異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する〜レベルアップは人生を変えた〜（いせれべ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する〜レベルアップは人生を変えた〜』の概要

『異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する〜レベルアップは人生を変えた〜』とは、美紅によるライトノベル作品。『カクヨム』にて2017年3月25日より連載され、2018年に第3回カクヨムWeb小説コンテストSF・現代ファンタジー部門大賞受賞作を受賞。書籍版が同年12月20日から『ファンタジア文庫』（KADOKAWA）より桑島黎音がイラストを担当したものが刊行されている。メディアミックスとして、港川一臣によるコミカライズが『WEBデンプレコミック』（KADOKAQA）にて2019年12月より連載され、2023年4月からはテレビアニメが放送された。

ブサイクな容姿から、親兄弟から嫌われ、さらには不良たちからもイジメられている天上優夜（てんじょうゆうや）は、唯一の味方であった祖父を亡くし、孤立状態になっていた。人生に絶望し、八つ当たりから鏡を壊した拍子に祖父の家に隠してあった倉庫を見つける。そこには優夜の人生を変える異世界への扉があった。異世界で手にした身体能力や鑑定などの様々なスキルにより、現実世界で今までの生活とはガラリと変わった人生が待っていた。異世界ではアルセリア王国の王室に関わる問題や、それと同時に聖と邪による異世界の存亡にかかわる戦いに巻き込まれていく。

『異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する〜レベルアップは人生を変えた〜』のあらすじ・ストーリー

優しい少年と異世界への扉

ブサイクで背の小さい天上優夜（てんじょうゆうや）は居場所がなかった。幼い頃からただ容姿が醜かったことと、たまたまチームに属する不良の荒木武（あらきたけし）に目をつけられたことで、両親や容姿や要領がよかった弟の天上陽太（てんじょうようた）と妹の天上空（てんじょうそら）からは忌み嫌われ、荒木からもイジメを受けていた。優夜は、祖父という唯一の味方がいたが亡くなり、両親からは高校の入学と同時に家を追い出された。祖父が遺産として優夜のために家を残してくれていたので、家族から追い出されたが祖父の家で生活を始めた。しかし、生活のために始めたバイトも荒木たち不良グループ「レッドオーガ」のせいでクビになるなど問題だらけであった。バイトをクビになった日の帰り道、コンビニの前で「レッドオーガ」のメンバーが美少女に絡んでいた。周りはそれを見て見ぬふりで通り過ぎていくが、優夜は怯え逃げたいと思うも、祖父に言われていた「困っている人には優しく、優しくしてくれる人は大事に」の言葉で奮い立ち、2人組の不良に立ち向かった。しかし優夜は、何もできず2人に返り討ちにされてしまうが、警察官が駆け寄ってくると2人組は逃げ出した。絡まれていた少女が心配して駆け寄ってくれるも、優夜は彼女の心配をよそにその場を立ち去った。

家に帰ると傷の手当てをしながら、祖父の言葉や今まで自分の受けた仕打ち、生きるためで精一杯なことやこの先の未来に居場所がないことで人生に絶望して、家の鏡を割るなど八つ当たりをしてしまった。暴れた衝撃で家の壁が壊れ、祖父が隠していた倉庫を見つける。隠し倉庫の中を見ると、部屋の真ん中に置かれていた扉のモニュメントを見つけた。何かに呼ばれたような気がした優夜が、モニュメントだけのように見えた取っ手に触れると、突然扉が開いた。

扉を開けた優夜に、突然ゲーム画面のように目の前に称号やスキル、ステータス画面が見えるようになった。優夜が扉の向こうに見える世界に足を踏み入れると、周りを森に囲まれた賢者が住んでいた家の中へと繋がっていた。すると自分の死期を悟った賢者が家にかけていた魔法の効果により、家とその中身を優夜が所有者として受け継いだ。そこには賢者の残した高級そうな日用品からチートクラスの武器が保管してあり、興味本位で「絶槍」と呼ばれる槍を手に振っていると槍術のスキルを取得した。優夜が賢者とは何者なのか考えていると、突如外から声が聞こえる。そこには驚異的なステータス値のブラッディオーガと呼ばれるモンスターがおり、家の敷地に入ろうとしているところだった。
スキル効果で入ってこられないオーガの様子を見た優夜は、好奇心や恐怖心からか絶槍を手に取ると、ブラッディオーガに向けて投げつけた。すると一撃でブラッディオーガを倒してしまった。絶槍の威力に驚いていると、レベルアップの表示と自分のステータス画面が表示された。ステータスには優夜のレベルが100と表示され、全ての能力値が上昇し、さらにBPを割り振ることでより強化された。

