不揃いの連理(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『不揃いの連理(ふぞろいのれんり)』とは、作者・みかん氏(みかんうじ)による年齢や家庭環境の異なる女性同士の恋愛を描いた百合漫画作品。みかん氏のpixivで定期連載がスタートし、『角川コミックス』にて単行本が発売され、累計部数は22万部を突破している。また、2020年11月20日からKADOKAWAの『コミックNewtype』に掲載されている。
社畜OL・田中伊織と、伊織の行きつけの居酒屋店員・船頭南をはじめとする、「不揃い」な3組6人の女性たちのガールズラブストーリーを描いた漫画作品である。

『不揃いの連理』の概要

『不揃いの連理(ふぞろいのれんり)』とは、作者・みかん氏(みかんうじ)による年齢や家庭環境の異なる女性同士の恋愛を描いた百合漫画作品。pixivから連載がスタートし、『角川コミックス』から単行本が刊行されている。2020年11月20日より新作エピソードがKADOKAWAの『コミックNewtype』にて掲載されている。2023年1月時点で、単行本の累計部数(電子版を含む)が22万部を突破した。
お酒が大好きな社畜OLの田中伊織(たなか いおり)と、伊織の通う行きつけの居酒屋で働く18歳の店員・船頭南(せんどう みなみ)は、ある日酔った勢いで一夜を共にしてしまった。年齢や家庭環境も全く異なる2人が、不器用ながらも歩み寄り心を通わせていく。本作では主人公の伊織と南だけでなく、2人と関わりのある3組6人の女性達が登場し、それぞれの恋愛模様が描かれている。作中に男性も登場するが、恋愛関係になるのは女性だけの百合漫画作品である。

『不揃いの連理』のあらすじ・ストーリー

伊織と南

ブラック企業に勤めるOL・田中伊織(たなか いおり)は、ストレスを発散するために酒を飲む毎日を送っていた。プライベートでも付き合う男性はいつも妻帯者で、公私共に上手くいかない伊織。その日もストレスを発散すべく行きつけの居酒屋にやってきた。いつも以上に飲みすぎてしまい、泥酔した伊織。翌朝、二日酔いで目を覚ました伊織の横で眠っていたのは、居酒屋の店員・船頭南(せんどう みなみ)だった。隣に南がいるだけでなく、お互いが裸で寝ているという状況に戸惑う伊織。昨夜の記憶がなく動揺する伊織をよそに、目を覚ました南が口にしたのは「朝ごはんはパンとご飯のどちらが良いですか」という間抜けな内容だった。朝ごはんを食べながら昨夜の状況を聞いた伊織。己の失態に自己嫌悪しながら通勤する伊織だったが、徐々に昨夜の記憶が蘇ってくる。南は話さなかったが、伊織は寂しさのあまり自分から南を誘い、一夜を共にしてしまっていたのだ。覚えていないフリをしようと決めた伊織は、後日泥酔のお詫びを持って再び居酒屋にやってきた。しかしそこに南の姿はなく、店長から南が入院している事を聞かされる。店長から南の連絡先を聞いた伊織は、南を呼び出した。自分のせいで南が彼氏に暴力を振るわれたのではと思ったのだ。伊織の前に現れた南は、想像以上に顔を殴られ、傷を負っていた。思わず「女の子の顔を殴るとかクソ彼氏かよ!」と言う伊織に対し、南は彼氏ではなく親に殴られたという。南の親は酔うと手が出るらしく、いつもこんな感じだと言った。それを聞いた伊織は思わず「私の家にいればいいじゃん」と言い、南と一緒に暮らすことになったのだった。
南を自宅に連れ帰り、服を脱がせた伊織。その体には痛々しい傷が無数についていた。怪我の処置をしていると、南が不意に先日自分と寝たことを覚えているか聞いてきた。焦った伊織を見て、覚えていると確信した南は、自分としたのは嫌だったか尋ねる。「別に嫌ではなかったが、忘れてほしい」と言う伊織に対し、南は「忘れたくない」とキスをして伊織を押し倒した。そのまま流れで再び行為に及んだ伊織と南。未成年かつ女性の南とこのまま恋愛関係を持つのは難しいと言う伊織に対し、南は「今まで散々不貞行為をしてきたのに今更ですよ」と正論で返した。「恋愛で上手く立ち回りできない人は、誰が相手でも続かないですよ」と言い、「自分の事は練習台くらいに考えてくれればいいから」と続ける。結局南の誘いを断り切れず、伊織は南との同棲生活を開始するのだった。

