしたテレビ関係者すべての人たちが魅了された。ミハルのアイドルとしての素質を周囲に知らしめた四郎はその後、六道静流を人質にして、テレビ局からの脱出を試みる。三界財閥の人間が局を包囲している状況下での脱出は容易ではなかったが、静流が龍太郎を倒そうとする四郎に興味を抱き、脱出の協力をしてくれたため、無事四郎は脱出を成功させた。

三界星之介の死

六道龍太郎は六道が主催するパーティーにて、三界財閥の御曹司である三界星之介を殺害した。蟻の王を目指す龍太郎にとって、三界財閥は邪魔なものであり、それが親友であっても容赦をしない。しかし、龍太郎を追っていた四郎が偶然にもその殺害現場に居合わせてしまったため、世間には星之介を殺害した犯人は四郎であると報道されてしまった。その報道を聞いた三界財閥の人たちは、報道を信用せず、龍太郎が殺害したと疑っていたが、六道テレビのワイドショーで四郎が星之介を殺したと公言し、四郎は三界財閥からも追われる身になってしまった。

六道龍太郎、中国へ

龍太郎は中国の蟻の王とされる人物に会うために中国へ渡った。しかし、中国へ到着しても蟻の王には中々会えず、様々な策を試行錯誤していた。そこで、中国人を煽る策として、フードファイトを開催。道行く中国人を余裕で倒していくと、煽られて腹を立てた蟻の王の使いが龍太郎の元にやってきた。そこから、潜伏先に案内され、真っ暗な地下へと進んでいった。案内人とひたすら進む中で、いきなり案内人が倒れて死んでしまった。真っ暗闇の中に取り残されてしまったが、龍太郎の目の前には死んだはずの三界星之介が現れた。その幻である星之介の助けにより、龍太郎は出口へと無事たどり着いたのであった。外に出ると死んだと思われていた案内人が目を覚ました。実はその方が蟻の王であった。蟻の王は脱出できた龍太郎をさらに試すために、龍太郎自身の手で大型の爆弾を爆発させて龍太郎の反応をみた。龍太郎は笑顔を見せていた。その胆力をみた蟻の王は、龍太郎の潜在能力の高さを認めるのであった。

三界輪一郎の死、新時代へ

中国から返ってきた龍太郎にある訃報が知らされる。それは三界財閥の現総帥、三界輪一郎が亡くなったことであった。元々、身体は弱っており、余命幾ばくも無い状態であったが、死因は自殺だった。敵国であるアメリカの預言者が病で輪一郎が死ぬということを予言していたため、その予言を覆すために自殺をしたのであった。その死に顔は悪だくみの笑顔であり、敵国アメリカをあざ笑っているかのようだった。その訃報は四郎にも伝えられた。四郎は輪一郎の葬儀への出席をするであろう龍太郎に会うために、葬儀への潜入をする。その葬儀では、龍太郎は上手く三界財閥を丸め込み、六道財閥の傘下に入れてしまい、益々勢力を拡大していくのであった。

『蟻の王』の登場人物・キャラクター

主要人物

亜久里 四郎(あぐり しろう)

本作の主人公。地元で有名な不良少年で、近づくものは誰もいなかった。日本で最も権威のある六道財閥の総帥、六道鬼三郎の息子であり、他の3人の子供は養子のため、鬼三郎の血を引く唯一の存在。不良になってしまったのも、自分より強い相手と戦うことを求めて、喧嘩をし続けた結果で、相手は強いほうが良いという理由から六道鬼三郎の3人の子供と衝突する。

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