ブラッディオーガが消えた後には、ドロップアイテムが落ちていた。アイテムボックスのスキルでアイテムを収納すると、換金できるアイテムが表示され試しに換金してみると、突然日本円で札束がドロップされた。異世界から戻った優夜は、濃い一日であった今日のことを考えながらも就寝につくと体に痛みが走った。朝になり、自分の体に違和感を覚えた優夜が確認すると、身長が伸び、手足や体がスラっとした身体つきに変わっていた。鏡を割ってしまったことで自身の変化を確認できない優夜は、とりあえず体型が変わってしまったので、賢者の家で服を調達した。優夜は、興味が沸き賢者の家にあった「全剣」「死鎌」「無限の籠手」「無弓」など様々な武器を手に取り素振りをするだけで、スキルを獲得していく。家の周りを見ると畑があり、賢者が育てていた効果の高い野菜が実っていて驚いた。そこにレベルは200のヘルスライムが現れたが、オーガのように入ってくることはできなかった。優夜は絶槍を取り出すと投げつけ、ヘルスライムを倒し更にレベルアップ。優夜は武術の知識をつけるべく、現実世界に戻ると書店で武術の本を購入するために街に出た。するとステータスやスキルが現実世界でも作用していると実感し、自分に起こっている変化に驚いた。

春休み中は、新学期にはイジメが始まると考えて憂鬱になりながらも、賢者の家がある大魔境と呼ばれる強いモンスターがたくさんいる森を探索して、モンスター討伐やレベル上げなど冒険を堪能していた。その頃、仮面をつけた集団と追われている美少女が大魔境にいた。集団は少女を追い詰め殺害しようとした時に、森から現れたゴブリンジェネラルに襲われ、仮面の集団と少女を攻撃し始めた。少女の目の前には、今にも攻撃を繰り出そうとしているモンスターの姿があり、恐怖から気を失うところに優夜が助けに入り、スキルと武器を駆使してゴブリンジェネラルを倒した。少女を探しにきた騎士たちが現れたので優夜は、気配を断ち身を隠した。騎士たちはレクシア様と呼ぶ少女を見つけると駆け寄り介抱すると、大魔境から脱出していった。

変化し始める現実世界の生活

優夜は春休みを異世界で堪能したが、ついに高校入学の日を迎えた。自分の変化に気づかず、体は変化しているがブスのままだと思っている優夜は、またイジメを受ける日々に戻ることに憂鬱になりながらも学校に向かった。登校中は優夜の思いとは裏腹にイケメンの優夜を見た女生徒が騒ぎ、教室に入った優夜を見たクラスメートからも注目されていた。優夜をイジメていた荒木も変化した優夜に驚いてかイジメてこない。イジメてこないことに驚きつつも、窓に映った自分により驚いた。

優夜は、引っ越して不足していた日用品の買い出しに出かけたが、自分の変化に気づいてから下を向いて歩くことも、人を不快にさせなくて済むことによかったと思い少し自信に満ちていた。訪れたショッピングモールでは、モデルの御堂美羽（みどうみう）の撮影が行われていた。相手役だったモデルが仕事に遅れたことで、代役を探していた凄腕のカメラマンである光（ひかる）の目に留まった。
今まで流される人生だった優夜は断れきれず、モデルの代役を務めることになった。モデルやカップルの経験がない優夜は、美羽との撮影に緊張していたが、美羽の言葉で、自分も楽しんでいいんだと思うことができ自然と笑顔になった。そこを逃さない光は最高の写真を撮影していくと無事撮影も終わる。そこに二日酔いで遅刻し、謝ることもない傲慢なタイプであるカリスマモデルの翔（しょう）が現れた。嫌がる美羽を誘う翔だが、その間に優夜が助けに入った。優夜を邪魔に思った翔はボクシング経験を活かして殴りかかってきたが、スキルと高い身体能力を持っている優夜は翔を取り押さえた。警察を呼べと暴れる翔だが、光が撮影した映像を証拠に逆に追い込まれることになった。撮影が終わり家に帰る優夜だが、自然と人を助ける行動力や気遣いのできる優しさに触れた美羽の恋愛フラグを立てていることや世間から自分が話題になることに、この時は気づいていなかった。

