ハートカクテル(漫画・アニメ・ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハートカクテル(Heart Cocktail)』とは、1983年から1990年まで、講談社発行の青年漫画誌である『週刊 モーニング』に掲載された、わたせせいぞう作によるオールカラーコミックだ。男女の蓮阿模様を中心に。親子の愛情や友情の深さについて。基本的には一話完結スタイルで、アーバンテイスト溢れる作画で描いた。単行本は全11巻、後に講談社漫画文庫として全6巻が発売。1986年にはテレビアニメ化、1987年にはテレビドラマ化された。掲載終了後も大人のオシャレなコミックとして人気が高い。

『ハートカクテル』の概要

『ハートカクテル(Heart Cocktail)』とは、わたせせいぞうによって1983年から講談社発行の青年漫画誌である『週刊 モーニング』に掲載されたオールカラーコミック、および漫画を原作としたアニメ・ドラマ作品である。
連載は1983年16号から始まり、1990年2・3合併号まで続いた。一話あたり4ページがオールカラーで連載されている。わたせの特徴であるグラフィック風のレイアウトと色彩感覚で描かれた魅力的な人物や風景はストーリーと見事に融合しており、大人の本棚のインテリアとしても魅力的だと人気である。

1986年10月3日から1988年3月25日まで全78話が、アニメ作品として日本テレビ系にて放送される。また2023年3月21日に春編、7月31日に夏編がNHK総合で各5話ずつ『ハートカクテル カラフル』のタイトルで放送された。
ポートレートやポスター、カレンダー等幅広く展開しており、コミックファン以外のからも支持された。

ストーリーは男女の恋愛模様や親子の愛情、友情をテーマにしている作品が多い。

『ハートカクテル』のあらすじ・ストーリー

「ノックをしなかったサンタクロース」

遠距離恋愛中の彼と彼女は、クリスマスを目前に些細なことから気まずいムードを引きずったままでいた。
いきつけの店のマスターのジェシイは余計なことは詮索しないので、聖夜にひとりでいる理由を聞かれずに済んだ。
店を出る時も、ジェシイは「今夜は朝までやってるから、よかったらまたおいで」と声をかけてくれた。
そして彼はひとり暮らす冷え切った部屋に帰宅すると、そのままリビングのソファでうたた寝をしてしまう。
そして不思議な夢から目覚めると、キッチンから料理をする音と耳慣れた鼻歌が聞こえてくる。それはノックをせずに現れたサンタクロースのようだった。

「彼のパパは東へ行けといった」

彼女は荷造りを終えてその家から出てきた。その家は彼女と彼、彼のパパで暮らした家であった。彼女の左手の薬指にはリングが2つ嵌められている。彼は1ヶ月前に亡くなっていたのである。
家を出る彼女に彼のパパはこれからのことを聞くと、彼女は彼が育った西の町で彼の思い出に包まれて暮らすことを告げた。

彼のパパはまだまだ若い彼女のこれからを思い、2つのリングを譲ってくれるよう頼む。そして彼のパパの先導で国道へ向かい、彼女は西へ向かうべく左へウインカーを出す。
しかし彼のパパは、運転席から東へ向かうよう指さした。彼女は一瞬迷ったが、ウインカーを戻し東へ向かう指示を出したのだった。

「バラホテル」

彼は久しぶりに故郷の街を訪れた。彼がかつて青春時代を過ごしたその街には苦い思い出があった。
とある大人の事情から、彼と彼の家族は街を去ることになったのである。

その原因をつくったのは、皮肉にも彼のガールフレンドの父親であった。
彼女から謝罪の言葉を受けるも素直に聞けない彼。そのモヤモヤした想いを抱えながらかつて暮らした場所へ赴く。そこは色とりどりのバラに囲まれていた。
まるで彼が暮らした頃のように、「バラに囲まれたホテル」と呼ばれていた時と同じだった。

今はカフェとなった場所でビールを飲みながら、ここのオーナーである女性がバラの手入れをしていることや昔のボーイフレンドを想い続けていること、最近ようやくいい縁談がまとまったことを知る。
彼は重荷が下ろせたような表情で街を去っていくのだった。

「ボーイフレンド」

ボーイフレンドはその日、冷えた缶ビール6本とともに砂浜にいた。
今朝のラジオでは今日の天気が快晴であること、そしてビールを飲むにはとても最適であることを伝えていた。

