アクダマドライブ(アニメ・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『アクダマドライブ』とは、2020年の秋に放送されたクライムアクションアニメである。アニメーション制作は、『東京喰種』シリーズを制作したstudioピエロが担当した。このアニメは、犯罪者つまり悪役がメインキャラクターとして登場する。犯罪者達に届く殺人鬼救出の依頼メールから始まる物語。犯罪とは無縁だった1人の一般人も巻き込まれ、事態は大きく動いていく。警察と犯罪者が戦うシーンは迫力満点。アニメの中に出てくる大阪モチーフの街並みも見どころである。

『アクダマドライブ』の概要

『アクダマドライブ』とは、2020年に放送されたクライムアクションアニメである。アクダマドライブの監督は、『BLEACH 千年血戦篇』も担当した田口智久。アニメーション制作は、『東京喰種』シリーズを制作したstudioピエロが担当した。このアニメでは、アクダマと呼ばれる犯罪者が猛威をふるっているカンサイが主な舞台となっている。物語は、一般人の仕事帰りという平凡な光景から始まる。この一般人は、これから想像もしていない出来事に巻き込まれていく。アクダマ達に届く殺人鬼救出の依頼メール。カンサイ警察署で処刑される予定の殺人鬼を救出するためにアクダマ達はカンサイ警察署に集うことになる。集まったのは、運び屋、喧嘩屋、医者、ハッカーの4人のアクダマである。偶然、その警察署にいた一般人は、4人のアクダマ達と出くわしてしまう。殺されそうになったが、自分は詐欺師だという咄嗟についた嘘でなんとか危機的状況を回避する。4人のアクダマ達に、一般人、殺人鬼も加わり物語は進んでいく。警察とアクダマが戦うシーンは迫力満点。アニメの独特な世界観の街並みや、運び屋がバイクを乗りこなすシーンなどたくさんの見どころがある。アニメを視聴した人の評価としては、アニメの世界観や、疾走感のある展開が最高だという声も多い。

『アクダマドライブ』のあらすじ・ストーリー

500円を拾っただけなのに

アクダマと呼ばれる犯罪者がはこびる町、カンサイ。ごく普通の一般人の女は、この日も定時に会社を終え、帰り道にたこ焼き屋さんでたこやきを買った。すると先客の男がいた。その男は500円玉を落とした。一般人が男に500円玉を落としたことを伝えると、落ちたお金は縁起が悪いと言って受け取らずにバイクでどこかへ行ってしまった。そうこうしているうちに、たこ焼き屋のおばちゃんが一般人にたこ焼きができたことを伝える。おいしそうなたこ焼きだ。一般人は、このアニメの世界で流通しているハンコ電子マネーでたこ焼き代を払おうと思ったのだが、このお店は現金でしか払えなかった。一般人は、その時、現金を持っていないことに気付く。手のひらには、あの男が落とした500円玉。しかし、一般人は正義感からかそのお金を使うことができなかった。たこやき屋のおばちゃんは、食い逃げをする気だったのかとかなり怒ってしまったようで、挙句の果てに警察へ連れていかれる。

500円玉を落とした男は「アクダマ」と呼ばれる犯罪者で、運び屋だった。いつものように犯罪の依頼を受けて淡々と仕事をこなしていた。すると、謎の依頼メールとカバンが届く。内容は報酬1億でそのカバンを届けてほしいとのことだった。
ミナミ区高架下空地にも、アクダマがいた。喧嘩屋である。この喧嘩屋は、大量の警察ロボットをどんどんと倒していく。この喧嘩屋のもとにも謎のメールが届く。内容は報酬1億円で殺人鬼の救出を依頼するものだった。
カンサイの雑居ビルにいたアクダマにも「殺人鬼救出依頼メール」が届く。このハッカーは、どんな厳重なセキュリティーも潜り抜けられるほどの頭脳の持ち主だ。
カンサイのキタ区上空の電車のような乗り物の中にいたアクダマにも、同様のメールが届く。このアクダマの職業は医者だったが、突然倒れた人に対していきなりメスを入れるようなサイコパスだった。