沙織と雫

伊織の妹・田中沙織(たなか さおり)は高校3年生。ある日教師に呼び出された沙織は、不登校の仲之雫(なかの しずく)の元へプリントを届けてほしいと頼まれる。律儀に雫の元へ通う沙織だったが、玄関の前で呼びかけても反応はなかった。いつものように扉のポストからプリントを入れ、声をかけて帰ろうとすると、中から「二度と来るんじゃねーよ…クソマジメ委員長」と言う声が聞こえた。思わず言い返した沙織だったが、まさかこんなに性格が悪いとは思っていなかったのだ。それからは雫を学校へ連れ出そうと、沙織は意地になって雫の元へ通い続けた。しかし後日、教師から雫の単位が限界の為もう行かなくてもいいと言われてしまう。最後のプリントを届ける為雫の家へ向かう沙織。最後に沙織は、「学校へ行くのが怖くても、私が守るから来てほしい」と伝える。その言葉を聞いた雫は、「じゃあ行こうかな」と扉を開けてくれた。しかし沙織の前に現れたのは、煙草を咥え髪を編み込んだ「ガチヤンキー」だったのだ。驚いた沙織だったが、やっと学校に行く気になった雫を連れて登校する。雫は荒れた家庭環境で育ったらしく、中学へは行かずに施設にいたという。沙織はあまり深くは聞かず、「私が友達になってあげる」と言うと、雫は「そんなこと言って裏切ったら殺しちゃうかもよ」と脅してきた。雫は沙織が怖がると思ってやったのだが、予想とは裏腹に沙織は雫の足を蹴り飛ばしてきた。今まで自分の見た目を恐れられてきた雫は驚き、「私が怖くないのか」と聞くと、「私、空手黒帯だから」と沙織は高いポテンシャルをアピールする。こうして真面目な委員長・沙織と、ガチヤンキー・雫の交流が始まったのだった。

ヘケと篠原

ゲームをしながら「原稿の締め切りがやばい」と嘆いているのは、漫画家の「ヘケ」だった。ヘケと会話しているのはゲーム仲間の「ララ」で、2人はFPSという一人称視点で行うシューティングゲームで知り合った友人だった。仕事の愚痴をララに話しながらゲームをするヘケ。いつも締め切りギリギリまでゲームをしてしまい、ヘケは担当編集に怒られているのだ。「追い込まれないとできない」と嘆くヘケに対し、「とりあえず編集に進捗だけでも伝えた方がいい」とアドバイスをするララ。「ヘケが担当に電話している間はミュートにするから」と通信の音声を切った。仕方なく編集に電話するヘケだが、彼女からの電話を取ったのは、先程までヘケと会話していたララだった。実は、ヘケの担当編集はララだったのだ。ララは自身がヘケの担当編集・篠原彩芽(しのはら あやめ)であることを隠し、ゲーム仲間として交流している。ゲーム仲間になったのは偶然だが、ヘケが気付かないままズルズルとここまで来てしまったのだ。編集としてキッチリ仕事をこなす篠原は、漫画家・ヘケからは恐れられていた。その為、ヘケは編集の事は嫌いだが、ララの事は大好きという複雑な関係になっている。篠原は公私でララと接しているうちに好意を抱くようになっていたのだが、編集者としての自分が嫌われていると知っている為、正体を打ち明けられずにいる。
仕事中、ヘケの事が気になり集中が出来なくなった篠原。その様子を見た後輩の筒井(つつい)に声をかけられたので、篠原はヘケの名を伏せて相談してみた。自分が嫌われている事もそうだが、ヘケの漫画家としての才能を一番感じているからこそ、自分とは釣り合わない相手なのではと悩む篠原。思い悩む篠原を見て、筒井は「恋愛の事となるとポンコツだなあ」と心の中でつぶやいたのだった。
その夜、筒井はある相手とゲームをしていた。「暇だったから」と付き合ってくれていたのは、なんとヘケだったのだ。篠原は知らないが、筒井とヘケもゲーム仲間で友人だった。筒井はヘケに「ララさんの事好きなんでしょ」と切り込む。焦るヘケに対し、筒井は更に「いつ篠原先輩がララさんと同一人物って気づいてること言うんですか」と確信を付いてきたのだ。実は篠原とヘケの関係について筒井は全て知っていたのだ。篠原とヘケはお互いに正体がバレていないと思いながら関係を続けていた。篠原は編集者になる前、プロゲーマーとして活躍していて、ヘケはその時のファンだったのだ。ララのファンとして応援してきたのだが、ゲーマーを引退すると知り何とか関係を繋ぎ止める為にララの職場を調べ、漫画家として持ち込みをするという強攻策に出たのだ。その甲斐あって見事担当編集として関わりを持つことになるのだが、自分がこんなストーカーじみたことをしているなんて打ち明けることはできなかった。お互いに秘密を抱え、不器用ながらも篠原とヘケは少しずつ距離を縮めていく。

