とっても!ラッキーマン(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『とっても!ラッキーマン』とはガモウひろしによって執筆され、『週刊少年ジャンプ』に1993年から97年まで連載されたバトルギャグ漫画及び、それを原作とするアニメ作品である。テレビ東京系で1994年から95年にかけて放送された。日本一不運な中学生の追手内洋一が、宇宙一ついているヒーロー「ラッキーマン」に変身し、仲間たちと共に戦う。一話完結ものギャグ漫画としてスタートし、ストーリー性や人間ドラマを重視した長編へと移行。サブキャラクターを募集するなど、読者参加型の作品でもある。

『とっても!ラッキーマン』の概要

『とっても!ラッキーマン』とはガモウひろしによって執筆され、1993年から1997年まで『週刊少年ジャンプ』で連載された少年向けギャグバトル漫画、及びそれを原作とするアニメ作品である。1994年にテレビ東京系列でTVアニメ化され、1995年まで放送された。単行本全16巻、リミックス全3巻、完全版全8巻が刊行されている。
日本一ついてない中学生の追手内洋一(ついてない よういち)は、ある朝宇宙人の襲撃に遭い死亡。通りすがりのヒーロー「ラッキーマン(以下元祖ラッキーマン)」と融合し、ラッキーマンに変身する能力を得る。宇宙一ついているラッキーマンは、その幸運だけを武器に敵対宇宙人と戦うことになる。
初期は一話完結のギャグだったが、次第にストーリー性を重視した長編も描かれるようになった。
『週刊少年ジャンプ』連載時は読者からの葉書を紹介する他、サブキャラクターを募集するなどの読者参加型のコーナーがあった。作者のガモウが自らテレビ局にアニメ化を打診するなど異例尽くしの作品だったが、人気を得た。

『とっても!ラッキーマン』のあらすじ・ストーリー

ラッキーマン誕生

日本一不幸な中学生追手内洋一(ついてない よういち)は、ある朝片想いの相手であるみっちゃんこと奇麗田見代(きれいだ みよ)にラブレターを渡そうとするが、UFOの下敷きになって死んでしまう。通りすがりのヒーロー「ラッキーマン(以下元祖ラッキーマン)」の勧めで彼と合体した洋一は、「実力はないが、ついてついてつきまくるヒーロー」ラッキーマンに変身する能力を得た。予想もつかないラッキーが次々起こり、気が付けば勝っていた、という形でラッキーマンは勝利を重ねていく。
そんなラッキーマンを良く思わず、自分が地球を守ると「努力マン」というヒーローが地球を訪れる。何百年も努力を重ねてきた努力マンは確かな実力を持つ一方思い込みが激しく、ラッキーが続いた結果ラッキーマンを「影の努力家」と勘違い。以降、努力マンは杉田努力(すぎた どりょく)という名前の地球人に擬態し、ラッキーマンを「師匠」と呼んで共に地球を守ることになる。その他、非合法の改造手術でヒーロー「スーパースターマン」に変身できるようになった洋一のクラスメイト目立たがる(めだち たがる)も仲間に加わった。
ラッキーだけを武器とするラッキーマン、実力者だが思い込みの激しい努力マン、目立ちたいだけで実力が皆無のスーパースターマンといった3人のヒーローにより、地球の平和はとりあえず守られていた。