こうして、運び屋、喧嘩屋、ハッカー、医者の4人のアクダマがそれぞれの能力を生かして殺人鬼救出のため、動き出す。
殺人鬼のいる場所はカンサイ警察署である。

推定懲役967年の殺人鬼救出

先ほどこの警察署に連れていかれた一般人は、聞く耳を持たないロボット警察に無実を主張している。急に窓ガラスが割れて、壊れた警察ロボットも吹っ飛んできた。あのアクダマ達がのりこんできたのだ。4人のアクダマ達は、難なく最初の警察署の入口の警備を突破した。彼らはお互いに協力することなどなく、互いに出し抜こうとしていた。
4人が署内で初めて顔を合わせると、一触即発の戦いが始まろうとしていた。そこに、署内に迷い込んだ黒猫を追いかけてあの一般人が来てしまった。一般人を殺そうとするアクダマ達に対し、彼女はとっさに「自分は詐欺師」だと嘘をつく。「アクダマリストにのっていないのも、騙したからだ」と嘘を言うと、アクダマ達は信じてしまった。アクダマの1人であるハッカーはすごいと感心している。なんやかんや危機的な状況から逃れられたと思ったら、今度は警察署の特大ロボットが、攻撃をし始めた。地下牢獄も、その攻撃で壊れた。するとそこに収監されていたチンピラが、アクダマ達の任務依頼の報酬額が1億円だということを偶然耳にし、彼らの後を追う。アクダマ達の襲撃を受けて、警察側は、急いで殺人鬼を処刑場へと運ぶ。公開処刑であるため、たくさんの人々が集まっている。あと1秒で殺人鬼が処刑されるというギリギリのところでアクダマ達が登場した。アクダマ達は、依頼通りに殺人鬼を救出し、運び屋は依頼メールに書かれていた通りに謎のカバンを殺人鬼に渡した。アクダマ4人と殺人鬼1人、アクダマ達の後を追っていたチンピラ、そして一般人と一般人が助けた黒猫。殺人鬼は居合わせた彼らの首に唐突に爆弾が仕掛けられた首輪をつけた。一般人は自分はアクダマではないから巻き込まないでと言いそうになると、黒猫がニャーっと大きな声で鳴いて一般人の声をかき消す。

そして唐突に黒猫が「全員、揃ったようだね」と言葉を発した。

新たな依頼

この黒猫はどうやらロボットのようで、声の主は別の場所にいるようだ。この声の主こそが黒幕であり、今回の任務はアクダマ達のポテンシャルを試す試験のようなものだったらしい。アクダマ達、一般人、チンピラは黒幕から、カントウとカンサイを繋ぐシンカンセンの積荷を奪うという新たな任務を課された。報酬額は10億である。シンカンセンが停車するカンサイステーションの警備は鉄壁だ。積荷をのせたシンカンセンには窓や扉はなく、唯一の侵入経路は荷物の搬入口だけである。しかも登録されていない荷物は焼き尽くされるシステムまである。シンカンセンの中も外も厳重な警備が施されている。

黒猫ロボットから任務についてアクダマ達が話を聞いていると、カンサイ警察処刑課の2人組がアクダマ達を追ってやってきた。1人は師匠で、もう1人はベテランの弟子である。アクダマ達の即時死刑を宣告すると、アクダマと警察の戦いが始まった。この警察2人もなかなか強く、互角な戦いの末、戦いに勝敗はつかずに終わった。