3本目のビールを飲み終えた時、カモメが彼に「時々いっしょに来ていたガールフレンドはどうしたの?」と話しかけてきた。
彼は「彼女は今日はとっても忙しんだ」と答えた。
その時どこからかフリスビーが襲来し、会話もガールフレンドの話題も空に消えていった。

その頃、ガールフレンドは両親と車に乗っていた。
彼女の母は好天と桜の満開を喜び、父はじっと目を閉じていた。
そして彼女はボーイフレンドに出した、結婚式の招待状の返事が来なかったことを思い出していた。そして高校時代に交わした会話を回想していた。

ボーイフレンドはすべての缶ビールを空にして、砂浜でフリスビーに興じていた。
同じ頃、ガールフレンドはかつてボーイフレンドの助言通りに、背筋を伸ばしてヴァージンロードを歩き始めていた。

「499ピースのジグソーパズル」

ボクと彼女は些細なことでケンカをしてしまった。
テーブルの上には彼女が制作中の500ピースのジグソーパズル。あとワンピースで完成だが、そのワンピースは制作中に紛失したらしい。
テーブルの下には、破かれたふたりの写真。

ソファで眠ったボクは夢を見ていた。
ジグソーメーカーに紛失したしたワンピースを発注していたボクは、それを彼女にサプライズでわたして喜ばれるというもの。一方彼女は破れた写真を貼り付け、彼のためにフレンチトーストを焼く夢。
そして夜明けの海から吹いたやさしい風が、破れた写真をそっと窓際へ運んでいった。

「ラッキー・キーワードはB‐8」

とあるパーティーでのビンゴ大会。司会者は「さあ、リーチの人はいますか?」と盛り上げる。
その時ボクは隣にいた彼女と初めて目が合った。彼女はB‐8でビンゴになることを告げてきた。ボクは大丈夫と励ました。

そして、B‐8が出る。景品はペアのポロシャツで、司会者から誰と着るのか聞かれ、彼女は戸惑っていた。戻ってきた彼女はボクにお礼を言った。そしてボクたちは次に会う約束をして別れた。
馴染みのBARに寄ったボクは、ジュークボックスで幸運のB‐8をリクエスト。
プレスリーの「今夜もひとりかい」を聞きながら、しまっておいたビンゴカードを取り出した。
そしてB‐8を開けて「ビンゴ!」と言った。まさにボクもラッキーなビンゴの夜だった。

「夢の中でウェディングマーチ」

恋人同士の彼と彼女は、友人の結婚式に揃って出席する。
宿泊先のホテルの部屋で、結婚式の様子を振り返りながら、何となく「次は自分たちの番かな…」と想い始める彼。
そしてふたりで結婚式のシミュレーションを始める。
そして指輪の代わりに彼女の指で光っていたものは、指輪代わりのプルトップだった。

「北へ251キロ」

ボクは、ある冬の日、両腕一杯のバラを買いバイクのサイドカーに乗せて北へ向かった。
寒さを切り裂くように寒風に頬を強張らせながら、北へ北へと走ること251キロ。その場所にバイクを止めて、バラを投げる。
降り積もった雪の上に真赤なバラ。
降り積もった雪の下には、ボクの亡くなった恋人のお墓があるのだった。

「ジェシイの店」

ボクのアパートの近くにある、日系二世のジェシイが営む店。
ジェシイは気が向くと店のアップライトピアノを弾いてくれる。
ボクと彼女はいつも外出した帰りには、ピッツァパイのWサイズをテイクアウトしていた。

ある雨の夜、彼女がひとりで店にやってきてスモールサイズのピッツァをオーダーした。
サングラスの奥には明らかに泣き腫らした目がっ見えていた。
そしてジェシイは、彼女にW サイズのピッツァをテイクアウトで渡す。彼女は戸惑いながらも心を落ち着けていくのだった。
何度か登城する名物店の初登場回エピソード。

「シンデレラ・エクスプレス」シリーズ

東京〜新大阪間の新幹線最終列車を舞台に、遠距離恋愛の男女を様々なカタチで描いた全4作。
新大阪へ戻る彼を見送る彼女のせつない心境を描いた「ガラスの靴になった涙」。
遠距離恋愛中の若い男女と単身赴任の熟年夫婦のそれぞれの想いを描いた「日曜日20:30発 ひかり213号」
東京駅へ向かう男女を音楽になぞらえて描く「いたずら好きのMr.ムーンライ」。
遠距離恋愛のせつない顛末を描いた「セピア色のカモメ」。

「セピア色のカモメ」

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