ヒーローたちと世直しマン一味の戦い

洋一の前に、宇宙一負けず嫌いな「勝利マン」、宇宙一友情を重んずる「友情マン」という2人のヒーローが現れた。彼らの目的はラッキーマンを連れてヒーロー星に向かい、ヒーロー協会会長を謎の宇宙人「よっちゃん」から守ることだった。勝利マン、友情マンは共にかなりの実力者だったが、それでも足りないと見た会長はラッキーマンのラッキーに期待をかけ、勝利マンたちにラッキーマンを連れてくるよう命じたのだ。
そこに努力マンが現れる。勝利マン、友情マンは努力マンの兄だったが、努力マンは兄たちを憎んでおり、勝利マンたちもまた末弟を仲間に加えようとは思っていないようだった。ラッキーマンは、勝利マンたちと共にヒーロー星へ向かう。
置き去りにされた努力マンは、かつて襲撃してきた宇宙人の宇宙船に乗り込み、ヒーロー星を目指す。その宇宙船を自宅代わりにしていたスーパースターマンに、努力マンは自身の過去を語った。幼い頃、努力マンは2人の兄を慕い、彼らと共にヒーロー認定試験も兼ねたトーナメントの出場を決意。しかし、決勝戦まで勝ち進んだものの長兄勝利マンの裏切りに遭い失格となった上、200年間ヒーローになる権利を剥奪された。努力マンには、兄たちが出世のためによっちゃんと戦おうとしているとしか思えず、自分が会長を救うことで兄たちに真の正義を見せようとしたのだ。
ヒーロー星によっちゃん、並びその部下が襲撃を仕掛け、ヒーローや候補生たちはやられてしまう。ラッキーマンたちは、よっちゃんの部下である「お手手戦隊指レンジャー」と戦うことになった。この戦いの中、指レンジャーの1人である「親指グンジョー」こと「天才マン」が仲間になった。天才マンはラッキーマンにヒーロー認定証をネコババされたと思い込んで彼を恨んでいたが、実際にはよっちゃんの仕業だと発覚。会長の説得もあってヒーローに復帰した。また、勝利マンが努力マンを裏切ったことの実情も明らかになる。勝利マンたち三兄弟は、伝説のヒーロー「三本柱マン」の息子だった。父の戦死に伴い、後を追うように病死した母は、勝利マンに「努力をヒーローにさせない」と約束させた。この時交わした「嘘ついたら針千本飲ます」という約定が怖いのもあって、努力マンを反則負けに持ち込んだのだ。努力マンは兄たちと和解し、勝利マンと共に戦う。
天才マン以外の指レンジャーを倒し、よっちゃんとの対決になる。よっちゃんの正体は「世直しマン」というヒーローだった。かつて努力マンたちの父「三本柱マン」、「超ウルトラ必殺スペシャルマン」と共にヒーロー協会設立に貢献した世直しマンだが、己の力を驕る余り自己中心的な性格になっていた。
世直しマンはヒーロー協会会長には自分が選ばれると思っていたが、ヒーローの神である「ヒーロー神」は人望のある超ウルトラ必殺スペシャルマンを指名。ヒーロー神を倒そうとした世直しマンだがあっさりと返り討ちに遭い、邪心がなくなるまで投獄されることになった。
監獄でのトレーニングの果て力を付けた世直しマンはヒーロー神を倒し、宇宙統一に乗り出す。まずは邪魔になるヒーローやその候補生を倒そうとしたのだ。ラッキーマンたちと世直しマンの対決が始まる。世直しマンの力はけた違いで、全員が束になっても倒せなかった。
地球に侵攻し、「みっちゃんを妻にする」と宣言した世直しマンを追ってヒーローたちが現れるも、ラッキーマンたちはとらえられてしまった。勝利マン、友情マン、努力マンが合体し、在りし日の父の姿を受け継いだ「三本柱マンJr.」となって世直しマンと戦う。この時、流れ弾がみっちゃんに当たったことでラッキーマンが激怒。怒りが頂点の頂点に達したラッキーマンは、通常を超えるラッキーの連続で世直しマンを追い詰める。
ロケットに乗って宇宙に逃げ出そうとした世直しマンだが、既に乗り込んでいたラッキーマンのラッキーで進行方向を太陽に変えられていた。「ラッキーこそが世界を救う」と考えた世直しマンはラッキーマンを宇宙に蹴り出し、太陽に消えていった。

