恋愛カタログ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『恋愛カタログ』とは永田正実(ながた まさみ)による漫画作品。1995年1月から集英社『別冊マーガレット』で連載。2013年には同誌で読み切り作品が発表されている。コミックは全34巻。
主人公の花本実果(はなもと みか)は優柔不断だが優しい性格の女子高生。コンパで高田修司(たかだ しゅうじ)に一目惚れし、一大決心して告白し付き合うことに。実果の妹・種(たね)と修司の弟・隆司(りゅうじ)との兄弟姉妹カップルを中心に、実果と修司の成長、そして仲間たちの恋愛を描くストーリー。

『恋愛カタログ』の概要

『恋愛カタログ』とは永田正実による漫画作品である。1995年1月から2007年5月まで集英社『別冊マーガレット』で連載された。同誌2013年11月号では6年ぶりに読み切り作が発表された。単行本は全34巻、文庫本全20巻。また2021年には、人気のあったサブキャラクターの笹錦望(ささにしき のぞみ:結婚後は加賀(かが)姓)を主役とした『笹錦さんと30歳の悩める仲間たち〜恋愛カタログ番外編〜』が発表されている。

主人公の花本実果(はなもと みか)は優柔不断だが優しい性格の女子高生。占いが大好きでいつも雑誌の占いで行動を決めていた。そんなある日、友人の小倉ユウ(おぐら ゆう)に誘われた男子高とのコンパで同い年の高田修司(たかだ しゅうじ)に一目惚れ。実果は占いで運命を決めるのではなく、自分の意思で決めようと決心し告白。見事付き合うことになった。2人を通して実果の妹・種(たね)と修司の弟・隆司(りゅうじ)も付き合い始め、兄弟姉妹カップルが誕生した。その後、同じ大学へと進学した実果と修司の成長、そして仲間たちの恋愛を描くストーリーである。

個性豊かなサブキャラクターが多く登場するのが今作品の魅力である。主人公である実果が平凡なキャラであるため個性の強いサブキャラクターの方が目立つくらいである。実果と修司の兄弟や高校・大学の友人などサブキャラクターにもそれぞれ恋愛などのバックストーリーが丁寧に描かれ、実果と修司がそこに関わって成長していく様子が魅力だ。

『恋愛カタログ』のあらすじ・ストーリー

付き合い始めた2人

花本実果は占いと恋愛マニュアルが大好きな高校2年生。ある日、親友の小倉ユウに誘われたコンパで同い年の高田修司に一目惚れする。占いやマニュアルに頼る自分を変えようと意気込んだ実果は、勢いも手伝って自ら告白し付き合うことになった。ユウも修司の親友・山根恭歌(やまね きょうか)と付き合い始め、4人で行動を共にすることが増えていく。初めは恋愛の仕方が分からず、空回りばかりしている実果だったが、修司と少しずつ絆を深めていくのだった。
ある時、修司は中学時代の同級生・本谷なつお(もとたに なつお)と再会。ピアノが得意な修司はなつおのバンドを手伝うことになるが、音楽に対する意見が割れてしまった。修司はなつおの力にはなれないと考え、結局バンドを辞めることを選ぶ。実果は修司の考え方を尊重し、2人はキスを交わすのだった。
高校3年になった実果は不破(ふわ)という男子高校生から告白される。彼がいるからと断った実果だったが、夏休みに修司と参加したボランティアで不破と再会。断りきれない実果に不破はアプローチをかけてくる。修司はやきもちを焼き実果を「偽善者だ」と非難してしまう。険悪ムードになった2人だが、ユウのフォローにより実果は不破に自分の気持ちを伝えることができ、修司と仲直りする。

