獣王星(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『獣王星』とは1993年から2003年にかけて樹なつみが『LaLa』『メロディ』で連載した長編サバイバルSF漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。
テラフォーミングが完了し、もう一つの星系・バルカン星系に人類が移住して太陽系との二大星系時代が到来した未来。エリート階級の暮らすコロニーで生まれ育った少年トールは両親を殺され、異形の植物が跋扈する死刑星・キマエラに追放されてしまう。真実を知るべく、トールが過酷な運命に翻弄されながらキマエラのトップ「獣王」を目指す姿を描く。

『獣王星』の概要

『獣王星』とは1993年から2003年にかけて樹なつみが『LaLa』『メロディ』で連載した長編サバイバルSF漫画、およびそれを原作としたアニメ作品である。2006年にフジテレビの「ノイタミナ」枠にて全11話でテレビアニメが放送され、KinKi Kidsの堂本光一が主演声優を務めたことで話題になった。テレビアニメ化をきっかけにザギを主人公にした特別編『DEATH GAME』が『メロディ』5・6月号に掲載された。
物語はトールがキマエラに落とされ四つの集団「輪(リング)」の一つ「茶・輪(オークル・リング)」の頭(トップ)となるまでを描いた11歳編を第1部、トールがキマエラのトップ「獣王」となり家族の仇であるオーディンと対峙、自身の出生とバルカン星系の真実を知るまでを描いた15歳編の2部構成になっている。
惑星を地球と同じ環境に改造する技術「テラフォーミング」によって居住可能となったもう一つの星系・バルカン星系に人類が移住した未来。バルカン星系のスペースコロニー「ユノ」に暮らす少年トールは両親を殺され、弟のラーイと共に死刑星キマエラへ追放されてしまう。両親を殺害し、二人をキマエラへ追放したのはトールの父と親しかったバルカン星系の首相オーディンだった。キマエラは異形の植物が存在する過酷な自然環境を持つ惑星で、キマエラに落とされることは殺すも同然のことだった。そこで生き残るには「獣」になるしかないという環境に、はじめは「獣」になんかなりたくないと思っていたトールだったが、コロニーで暮らしていた頃の常識がまるで通用しない星に徐々に生きるために誰かを殺すことをためらわなくなる。キマエラでの過酷な日々を送る中弟を失ったトールは、キマエラの住民である少女ティズと青年サードに助けられ、彼らの仲間に加わることになる。
何故両親は殺されなくてはならなかったのか、オーディンの目的は一体何なのか、トールは真実を知るべくキマエラのトップ「獣王」を目指すことを決意する。
始めは家族の仇を取るため、様々な仲間達との出会いや闘いを経て「獣王」となる道を歩むトールだったが、物語が進むにつれてだんだんバルカン星系や惑星キマエラの抱える秘密がトールの運命と関わってくるようになり、終盤には驚愕の事実が明かされ、トールはキマエラだけでなくバルカン星系の運命を背負う存在になっていく。
様々な魅力溢れるキャラクター、惑星キマエラの過酷な自然環境、トールに襲いかかる過酷な運命。何もかも失いながらも前へ前へ進むトールの姿は、生きる勇気を与えてくれる。