裏宇宙との戦い

よっちゃんの襲撃によりヒーローが減ったため、ヒーローを選抜するための「H-1グランプリ」が開かれた。天才マンの介入もあり、ラッキーマン、勝利マン、友情マン、努力マン、天才マン、スピードマン、スペードマン、聖・ラマン、救世主マン、トップマン、ナイスマン、修正マン、一匹狼マン、男のロ・マン、そして生きていた世直しマンとスーパースターマンを加えた16名が正式なヒーローとして認定された。
ヒーローたちに、裏宇宙(バックコスモス)との戦いという任務が課せられる。ラッキーマンたちの住む宇宙は、全部で16ある小宇宙の1つ「第3小宇宙」であり、その反対側の次元に裏宇宙は存在した。両宇宙はブラックホールで繋がっているものの、ブラックホールを操る能力を持った、「救世手(きゅうせいしゅ)」と呼ばれる手以外での行き来は不可能であった。
500年前、裏宇宙を支配する皇帝「さっちゃん」こと「バックコスモス・サミット16世」がこちら側の宇宙を侵攻しようとしたことがある。さっちゃんの思惑を止めたのは、三本柱マンだった。さっちゃんの救世手に傷を負わせることに成功した三本柱マンだが、自身は命を落としてしまった。
傷の癒えたさっちゃんは、破壊光線を放つ「ギルガメッ手」という手を武器に再度侵攻を企てていた。救世主マンは裏宇宙から送り込まれた刺客で、彼の持つ救世手によりヒーローたちは裏宇宙に向かう。
さっちゃんは、脱ぐと爆発する鉄兜を裏宇宙人全員にかぶせて支配する恐怖政治を行っていた。救世主マンもまた脅されてさっちゃんに従わせられていのだが、共闘の末ラッキーマンたちの真の仲間となった。
舞台は決闘星と呼ばれる星に移動する。ラッキーマン以外のヒーローたちは1人ずつさっちゃんによって別の場所に飛ばされ、その場に残ったのは勝利マン、友情マン、努力マンのみとなった。さっちゃんの目的の1つは、過去に三本柱マンに傷を負わされたという屈辱の記憶を払拭することであり、その為に彼の遺児である勝利マンたちを倒そうとしていた。
三兄弟は合体して三本柱マンJr. となり、さっちゃんと戦闘。一進一退の攻防の中、波乗りをして遊んでいたラッキーマンのサーフボードがさっちゃんの頭に直撃した。重傷を負ったさっちゃんは自身の死を悟り、ブラックホールを展開。死なばもろとも、ヒーローたちと心中する腹積もりだった。
決闘星がブラックホールに吸い込まれそうになる中、ラッキーマンがさっちゃんの胸にもブラックホールがあり、洋一の通う中学校のトイレに通じていることに気付く。ブラックホールが小さいためヒーローたちが使うことはできないと思われたが、さっちゃんの腹心の部下である黄桜(きざくら)がブラックホールを広げると言った。黄桜には、ホワイトホールを操る「白手(はくしゅ)」という能力があった。これでさっちゃんの胸のブラックホールを広げることができる。ヒーローたちを逃がした黄桜は、「1人では寂しいだろうから」とさっちゃんと共に心中する道を選んだ。

大宇宙神ラッキーマンの誕生

ラッキーマンたちは、「大宇宙トーナメント」に参加することになった。この世界は球状の大宇宙の中に、16の小宇宙が存在する構造となっている。各宇宙を統治する小宇宙神がおり、大宇宙と小宇宙神たちをまとめる大宇宙神ラッキーマンたちがいるのは第3小宇宙だった。
大宇宙神が突如風邪をこじらせてなくなったため、小宇宙神の中から新たな大宇宙神を決めることとなった。そこで、各宇宙にいる優れた者同士を戦わせるべく大宇宙トーナメントが開かれたのだ。
野球や大食い対決など、あらゆるトーナメントを勝ち進む第3小宇宙。そんな中、大宇宙神の死が風邪などではなく、暗殺によるものと判明する。大宇宙神を殺したのは、「オールチェンジマン」こと「全とっかえマン」で、大宇宙神が持つ「大宇宙神指輪(ビッグ・コスモス・ゴッド・リング)」を奪うのが目的だった。指輪を持っていたのは大宇宙神の信頼の厚かった第10小宇宙神で、全とっかえマンは彼を殺して指輪を奪う。しかし、第10小宇宙神の持つ指輪は、本来の半分の姿だった。全とっかえマンは第10小宇宙神に成りすまし、残りの半分を探すためにトーナメントを開いたのだった。
指輪の半分を持っていたのは第3小宇宙神だったが、元祖ラッキーマンをヒーロー協会に勧誘している際、彼の頭部の湯飲みに指輪が入ってしまったことに気付かず紛失したと思い込んでいた。正体を現した全とっかえマンとラッキーマンの戦いが始まる。ラッキーの力で全とっかえマンは倒された。
第3小宇宙神が大宇宙神に就任することになったが、彼はこれを拒否。「大宇宙神にふさわしい者は他に入る」と指し示したのはラッキーマンだった。実はヒーロー協会会長を指名しようとしたのだが、彼の目印としていた冠がラッキーマンの頭に乗っており、結果としてラッキーマンを示した形になったのだ。
「ラッキーは宇宙を救う」と何とかその場を収め、ラッキーマンが大宇宙神として就任した。

