強い絆で結ばれた人々に起きた悲劇を描く映画まとめ!『母なる証明』など

ここでは強い絆で結ばれた人々に起きた悲劇を描く映画をまとめた。心に深い傷を負った父娘のすれ違いが生んだ悲劇を描いた『父の秘密』、息子を盲目的なまでに愛する母親の狂気を語る『母なる証明』などを紹介している。

▼『少年は残酷な弓を射る』

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”母の愛を渇望し、しかし相反した態度を取り続けた息子が起こした悲劇!”

映像化不可能と言われたライオネル・シュライバーの原作をリン・ラムジー監督、ティルダ・スウィントン、ジョン・C・ライリー、エズラ・ミラー主演により映画化した2011年の作品。旅行作家だったエヴァが妊娠し結婚するが、長男のケヴィンは幼い頃から彼女だけに悪意に満ちた反抗を繰り返す。妹が生まれ、ケヴィンも美しく賢い少年に成長するが、相変わらずエヴァとの関係は最悪。そしてある日、恐ろしい事件が起こる...。ティルダ・スウィントンの圧巻の演技はもちろん、冷徹な青年になった息子のケヴィンを演じた新鋭エズラ・ミラーにも注目。

母親の苦悩を超えた狂気を演じ切ったティルダ・スウィントンの演技はやはり凄いとしか言いようが無い。単なるスリラー・サスペンスを超えた緊迫感、そして起こってしまった残酷な悲劇...。しかし、ラストにはささやかな希望が見て取れる。

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残酷な弓を射ってしまう息子のケヴィンの青年期は、新鋭俳優のエズラ・ミラーが演じた。今作での演技が認められ、スティーヴン・シュボースキーによる青春小説を映画化した作品『ウォールフラワー』の主役格に抜擢された。この作品では、ハジケタ性格を持ったゲイの青年を好演している。

映画『少年は残酷な弓を射る』予告編 - YouTube

彼は最初から母の愛を求めていただけなのかもしれない…。ただその求め方が究極的過ぎただけ、もっと言えば全てを超越して自分だけを愛して欲しかったということなのかもしれない。

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彼女は、ケヴィンを愛するようになるまで、多くのものを失った。ケヴィンも、多くのものを失った。その意味で彼女は、誰よりも深くケヴィンを愛したのかもしれない。この物語は、「ケヴィンと真剣に向き合うまでの物語」なのかもしれない。

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苦悩しながらも息子を理解するために努力している母を苦しめることが今までのケヴィンの生き方そのものでした。それは倒錯した愛に違いないのに。彼はそこに気づけなかった。

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▼『何がジェーンに起こったか?』

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”姉妹の憎悪渦巻く異常な日々は、強い愛情の裏返しなのか?そして悲劇が。”

ロバート・アルドリッチ監督、ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォード主演による1960年の作品。古い屋敷に暮らすブランチとジェーンの姉妹。ジェーンは名子役スターとして一世を風靡したが、成長してからは仕事も無く、美貌のブランチの下で鬱屈した生活を送っていたのだった。ある日、ブランチが事故で半身の自由を失ってしまう。その日を境に、ジェーンの壮絶な虐めが始まる。

ラストの大逆転も見事な、サスペンス映画の逸品。徹底的に妹を虐め倒す姉の歪んだ愛情と憎悪。そして思いもよらない形で悲劇が訪れる。何がジェーンに起こったのか?

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ジェーンを演じたのは往年の演技派名女優ベティ・デイヴィス。1930年代~1950年代にハリウッド屈指の演技派女優として活躍した。『痴人の愛』『黒蘭の女』『月光の女』『偽りの花園』等の破壊力のある演技が絶賛された大女優。その後『イヴの総て』の悪女役で強烈な印象を残したが一時一線を離れ、今作『何がジェーンに起こったか』の悲痛なまでに鬼気迫る演技で見事復活を果たした。

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ブランチ役を演じたのは、ジョーン・クロフォード。彼女はサイレント時代から数えきれない程の作品に出演している。その余りにも個性的な立ち回り故か、人気の浮き沈みの激しい女優である。何度か結婚しているが実子は無く、4人の養子がいる。彼女の死後に出版された暴露本『親愛なるマミー』で、子供たちを精神的肉体的に虐待していた事実が発覚している。この作品の印象が痛烈だからか、実際にそうなのか、主演ふたりの確執も噂されている。

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今作の監督を務めたロバート・アルドリッジ。ジャン・ルノワールやジョゼフ・ロージーの下働きとして映画界に入った苦労人。1950年代には独立プロダクションを設立して自由な作品作りを行った。その作風は、戦争、西部劇、スペクタクルなど多岐に渡るが、全てにおいてハリウッドのヒット・システムとは離れたものだった。代表作は『ふるえて眠れ』『飛べ!フェニックス』『特攻大作戦』『甘い抱擁』など。ピーター・フォーク主演による名作『カリフォルニア・ドールズ』が遺作となった。

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老醜をこれでもかとさらけ出し、それを狂気的なレベルにまで持って行ったベティ・デイヴィスの鬼気迫る演技は、映画史に歴然と輝く名演だ。

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ブランチが肉体的に虐待されていたけれど、精神的に虐待されていたのはジェーンの方だったんですね。ロバート・オルドリッチ監督の面白い演出です。

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人々の顔には恐怖と嫌悪、嘲笑と好奇だけ。何がジェーンに起ったのかは、姉のブランチ以外、誰も知らない。その壮絶で孤独な光景は、胸がしめつけられるようでした。

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