灼眼のシャナとは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『灼眼のシャナ』(しゃくがんのシャナ)とは、人を喰らう異世界の住人「紅世の徒」を討つ「フレイムヘイズ」の少女と、両者の戦いに巻き込まれた少年の恋と成長を描いたライトノベル作品。様々なメディアミックスを果たした、2000年代を代表する作品である。
高校生の少年坂井悠二は、ある時不可思議な怪人に襲われ、割って入った小柄な少女から「お前はもう死んでいる」と告げられる。今の自分がかつての己の残滓でしかないと理解した悠二は、家族や友人のために街を守るべく、少女にシャナという名を与えて共に戦う道を選ぶ。

紅世の王と契約し、人ならざるものとなった元人間。その多くは紅世の徒によって家族や恋人を失った人々であり、復讐と世界を守る使命を兼ねて戦い続けている。
フレイムヘイズとなった時点で不老の存在となっており、宝具や自在法など紅世の徒と戦うための道具と技で武装している。

紅世(ぐぜ)

通常の手段では絶対に辿り着けない場所にある世界。いわゆる異世界で、超常の力を持つ紅世の徒ですら生存するのがやっとという厳しい環境にある。
紅世の徒たちの多くが現世で活動するのも、存在の力を求めるという以外に「紅世よりもよほど暮らしやすい」というのが大きな理由。「紅世」という名称は、その存在を知った地球の詩人が名付けたものを、フレイムヘイズや紅世の徒が流用するようになったものである。

紅世の徒(ぐぜのともがら)

異世界である紅世に住まう生命体。生物・非生物を問わずその根幹を成す“存在の力”を捕食し、これを操る超常的な能力を持ち、普通の人間には感知することもできない。
超常の力を持つ彼らですら生き抜くのが困難な紅世から、より自由に生きられる現世への進出を多くの者が目論んでいる。

しかし現世の生物(この場合は人間)と共生しようと考える者はごく稀で、大半は「人間とは簡単に存在の力を捕食できる対象である」としか考えていない。

紅世の王(ぐぜのおう)

紅世の徒の中でも、「現世への不必要な干渉は避けるべきである」という意志の下で活動している者たちの総称。それぞれが強大な力を持ち、自ら乗り込と現世そのものに多大な影響を与えてしまうため、これはと見込んだ人間と契約して自分の力を代行させている。この代行者こそがフレイムヘイズである。
基本的に人間に協力的で善良だが、各々の趣味や大局的過ぎる視点などから癖のある性格の持ち主も少なくなく、ほとんど声だけの登場ながらそれぞれが個性的な者ばかりである。

存在の力(そんざいのちから)

森羅万象に内在する、「その存在をその存在として確立する」ための力。紅世の徒たちの力の源であり、彼らが現世で人間を捕食する目的でもある。
単純な物質より高度に発展した生物の方が保有している量が多く、作中では基本的に人間が狙われている。

トーチ

存在の力を食い尽くされた人間の残骸。すでに存在している人間が一瞬で消滅すると、周囲や世界に大きな影響を与えてしまうため、それを和らげるため周囲の存在の力を取り込んで誕生する。この世界の自然なシステムが生み出したもの。
すでに本人としての自我は無く、ただ生前の振る舞いを模倣し、長くても数日で燃え尽きて消滅する。作中では純粋なトーチとしては平井ゆかりが該当するが、悠二の監視のために彼の近くにいようと考えたシャナが消滅寸前でこれを回収し、自分の存在を割り込ませることで結果として保護していた。

ミステス

宝具を内包するトーチのこと。作中では悠二がこれに該当する。
内包する宝具の能力によっては、「生前と同等の自我を残す」など特殊な性質を持つこともあるが、数日で燃え尽きる運命にあることは変わらない。トーチが燃え尽きると内包する宝具は別のトーチの中に転移していくため、紅世の徒の中にはミステスを一種の宝箱として狙う者もいる。

宝具(ほうぐ)

紅世の徒や紅世の王が現世に持ち込んだ特殊な道具。単純な武器から存在の力を操る秘宝、対フレイムヘイズ用の装備まで種類は様々。
シャナの名前の由来となった贄殿遮那も、彼女が得物としている宝具である。

贄殿遮那(にえどののしゃな)

シャナが得物として愛用している宝具。見た目は長大な日本刀で、あらゆる干渉を跳ねのける頑強さと見た目相応の切れ味を誇る。もともとは紅世の徒の力に魅せられた戦国時代の刀匠が、自らの存在の力を注ぎこんで造り出したもの。
悠二と出会ったばかりの頃のシャナは個人としての名前を持っていなかったが、彼からこの刀にちなんで名前を送られ、以後それを気に入って自分でも名乗るようになっていった。

零時迷子(れいじまいご)

数ある宝具の中でも特に希少とされているもの。0時を迎えた瞬間に、それまでに消費した存在の力を回復する能力を持ち、ただのミステスでしかない悠二が長い時を生き永らえることができたのもこの宝具が理由である。
密かに異界へと封じられた祭礼の蛇と交信するための仕掛けが施されており、仮装舞踏会の暗躍によって悠二を依り代とする形でその復活が果たされることとなった。

自在法(じざいほう)

存在の力を用いて、「本来存在しえない事象を現出させる」術。もともとは紅世の技術だが、紅世の王から力を借り受けているフレイムヘイズもこれを使用することができ、マージョリーはこれの名手とされている。
「自ら在る法」の名の通り、基本的に個々の使い手が独自に編み出すもので、存在の力を認識するようになった悠二も次第にこれを使いこなせるようになっていった。

仮装舞踏会(バル・マスケ)

ヘカテー、シュドナイ、ベルペオルの三柱臣を中心とする組織。普段は紅世の徒たちの互助会として機能しているが、その真の目的は組織の本当の長である祭礼の蛇をこの世に連れ戻すことにある。
そのための重要な手掛かりとなる零時迷子が悠二の中にあることを知り、彼やシャナに幾度となく接触。祭礼の蛇の復活後は彼に付き従い、フレイムヘイズたちと壮絶な決戦を繰り広げた。

三柱臣(トリニティ)

YAMAKUZIRA
YAMAKUZIRA
@YAMAKUZIRA

目次 - Contents