久城と杉本

体育教師の久城(くじょう)は、顔は整っているが厳しいと有名で、一部の生徒からは嫌われていた。ショートカットで気の強そうな彼女は、周囲から「女らしくない」「だから彼氏が出来ない」と言われている。しかし、彼女には人に言えない夢があった。それは、レズビアンバーに行くことだった。いつも店の前までは行けるのだが、中に入る勇気はなく隣のメイド喫茶に入ってしまう。そう、久城の恋愛対象は男性ではなく女性なのだ。出会いを求めバーに行きたい気持ちはあるものの、いつも勇気が出ないのだった。ある日、いつものようにバーには入れず、隣のメイド喫茶に行くと、1人のメイドが話しかけてきた。突然話しかけられて呆然とする久城。すると、メイドは「鈍いなぁ」と呟き、ツインテールを解いた。「生徒の顔くらい覚えときなよ」と言う彼女は、久城の生徒・杉本(すぎもと)だった。突然の出来事で言葉も出ない久城に対し、杉本は「バラしたり脅したりするつもりはない」と言う。「メイドに興味あるの?」と言う杉本に、まさか隣のレズビアンバーに入りたいとは言えず、黙り込む久城。すると杉本が「隣のバーに入りたかったら、連れて行ってあげようか」と耳打ちしてきたのだ。自身の思惑がバレていると知り焦る久城。学校にバレてしまうことも困るが、それ以上にバーで彼女を作ると言う夢が叶わなくなることが悲しかった。
それから数日、学校にバラされた気配はなく拍子抜けする久城。その日自宅に帰ると、かつての親友・朱美から結婚報告のメールが来ていた。大学時代の友人である朱美に、久城は恋をして告白をした事を思い出す。見事に玉砕し、もう忘れようと思っていたのだが、不意な結婚報告は想像以上のダメージだった。いても立ってもいられず久城が向かったのは、杉元のいるメイド喫茶だった。杉本に近寄ると、久城は「私をバーに連れてって」と伝えた。こうして久城と杉本の少し変わった関係が始まるのだった。

『不揃いの連理』の登場人物・キャラクター

田中伊織(たなか いおり)

本作の主人公。28歳でブラック企業に勤めるOL。過去に付き合ってきた男性は妻帯者で、いつも不倫関係になってしまう。失恋のショックで泥酔し、南と関係を持つなど恋愛に関しては不器用なところがある。しかし、基本的にはさっぱりと明るい性格をしており、大好きなお酒を飲むと仕事の疲れも吹っ飛んでしまう。見た目もよく面倒見の良い性格だが、怒るとすぐに手が出る暴力的な一面もある。

船頭南(せんどう みなみ)

本作の主人公。18歳で、伊織の行きつけの居酒屋でアルバイトをしている。金髪で両耳に大量のピアスを付け、体にはタトゥーがある。外見こそ怖いものの、本人は優しく、ロマンチストな一面を持つ。複雑な家庭環境で育ち、子供の頃から施設で育っている。その為、時折過去を思い出し幸せを諦めてしまうこともあり、伊織に怒られている。

田中沙織(たなか さおり)

伊織の妹。姉を溺愛していて、家族愛以上の感情を抱いている。伊織と付き合っている南を敵視していて、度々突っかかっている。雫とは同じ学校・クラスであることから担任に頼まれ交流が始まった。姉と同じくすぐに手の出る性格で、周囲から恐れられている雫に対しても怯まずに殴りかかっていく。

仲之雫(なかの しずく)

南の友人で、同じ施設で育つ。頭部の左側だけ編み込みをしていて、体には南と同じタトゥーを入れている。施設を出てからは相当荒れていたらしく、初登場時からかなり暴力的だったが、沙織と関わっていくうちに雫も変化していった。同じような複雑な家庭で育ってきた南には特別な感情を抱いていたが、伊織と過ごす南を見て、自分以外の居場所を見つけてしまった事に寂しさを感じている。

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