イジメられることもなく無事に高校生活を送る優夜だが、イジメをしていた荒木や陽太と空、イジメを容認していた先生は面白くない。そんなある日、陽太と空が大勢の生徒の前で優夜に嫌がらせをしてくる、そこに王星学園の制服を着た宝城佳織（ほうじょうかおり）が現れた。佳織は優夜の姿が変わる前にコンビニで助けた少女であった。助けられたお礼のために優夜のことを調べて、王星学園への編入を勧誘しにきたのであった。それを聞いていた陽太と空は、優夜より自分たちの方が王星学園にふさわしいと佳織に売込むがきっぱり断られた。佳織は優夜と2人の関係や学校で受けている待遇も調べており、人間性を重視している王星学園にとって優夜は十分資格があった。王星学園に向かう優夜と佳織を見送る陽太と空は、コケにされたことに復讐心を募らせる。2人は学園に到着すると、佳織の父であり理事長の宝城司（ほうじょうつかさ）が待っている理事長室に向かった。司は、優夜に佳織を助けてくれたことにお礼を述べると、優夜に学園の編入について話し始めた。見た目が変わった優夜だが、自分に自信がないのは変わらない。そのため編入を悩んでいたが、理事長の提案で1日体験入学することになった。
王星学園の授業を体験し、休み時間にはみんなからの質問攻め。そこに助け舟を出したのが、帰宅部だが運動部の助っ人を掛け持ちする五十嵐亮（いがらしりょう）。亮は、優夜と友人であるゲーム部に所属する優しい空気感を持つ倉田慎吾（くらたしんご）とともに学園の食堂に向かう。そこで、優夜は学園の生徒への対応や信頼、生徒がのびのびとした学園生活を送っていることを見学し、その日の最後には司と面談をして自分の価値について考えていた優夜は王星学園に編入することを決めた。編入するまでの期間に優夜は、異世界を冒険することにした。

大魔境の探検と過去との決着

その頃、異世界のアルセリア王国では、優夜に命を助けられた少女アルセリア王国の王女レクシア・フォン・アルセリアは、優夜に会ってお礼をしたいと考え、再び大魔境の地を訪れた。しかしまたしても大魔境に住む魔物たちの襲撃を受てしまう。再び窮地を救われたレクシアは突発的に優夜に結婚を申し込んだ。焦った優夜はとりあえず話をするために、レクシアと護衛騎士オーウェンを連れ、賢者の家に案内した。オーウェンは、高い戦闘スキルを持ち、大魔境という環境と魔物が侵入できない特殊な家に住んでいる優夜が何者なのか1人で考え悩んでいた。そんな中でもレクシアは、優夜に隙あらば求婚を求めるがオーウェンが慌てて止めに入る。優夜もレクシアが襲われていたことで気が動転していたし、オーウェンも求婚していることに困っていると感じて求婚を断ったが、レクシアは引かず友達からのスタートを求めてきた。優夜は友達になろうと言われたことがなかったのでうれしくなり、レクシアの友達申請に同意した。2人の会話が終わると、オーウェンから国王が会いたがっているということで王城に来てくれとお願いされた。初めは優夜も、国王に会うことに抵抗を覚えたが、オーウェンの説得により承諾。王城に向かうのに日数がかかるので現実世界のゴールデンウィークに行くことで話がついた。優夜は、大魔境について話を聞きながら、レクシアやオーウェンたち護衛騎士を大魔境の入り口まで送り届けた。そのころ王都モントレスでは、レクシアの暗殺を企てていた殿下と呼ばれる人物が、改めてレクシア暗殺を計画していた。