緊迫の20分間

今回のアクダマ達が奪うシンカンセンの積荷とは、金庫である。シンカンセンがカンサイステーションに停車している20分間だけは、いつもはロボットの見張りがつけられているカンサイステーションの入口に人間の護衛がつけられるのだ。つまり鉄壁なカンサイステーションに入り込む隙が生まれるということだ。
そこから一般人が運送会社の人のふりをして護衛を騙し中に入る。上層階と地下にシンカンセンのホームに行くことの出来るエレベーターを起動させる赤いボタンがある。上層階と地下の2つのボタンを同時に押さなければエレベーターは起動しない。
そこで、上層階の赤いボタンを押すのはハッカー・一般人・殺人鬼の3人チームで、地下の赤いボタンを押すのは医者・喧嘩屋・チンピラの3人チームに決まった。運び屋は1人で別行動である。上層階チームと地下チームは秒単位で決めた時間に合わせてボタンを押さなければならない。
上層階チーム、地下チームの両方が赤いボタンまであと一歩の場所までたどり着いた。しかし、赤いボタンの周りには近づいたものを凍らせてしまうようなシステムが張り巡らされていた。決めた時間まで残りわずかという状況で、上層階のボタンは一般人がナイフを投げて押し、地下のボタンはチンピラが体当たりで押した。起動したエレベーターに乗って、なんとかシンカンセンの停車しているホームに行くことができた。

シンカンセンに乗り込めたアクダマ達がやるべきことは、シンカンセンに積まれた金庫を奪うことだけだ。しかし、10分後にはシンカンセンは先の戦争で爆弾が落とされて生まれた汚染された空間である絶対隔離領域に突入する。そこで汚染されたものは、カントウについた際に消毒ゾーンで分解されてしまう。もちろん人間も汚染されているのなら分解され、肉体はなくなってしまう。カントウに到着する前になんとか金庫の元へたどり着き中を開けてみると、中にはお金ではなく男の子1人と女の子1人が入っていた。

子どもたちが背負った過酷な運命

アクダマ達の任務はまだ終わっていない。この2人の子どもをカンサイの指定された場所まで連れていくまでが任務である。一方で、警察処刑課はアクダマ達を処刑するため総動員され厳戒態勢に入った。シンカンセンでのアクダマ達との戦いで深手を負った警察処刑課の師匠と弟子の2人は病院にいた。上層部からは、謹慎処分が出されたが、師匠は1人でアクダマ達の処刑に向かう。まだ傷も治っていないにも関わらず、喧嘩屋との戦いは激しかった。雨の中、戦いが更にヒートアップした結果、喧嘩屋と処刑課の師匠両者が死亡した。残りのアクダマ達(運び屋・殺人鬼・医者・チンピラ)と一般人、子ども達2人は、目的地に着いた。そこは廃墟の街の中にあり、赤いボタンを押すと、地面からエレベーターが出現する。着いた先は、地下にあるバンパクパークだった。

バンパクパークに着いた子ども達2人は、自分達の正体について語り始める。この男の子はキュウシュウプラントで人体実験を毎日のようにされていた。キュウシュウプラントには、男の子だけでなく、たくさんの子ども達がいた。ある日、いつも行われていた男の子の実験が行われなかった。実験が終わった後にいつも行っていた、子ども達が集まる体育館のような場所に行くと他のたくさんの子ども達の姿が見当たらない。そのときこの施設の「校長先生」と呼ばれる人物から、「不老不死に必要な特殊遺伝子を持つ子どもを製作し、およそ2500体をプールで濃縮。その中で作られる子どもは不老不死になることを確認した。すなわち君だ」という衝撃の一言が発せられた。この男の子もたくさんの子ども達の犠牲から生まれた不老不死の存在だったのだ。体育館からいなくなってしまった子どもたちは、不老不死の子どもを作る材料となる。こうして女の子が作られ、男の子と同じように不老不死の存在となった。目的地についた男の子と女の子は、自分達が商品としてシンカンセンに乗せられてカントウに送られるのを避けるため、ロケットに乗って誰も追ってこれないであろう月に逃げようと思っていた。しかし、アクダマである医者が、警察処刑課の上層部と裏で繋がっていた。処刑課達がバンパクパークまでアクダマ達を追ってやってきた。ロケット発車まであと何秒かのところで、男の子は女の子と一般人だけをロケットに乗せて逃げられるようにした。ロケットは月までは飛ばずに直ぐに落ちてしまったが、一時的に処刑課から逃れられた。チンピラは、この状況から自分にとって誰につくのが有利になるのかを見極め、医者と行動することにした。