『獣王星』のあらすじ・ストーリー

第1巻

1章 キマエラへの追放

エリート階級のみが住むスペースコロニー「ユノ」に暮らすトールは、弟ラーイと将来の夢について語り合う

地球から150光年彼方に存在する、恒星バルカンを中心とした星系「バルカン星系」。バルカン星系では10の惑星と2つのコロニーが存在し、惑星は全て地球と同じ環境に改造する技術「テラフォーミング」によって人類が住めるようになっていた。主人公トールは双子の弟ラーイと科学者である両親と共にバルカン星系連邦スペースコロニー「ユノ」に暮らしていた。トールはパイロットとなって150光年彼方にある太陽系第三惑星地球へ行くことを夢見ていた。プラネタリウムで地球や自分達が暮らすバルカン星系を眺めていた二人は、互いの将来について話す。ラーイはバルカン星系に暮らす人類の寿命の短命化に疑問を抱いており、研究所に入ってその原因を突き止めようとしていた。「だから研究のためにトールと共に地球へ行く」と話し、トールも「一緒に行こう」と約束する。プラネタリウムの後家へ戻った二人は、両親が殺害されているのを発見する。そこへバルカン連邦軍の特殊部隊が現れ、二人を麻酔ガスで眠らせてしまう。
目が覚めたトールは、シャトルの脱出ポッドの中にいた。脱出ポッドの声はトールにこれからキマエラという惑星へ追放されることを告げる。「キマエラなんて聞いたことが無い」と戸惑うトールに声は「キマエラはトップシークレットとなっている惑星で、重罪を犯した人間のみが落とされる過酷な自然環境を持つ『死刑星』だ」と語る。さらに声は「両親を殺害しトール達を追放したのはバルカン星系の首相で両親と親しかったオーディンだ」と告げる。「キマエラに追放されることは殺すも同然。生き抜く為には『獣』になるしかない。生きたければ殺せ」と声は言い残し脱出ポッドを射出させる。

脱出ポッドから外に出たトール達は、そこで本物の海やジャングルを目にする

ポッドから脱出したトールとラーイは、落とされた先のキマエラで本物の海やジャングルを目にする。辿り着いた先の砂漠で二人は男達と出会う。男達の下卑た瞳にトールは薄気味悪さを感じる。二人は男達に連れられて「茶・輪(オークル・リング)」の支配する街に着く。キマエラでは、肌の色で区別された四つのテリトリー「輪」(リング)が支配していた。しかし、「輪」(リング)に所属するにはリーダーである頭(トップ)とその補佐を務めるセカンド・サード達に認められなくてはならないため、大半の住民達は「輪」(リング)の街で暮らしていた。
男達は二人を売り飛ばそうと企んでおり、その事を知ったトールはラーイを連れて逃げる。逃げた先の森で二人は男達に囚われるも、トールは持っていたビームナイフで男の一人を刺してしまう。そこへキマエラの森に暮らす浮浪の子供・野童(やどう)達が現れ、片方の男は逃げる。人間性を失った獣そのものの瞳を持つ野童達にトールは怯えるが、そこへザギという少年が現れ二人を助ける。トールは初めて人を殺した感覚に震え上がるが、ザギは「この惑星では弱い者が死ぬのが正義であり、トールは正しいことをしたのだ」と告げる。

野童に囲まれた二人の前に現れるザギ。彼もまたキマエラに追放された囚人の少年だった

ザギはバルカン星系でも辺境星域の出身で、キマエラに追放される前はバルカン星系の第二惑星ヘカテの刑務所にいた。ザギは二人にキマエラという惑星について色々教える。追放された囚人は野童達と関わらないが、ザギは野童の子供達の中に溶け込んでいる珍しい囚人だった。ザギが庇護者(ガーディー)となり野童の元で暮らすことになった二人だったが、大人しく気の弱いラーイは足を引っ張ってばかりだったため野童達から暴力をふるわれ、トールはラーイを庇って怪我を負ってしまう。そんなトールにザギは「キマエラで生き残りたければ弟を捨てろ」と忠告する。ラーイの気が弱い性格を見抜いていたザギは「どのみちラーイは死んでしまう」と冷酷に言い放つ。獣になることへの恐怖心と自分達をキマエラへ落としたオーディンへの憎しみから、絶対生き残るとトールはラーイを連れて「白・輪」(ブラン・リング)へ向かうべく野童の巣から出る。

茶・輪(オークル・リング)のテリトリーに知らず足を踏み入れていた双子は、茶・輪(オークル・リング)のセカンドとメンバーに見つかってしまう

しかしキマエラで生き残る為にトールは人を殺すようになり、我儘で泣き言や文句ばかり言うラーイにとうとう怒りを爆発させてしまう。トールがラーイを殺そうとすると、そこへ「茶・輪(オークル・リング)」の大人達が現れる。彼らは輪(リング)の掟に背いていると二人を捕らえようとする。トールは逃げ口を作る為にコロニー製のビームナイフを渡すふりをして大人達を攻撃し、その隙に逃げ出すことに成功するも体力が限界を超えて倒れてしまう。そこへ一人の少女・ティズが現れて彼を助ける。