とうとう優夜が王星学園に編入する日を迎えていた。編入するクラスは、体験入学した1年B組に入ることになり亮と慎吾と改めてクラスメートになった。学園生活がスタートした優夜は、レベルアップにより身体能力が上がっていたことで早速注目の的になったが、楽しいクラスメートの面々により楽しい学園生活が送れると実感した。その日の放課後、佳織は優夜と一緒に街を回り案内していた。楽しい時間を過ごした2人だが、優夜が以前クビになったアルバイト先の店長と出会った。しかし優夜に気づくことはなかった。佳織がなぜ自分に気づいたのか尋ねた優夜は、まっすぐで優しい目はそのままだったからすぐに気づいたと言われ、自分が認められていたことに嬉しくなった。

その翌日に優夜が美羽と一緒に撮影した雑誌が発売されており、学園だけでなくSNSでも話題になっていた。亮や慎吾から友達が話題になって嬉しいと言われ、今ではクラスメートの氷堂雪音（ひょうどうゆきね）や風間楓（かざまかえで）、残念貴公子の一ノ瀬晶（いちのせあきら）など友達が増えていることに喜んでいた。突然外からバイクのエンジン音が響き、レッドオーガのメンバーたちが現れた。学園側が止めようとするが、レッドオーガのメンバーは暴力を振るってくる。優夜はそのメンバーの中に、陽太と空がいることに気づくと、騒動の原因が自分であることを確信した。優夜はイジメられていた時のことを思い出し、怯え始めた。生徒会である佳織が、話をするためにレッドオーガの下に行くと、陽太と空がレッドオーガを使って報復に来たことを知った。警察が来ると伝え追い返そうとするが、警察が来る前に大勢のレッドオーガのメンバーで襲撃し、人質として利用するために佳織もメンバーに襲われそうになった。優夜は恐怖で動けなかった自分を奮い立たせて4階の教室から飛び降り、佳織と不良の間に割って入った。優夜が目の前に現れたことで、レッドオーガの荒木たちが優夜に襲い掛かってくる。スキルで動きを見切ると相手を翻弄して力で押しきったが、次にレッドオーガのリーダーが現れた。格闘技経験があるリーダーは格闘術や武器による攻撃を繰り広げてくるが上手く立ち回ると返り討ちにした。警察に捕まるレッドオーガだが、リーダーは暴れ始めると襲撃の計画をたてた陽太を締め上げ、空を突き飛ばすと恫喝した。そこに優夜が止めに入り、リーダーを気絶させた。優夜の「弟だから助けた」という言葉に、今までイジメていた陽太と空は泣き崩れ、おとなしく警察に連行されていった。優夜はレベルアップで人生が変わったことに、そしてこれからも変わっていくことがうれしくなっていた。

日常の変化と異世界情勢

そのころ異世界では、アルセリア王国に戻ったオーウェンが、国王であるアーノルド・フォン・アルセリアに謁見していた。大魔境で出会った優夜の件を報告していたが、アーノルド国王は優夜の正体に悩むことより、レクシアが求婚したことに激怒し、宝剣を手に取り大暴れしていたのであった。優夜は時間を見つけては大魔境でのレベリングやまだ行っていないエリアの探検をしていた。そんなある時キングオークとの戦闘後に、優夜はモンスターに襲われけがを負っていた子犬を発見する。賢者の畑で取れた完治草をジュースにした回復薬を飲ませると傷の回復をさせ、子犬が孤独だと知ると「うちに来るか？」と声をかけた。するとテイムのスキルが発動し、優夜よりも高レベルのブラックフェンリルを仲間にすることに成功した。現実世界に戻った優夜は、ブラックフェンリルにナイトと名付けて一緒に生活を始めた。すっかり優夜との生活になれたナイトと散歩をしていると、佳織と出会い、新たな家族のナイトを紹介した。ナイトをなでる佳織は、優夜に拾われて幸せそうでよかったですねとナイトに語りかける。そこに偶然通りかかった美羽と出会い、話をする優夜にもやもやする佳織だが、2人の関係を聞いて安堵していると、ナイトが突然吠え始める。ひったくり事件がおこり、優夜とナイトが素早く対応して犯人を取り押さえた。助けたおばあさんにお礼を言われ、佳織と一緒に帰っていると佳織から優夜の行動に心配したことを告げられて、祖父以外には心配してくれる人がいなかった優夜にも、心配してくれる友人や家族ができたことを改めて実感することになった。