種と隆司

ある時、実果は修司に似た中学生に絡まれる。それは修司の弟・隆司だった。生意気な隆司は何かと実果と修司の邪魔をしてきて、誕生日のデートも散々になってしまった。そのことを知った実果の妹・種は、隆司を殴ってしまう。種は極度のシスコンだったのだ。
その後も2人の邪魔を続ける隆司だったが、種に好意を寄せていることがわかり、実果たちは2人を近づけようと計画。種に隆司への興味を抱かせることに成功する。しかし2人はお互いの性格が災いし、実果や修司を巻き込みながらケンカやすれ違いを繰り返してしまう。
そして受験生の実果・修司・ユウ・恭歌は無事志望校のK大学に合格。卒業旅行に出かけたり、父の転勤で両親不在の高田家にお泊まりしたりと残りの高校生活を楽しむのであった。
そんな中、実果は修司の中学時代の恋愛話を聞く。当時、夏木結衣(なつき ゆい)という学年のアイドルとなんとなく付き合っていた修司。しかし修司に好意を寄せるいじめられっ子の郷右近望(ごううこん のぞみ)を結衣が罵ったことで修司の気持ちは冷め、プライドの高い結衣が修司を振るという形で2人の付き合いは終わっていた。

波乱のキャンパスライフ

K大学に入学した実果たち。しかし修司やユウとは学科が違うため教室は別々になり、新しい友達を作らなければと意気込む実果。そこに迫力のある容姿をした笹錦望(ささにしき のぞみ)が現れる。強引な笹錦に振り回される実果だが、笹錦が持ち歩いている好きな人の写真や、出身中学から笹錦望=郷右近望ということに気づいた。そしていずれは知られることだからと、笹錦に修司との交際を打ち明ける。その後から実果や周りの人間に対し、無言電話などの嫌がらせが始まった。実果は笹錦を疑うが、修司は笹錦を庇う様子を見せ2人は不穏な空気に。我慢できない実果は笹錦を問いただすが、中学時代のいじめの話を聞き笹錦を受け入れる。
笹錦は実果に連れられて、修司が幹事を務める同窓会に出席。再び結衣の嫌味攻撃を受けるが、今度は逆にやり込めることに成功するのだった。
外見に強いコンプレックスを持つ笹錦はダイエットのため、スポーツクラブに入会。そこでインストラクターの越光充(こしひかり みつ)に恋をし、いい雰囲気になるが、優柔不断な越光とは結局上手くいかなくなってしまった。
一方修司から「二人の仲が物足りない」と言われた実果は、修司の家に泊まる決意をする。恭歌の姉・明日歌(あすか)に素直な気持ちをぶつけるようアドバイスを受けるが、恐怖心から実果は修司を拒んでしまう。数日後、なんとか自分の気持ちを修司に伝えた実果だが「俺の気持ちはどうなるんだ」と返されてしまうのだった。

すれ違う気持ち

実果と修司は会わない日々が続いた。そんな中、明日歌がモデルの仕事で知り合い、交際していたカメラマンの大場(おおば)との結婚式を迎える。式に参加した際、修司は実果に距離を置こうと告げる。
一方、2人を気遣った種も隆司に別れを告げる。その後隆司はアイドル的存在の下級生・種村綾花(たねむら あやか)から告白されるが、種が隆司と綾花が2人でいる所を目撃。嫉妬心を認めた種は隆司への気持ちを自覚し、2人は仲直りをする。
隆司に振られた綾花は復讐を企てる。自分のファンに隆司を暴行させ、種を監禁しようとする。手違いで種の代わりに実果が監禁されてしまうが、偶然にも実果と同じスポーツジムに通う三条要(さんじょう かなめ)に助けられる。三条は実果を気に入りアプローチをかけるが、最終的には実果と修司の関係修復を助けることなり、2人は仲直りをする。
クリスマスのデートの際、実果は帰りたくないという気持ちが持てたが、伝えられずに終わってしまう。その後悶々とした気持ちを抱えるが思い切って気持ちを伝え、ついに修司と幸せな夜を過ごすことができた。
種が高校に進学した春、実果と笹錦は子供服売り場のアルバイトがきっかけで、少女漫画家の「春日ヤヒロ(かすが やひろ)」こと加賀靖弘(かが やすひろ)に出会う。