カンサイの町は、アクダマが指名手配されたことで混乱に陥り、民衆は暴徒化し始めていた。
一般人は女の子を守りながら逃げていたが、そんな中で運び屋と運良く再会できた。女の子が男の子の元へ行きたいと言うので、運び屋に頼み、男の子がシンカンセンに乗せられてカントウに運ばれる前にカンサイステーションへ向かった。

記憶のユートピア

カンサイステーションに到着すると、運び屋と一般人、女の子、男の子を連行してきた処刑課と男の子、さらに男の子を手に入れ不老不死の研究をするために医者とチンピラまでやってきた。警察と裏で繋がっている医者が圧倒的に有利な状況だった。しかし、医者がチンピラの慕っていた喧嘩屋のケガをあえて完治しないように治し、そのことが喧嘩屋の死因になった可能性があったことを知ったチンピラが医者をナイフで刺した。医者もチンピラにやり返すと、お互いに致命傷を負いここで死亡した。シンカンセンのところへ、暴徒化した民衆が流れ込んでくると、いつもはないはずの扉がシンカンセンに出現する。民衆達と共に運び屋と一般人、男の子と女の子もシンカンセンに乗り込み、カントウへと向かう。カントウはデータ化された空間に存在する場所だった。人間一人一人の記憶、精神が全てがデータ化されているため、記憶の中の幸せな時間で存在していられる。男の子と女の子は、その人間達の大量の記憶を入れる入れ物として作り出され、カントウへ連れていかれた。アクダマの1人であるハッカーが、男の子と女の子を救出するためにカントウのデータ化された空間に対して頭脳で戦う。ハッカー自身は、カントウの消毒ゾーンで肉体を分解されているためデータ化された姿での戦いだった。戦いが終わった時にはハッカーのデータ化された姿は消えかかっており、その後消息不明となった。

誰かのために命をかけるということ

シンカンセンに乗ってカンサイに帰る途中に、処刑課によってシンカンセンを爆破された。運良く子ども達と運び屋と一般人は生き残ったものの、一般人は骨折してしまっていた。そこで一般人は、運び屋に子ども達をシコクまで運んでもらうことを頼み自らはその場に残った。ただの一般人だったのに、今では立派なアクダマとなってしまった彼女は処刑課によって処刑された。死んでいくときの一般人の表情は穏やかなものだった。

バイクに子ども達を乗せて逃げている運び屋のもとに、処刑課が迫る。もう逃げきれないと思ったその時、民衆が処刑課に押し寄せてきた。なぜかというと、民衆がアクダマにおびえて暴徒化した時に、暴徒化した民衆を警察は武力で押さえつけて多くの死者を出したからだ。警察が民衆の相手をしている間に、運び屋は子ども達をバイクに乗せて、運べるところまで運ぶ。運び屋は、致命的なケガを負っていたが、最後まで子ども達が逃げられるように全力で戦った。一般人と同様に、最後は微笑みながら死亡した。子ども達は、最後まで諦めずに、目的地へ向かうだろう。そうして物語は幕を閉じる。

『アクダマドライブ』の登場人物・キャラクター

主人公

一般人

CV:黒沢ともよ
明るい性格で、正義感が強い。ささいなことがきっかけでアクダマ達と共に任務を遂行することになってしまう。アクダマ達と行動しているうちに、いつの間にか一般人はアクダマとして指名手配されることとなるが、そんな状況でも前向きに生きている。正義感の強さは、作中での様々な場面から感じ取れる。例えば、自分の立場が危なくなっても正体不明の子どもたちを全力で守っている場面などである。とっさの判断力も優れている。殺人鬼に殺される寸前まで追い詰められた時も、適切かつ瞬間的な判断力で落ちていた処刑課の剣で殺人鬼を刺して生き延びている。

アクダマ

運び屋

kinido0308
kinido0308
@kinido0308

目次 - Contents