異世界でナイトと大魔境を探検する優也は、レベリングを行いながら探索エリアの拡大をしていく。ナイトが何かを感知したのか岩壁をずっと眺めていたので、気になった優夜が気配察知と同化のスキルを使うと変哲もない岩壁が突然崩れ始め、隠し洞窟を見つけた。隠してあった洞窟が気になり、調査を始めた優夜とナイトは自然にできた洞窟ではなく誰かが造ったもののように感じた。モンスターの出現もなく奥へ進んでいく2人は、フードを被った人間の遺骨と、その傍らには1冊の手記を見つけた。言語理解のスキルで手記を確認すると、人骨の正体は大魔境に住んでいた賢者であった。ありとあらゆる事を極めていた賢者は、神となる誘いを受けたが人間として生きて死ぬことを選んだ。神からの誘いを断った賢者は、持ちすぎた力により世間から疎まれる存在となってしまい大魔境で1人生活していた。優夜は賢者と同じ道を進んでしまうと感じたが、手記には賢者にできなかった信頼できる人を得るなどの大事な言葉が多く残されていた。最後のページには手記を読んでいる者の知りたいことについて答えると書いてあり、優夜が魔法について知りたいとつぶやいたら、手記にかけられた魔法により賢者が知っている魔法のすべてについて記述された。魔力回路がなければ魔法を使うことができないが、異世界人の優夜のために賢者は自身の魔力回路を託した。自分のような人生ではなく、優夜の幸せを願った手記へと変化した。優夜は手記を基に魔力を使用する練習を始め、魔力操作から魔法の実践、魔力操作をひたすら修行する日々を過ごした。

そのころ王都モントレスでは、殿下の企てが進行し始めていた。殿下の手下でコーネス家の者が王都にある闇ギルドが拠点を置くバーを訪れていた。バーテンダーに暗殺者の紹介を頼むと、予定の空いていた有名な暗殺者「首狩り」を紹介され、レクシア暗殺の依頼をした。暗殺依頼を受けた首狩りは、レクシア暗殺を阻止した人物の捜索と暗殺準備のために大魔境を訪れていた。首狩りの正体はルナと名乗る少女だった。大魔境のモンスターたちとの戦闘で汚れた体を洗うため、水辺に来た。汚れを流している最中にも関わらずゴブリンエリートの群れに襲われ、倒してもきりがないモンスターの数に逃げては戦うことを繰り返していた。その場に遭遇してしまった優夜は襲われていると思い助けに入ろうとするが、ナイトに止められた。様子を見る優夜だが、彼女を追い詰めるゴブリンエリートたちは攻撃を当てると彼女を気絶させた。気絶している彼女を襲おうとしているゴブリンエリートに飛び蹴りを食らわせると、新たな武器天鞭を使用して群れを撃退した。

目を覚ましたルナは側にいた優夜を警戒するが、気絶中に何もされていなかったために警戒を解き、渡された回復薬の使用や着替えを済ませた。ルナは首狩りとしてレクシアの暗殺を、優夜は異世界からきて大魔境にいることをお互いに隠して大魔境で修行をしていることにした。ルナは目的達成のため大魔境にいたいが実力が足りない、そこでゴブリンエリートの群れを倒せる実力がある優夜と一緒に修行をしたいと申し出てきた。優夜はルナを1人にすることを心配してこの申し出を受け、ルナとの修行をする日々を過ごした。数日してルナは、優夜の異常な強さと、大魔境で優夜以外の人間を見ていないことに気づくとレクシアを助けた協力者が優夜であることを確信した。優夜と修行した日々に楽しくなっていたルナは、暗殺の邪魔者になる優夜を見逃すと、その夜には優夜の下から姿を消した。