2章 ティズ、サードとの出会い

砦で目を覚ましたトールは、キマエラ人の少女ティズと出会う

ティズはキマエラでも数少ない女性の一人で、現在は女性のみの集団「黄・輪・女」(サン・リング・フィメール)の代理の頭(トップ)を勤めていた。水を分けてもらう為に「茶・輪」(オークル・リング)を訪れていたのだが、そこでトールと遭遇したのだった。ティズの前に「茶・輪」(オークル・リング)に所属する青年サードが現れ、二人は交渉する。トールが「茶・輪」(オークル・リング)のセカンドと二人のメンバーを倒したことをサードから聞かされたティズはトールを気に入り、「自分の『夫』に選ぶ」と宣言する。
トールは「茶・輪」(オークル・リング)の砦に運ばれ、目を覚ます。ラーイの行方が気になったトールはティズに尋ねようと砦の部屋から出るが、初めて見る砦の建物に驚く。そこでサードと出会い、彼からラーイが無事逃げたことを聞かされほっとするトール。頭(トップ)に処刑されることを不安に思うトールだったが、「ティズがトールを『夫』に指名したことで処刑を免れた」とサードは話す。キマエラでは女性の数が少なく貴重な存在な為、女性は相手を選ぶ権利があり、受けた男性は指名を断ることができない。驚いたトールは「自分の運命は自分で決める」とサードの元を飛び出す。建物の中を迷っていたトールはそこで「茶・輪」(オークル・リング)のメンバーに絡まれるがティズが現れてトールを庇う。しかしトールは「これは自分の問題だ。それに女の子に興味なんて無いから『夫』にもなれないし自分の事は放っておいてくれ」と彼女を突っぱねる。

ラーイを探すため外へ飛び出したトールだったが、砦の外にあるムーサの沼にはまってしまう

外へ向かおうとしたトールだったが、砦周辺に広がるムーサの沼にはまってしまう。ムーサはキマエラに存在する巨大樹で、茶・輪(オークル・リング)の砦はキマエラの中でも最も古くから存在するムーサの森にあり、沼にはムーサの腐葉土が積もっていた。そこへティズが追いかけてくる。
ティズは自身を侮辱されたことに対し頭に血が上っており、「さっきの言葉を取り消せ」と迫るがトールは「好きでもないのに結婚なんかできない」とはね付ける。すると砦の前に広がるムーサの沼に異変が起こり、まだ小さい芽でしか無かったムーサ達が一斉に巨大化していく。「発芽」が始まったのだ。二人の諍いを遠くから観察していたサードは「まだそんな時期では無いのに」と驚く。ムーサは砦のあちこちを破壊しながら次々と発芽していく。ちょうど発芽の瞬間にトールとティズは巻き込まれてしまい、トールはティズの腕を掴み何とかムーサにしがみつく。

自分を離すようティズは訴えるも、「『獣』になりたくない」という思いからトールは彼女の手を離さない

自分を離すようティズは訴えるが、「彼女の手を離したら自分は『獣』になってしまう」とトールは傷の痛みを堪えながら手を離そうとしない。そこへエアバイクに乗ったサードが二人を助ける。
「何故自分を助けたのか」と尋ねるティズに、トールは「自分自身の為だ」と答える。トールの行動を理解できないティズだったが、彼に命を救われたという恩から代理で勤めていた「黄・輪・女」(サン・リング・フィメール)の頭(トップ)を辞してトールの下につくことを決意する。
傷が癒えたトールは、弟ラーイの身を案じ探しに行くことにする。そこへ野童の森から出てきたザギと再会するトールは、彼からラーイが死んだことを知らされる。

トールは再会したザギから、弟のラーイが死んだことを知らされる

あの後必死に逃げていたラーイは、地底へ続く穴に転落死した。その最期を目撃していたザギは、ラーイが持っていたムーサのにおい袋をトールに渡す。「ラーイはどのみち死ぬ運命だった」と語るザギにトールは突っかかるも「ラーイは誰のせいでもなく幻影に怯えて死んだ。トールもそれを理解していたからこそ見捨てたんだろう」と言い放つ。ザギの言葉に何も言い返せないトールに、彼は「二度と自分に敵意を向けるな」と言い残しその場を去る。
トールは自分がラーイを殺したのだと後悔に苛まれるも、自分達をキマエラへ追放したオーディンへの憎しみから両親と弟の仇を取るために復讐を誓う。

3章 トール対チェン

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