笹錦の恋と同棲騒動

加賀の落とした原稿を拾った笹錦はお礼の食事に誘われる。加賀に惹かれていく笹錦だが、自分を卑下してしまう笹錦は気持ちを抑えていた。実果は学園祭でサイン会を企画して加賀を大学に呼び、好きな人に告白をする「ビューティー計画」で笹錦に告白をさせることに成功する。
交際は順調そうに見えたが、うまく恋愛できないことに悩む笹錦。そんな笹錦に加賀は自分の子供の頃の話をし、笹錦の子供の頃や今までの話を聞きたいと伝え寄り添う。
ある日、修司の両親が転勤から帰ってきた。家が手狭になったため、修司は父から一人暮らしを提案される。実果は心踊らせるが、母の干渉が強くなってしまう。近所の人から「親戚の娘が妊娠して大学を辞めて帰ってきた」と聞かされ心配したのだった。不満を募らせる実果は、ある時、中学の同級生・松野(まつの)に偶然再会。親の反対を振り切り同棲をしている松野に影響され、両親と喧嘩をしてしまう実果。そこで修司は実果に同棲を提案し一緒に暮らし始める。しかし実果の両親は急に何も言わなくなった。実は修司が実果に内緒で両親に「ひとまず1週間だけ」と頼んでいたのだ。それを知った実果は修司が真剣に考えていないと憤り、修司の家を飛び出すが、やがて自身の未熟さを認識し自宅へ戻るのだった。
春になり、隆司は種と同じ高校、同じ文芸部に入部。実果は大学3年になり保育園実習が始まった。苦戦を強いられ、保育士に向いていないのではと悩む実果だが、少しずつ子供たちとの距離を縮めていく。

それぞれの道

秋になり、実果たちは就職を真剣に考え始める。修司は教育実習に参加したが手応えを感じられず、教師に希望を持てなくなっていた。そんな中、実果から保育園のお遊戯会でのピアノ演奏を頼まれ、園児と触れ合う機会を持った修司は、今一度教師に希望を見出す。
3月、実果に妊娠疑惑が持ち上がる。検査薬の結果は陰性だったが、修司を困らせようと実果は妊娠したと嘘をつく。すると修司が実果の両親に妊娠を告げ、結婚させて欲しいと言ったことから大騒動になってしまった。一方、試しに検査をした笹錦の方は陽性となり、加賀と婚約することになった。
保育士試験に合格し、就職が決まった実果。地元で教師になると思っていた修司には、離島の中学校教師の内定通知が届く。離れることに不安を感じる実果。更に離島の教師は異動がないことを知る。
自分がどうしたいのか、どのように子供と向き合いたいかを真剣に考えた実果は、保育園のことで調べたいことがあると言って大学の卒業式を欠席。修司の見送りにも姿を見せず心配されるが、出港ギリギリで荷物を持って現れた実果は、修司の乗る船へと飛び乗るのだった。

『恋愛カタログ』の登場人物・キャラクター

主な登場人物

花本実果(はなもと みか)

主人公。高校2年。保育士を目指して大学では幼児教育を専攻する。優しい性格で、占いと恋愛マニュアルが大好き。しかし人の意見に流されることもしばしば。人を傷つけたくないあまり、はっきりと断れないため偽善者と言われてしまうことも。修司との付き合い始めは我慢してしまうことも多かったが、少しずつ自分の気持ちを伝えられるようになっていく。料理やお菓子作りが得意。

高田修司(たかだ しゅうじ)

実果の恋人。高校2年。優しくて真面目だが、考えていることが周りに伝わらず誤解されることもある。あまり表に出さないが、実果のことが大好きでやきもちを焼く場面も見られる。種からは「好青年」と呼ばれている。ピアノが得意でインディーズバンドが好き。特にお気に入りのバンドは「オレンジマーケット」。将来は教師を目指しているため、家庭教師のアルバイトもしている。

花本 種(はなもと たね)

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