初めてだらけの学園生活

現実世界では学生らしいイベントである校外学習が行われる。担任である沢田先生より校外学習の班を独断により決め発表され、優夜は楓と晶、神崎凛（かんざきりん）と同じ班。旅行に必要な物やカバンを持っていない優夜は亮と慎吾、楓と凛それと偶然出会った佳織と一緒に買い物に行くことになった。友達と買い物や遊びに行く経験のなかった優夜と佳織は、ドキドキしながら校外学習の買い物やゲームセンターで遊ぶなど楽しい時間を過ごした。そのあとは男子グループと女子グループに分かれて買い物を済ませた。2時間が経過した男子グループは1階のフロアにいた。女子グループも6階で買い物をすませ戻ろうとしていたが、3階で火災が発生し上の階には煙と火がのぼっていた。優夜は精神強化と気配察知のスキル、水魔法でベールを纏うと火の海へと飛び込んでいく。各フロアに取り残された人がいないか調べながら、3人を探した。6階フロアで煙を吸ったことで気絶していたが、優夜は3人を背負うと吹き抜けめがけて走り飛び降りた。優夜は風魔法をかけて減速し、落下の衝撃を抑えながら1階フロアに飛び降り、そのまま急いで外に運び出した。3人は病院で念のため検査を受けた。助け出した優夜は、消防士からものすごく怒られると、亮と慎吾からも心配され怒られた。優夜にとって初めて友達から怒られた経験になった。病院では、司から佳織を助けたことでお礼を言われ、みんなも楽しみだった校外学習が中止にならないことを聞いて、優夜は楽しみに校外学習の日をを迎える。

『異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する〜レベルアップは人生を変えた〜』の登場人物・キャラクター

主要人物

天上優夜（てんじょうゆうや）

CV：松岡禎丞／小鹿なお（幼少期）
本作の主人公。太っていてブサイクであることで両親や弟と妹に嫌われており、学校では荒木達にイジメを受けていた。唯一の味方であった祖父もなくなり一人ぼっちになり、自分の置かれた立場や状況の悪さから荒れることもあった。しかし祖父からの教えもあり、普段は自分よりも他者を優先する優しい性格。それはイジメられていても歪むことは無かった。祖父の家で見つけた扉から異世界へ行き、異常なレベルアップやスキルの取得を経験。身体能力や外見が大きく変わった上に欠点なしの完璧な男性となり、現実世界でも生まれ変わったかのように事態が好転していく。
イジメを受けていた過去から発想がネガティブなことが多く自己評価が低いが、王星学園に転校後には友達を作り、以前よりも自信を持てるようになってきた。

宝城佳織（ほうじょうかおり）

CV：鬼頭明里
本作のヒロインの1人。王星学園の生徒会役員で理事長の娘。不良たちにナンパされて困っていたところを優夜に助けてもらったことがきっかけで優夜を王星学園に勧誘する。優夜に淡い恋心を抱いている。理事長の娘であったこともあり友達と呼べる人がおらず、遊びに行くなどの経験もなかったが、優夜との出会いをきっかけに友人が増えて様々な経験をしていく。
優夜の家で勉強会をしていた時、異世界の扉を目にして、異世界の存在と優夜の外見が激変した理由を知る。その場では特に何も無く帰宅するが、その後異世界の探索を一緒にすることもあって、レクシア達とも交流をする。この時賢者の家にある食材を食べることでステータスが上がっていき、スポーツマン並みの身体能力を手に入れている。

レクシア・フォン・アルセリア

CV：前田佳織里
本作のヒロインの1人。アルセリア王国の第一王女。優夜が異世界に来て初めて出会った異世界人。人間だがハイエルフの母を持ち、魔力が高いが制御ができない。天真爛漫で言いたいことははっきり言う性格をしているが、後先考えずに行動することもあるので周りは振り回されっぱなしである。混血であることから穢れた血と侮辱され、暗殺のターゲットにされることもある。暗殺から逃れるために、大魔境へ逃げ込み、襲われているところを優夜に助けられ一目惚れした。優夜を探すために大魔境を訪れたが、また優夜に助けられ勢いのまま求婚した。優夜が躊躇したため、友人から始めるがまだあきらめていない。