地球に戻った洋一

大宇宙神となったラッキーマンは贅沢三昧の暮らしをし、仕事ぶりもいい加減なものだった。執事兼ボディガードの「おつきマン」に苦言を呈されたラッキーマンだが、「これが私のやり方」と言って通していた。
しかしそれは最初のことで、いつしか贅沢を控え、熱心に仕事をするようになった。初めに提案された案件をより効率のいい内容に変えるなどの有能ぶりを示すラッキーマンに、おつきマンは「大宇宙神らしくなられた」と感心する。
一方、時折遠くを見つめるラッキーマンの目に寂しげなものがあった。洋一が地球に戻りたがっていると悟ったおつきマンは、大宇宙神指輪を使えば地球に帰れると進言する。宇宙や命を作る力を持つ大宇宙神指輪で命を1つ生み出し、それを洋一の体に吹きこむ。ただし、元祖ラッキーマンと分離するため、もうラッキーマンには変身できない。
それでもいいと、洋一は新たな命を吹き込まれ蘇生。元祖ラッキーマンから「幸運ってのはな。自分の力で引き寄せられるものなんだ」との言葉を送られて地球に帰還した。
ところが、地球に戻り生活を始めた洋一は、またも宇宙人の襲撃で死んでしまう。その場に、再び元祖ラッキーマンが現れた。洋一は再度元祖ラッキーマンと合体し、ラッキーマンとして活動を再開するのだった。

『とっても!ラッキーマン』の登場人物・キャラクター

ラッキーマン/追手内洋一(ついてない よういち)

CV:田中真弓

本編主人公。「実力はないが、ついてついてつきまくる」ヒーローの「ラッキーマン(元祖ラッキーマン)」と、日本一ついてない中学生の追手内洋一(ついてない よういち)が合体した姿。H-1グランプリでヒーロー協会に認定された16人のヒーローの1人となった。

ラッキーマン

洋一が変身らっきょを食べることで変身した姿。福耳と平和そうな顔が特徴。体の色は赤で、胸には「大吉」、足の裏には「サイコー」の文字がある。頭部には茶柱の立った茶碗があり、「茶柱サーベル」という武器になる。
「実力はない」と自ら言うようにパンチはヘロヘロ、ビームは勢いがないなど頼りない印象だが尋常ならざる幸運を持ち、ラッキーの連続で勝利に至る。パワーの源は幸運の星で、この星が隠れると胸の文字が「大凶」となり何をしても不幸の連続となってしまう。怒りが頂点に達すると「ゴールデンラッキーマン」と呼ばれる形態になり、胸の字が「特吉」に変化。特吉よりも激し怒りを覚えるとプラチナラッキーマンとなり、胸の字が「激吉」となる。
お調子者、スケベ、場合によっては敵に寝返る、臆病などヒーローとは言い難い性格。実際、第3小宇宙を統べる第3小宇宙神から「お前は自分が良ければそれでいいんだろう」と言われたことがある。しかし、「良い人を殺すのは悪いことだ」と口にしており、良識がないわけではない。
「大宇宙統一編」で大宇宙神に就任した。この時、胸の「大吉」の「大」の脇に「宇宙神」の字が出るようになった。当初はいい加減な仕事ぶりや贅沢三昧の生活を秘書のおつきマンに咎められていたが、後に思慮深く聡明な大宇宙神へと変貌。宇宙の為に仕事を続けていたが、地球に帰りたい気持ちをおつきマンに見抜かれる。「大宇宙神指輪(ビッグ・コスモス・ゴッド・リング)」で新たに命を生み出し、洋一と元祖ラッキーマンが分離したことで2代目ラッキーマンは1度いなくなった。しかし、またも洋一が地球で命を落とし、元祖ラッキーマンと合体した為復活した。

追手内洋一(ついてない よういち)

日本一ついてない中学生。ラッキーマンとは真逆で、何をやっても不幸の連続になる。ある朝、カマキリ星人のUFOに押しつぶされて死んでしまうが、そこに通りかかった元祖ラッキーマンと合体。変身らっきょを食べることでラッキーマンに変身できるようになった。
みっちゃんに渡すためのラブレターを何度か書いた為に非常に高度な内容を書けるようになり、不良少女を更生させた他、ラブレターのコレクションをしている宇宙人に狙われたこともあった。
最終回付近でラッキーマンが大宇宙神に就任した為地球に戻れなくなる。おつきマンの勧めで生み出された命を吹き込まれ、蘇生。この時元祖ラッキーマンと分離した。今後はラッキーマンに変身できず、みっちゃんへの片想いは続いたままと口にするが、元祖ラッキーマンからみっちゃんとの結婚指輪と鼓舞を送られた。
最終話で敵性宇宙人の襲撃で再び死亡するも、またも現れた元祖ラッキーマンと融合。ラッキーマンとしての活動を再開した。

元祖ラッキーマン

えどまち
えどまち
@edono78

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