ガラスの仮面(美内すずえ)のネタバレ解説・考察まとめ

「ガラスの仮面」は美内すずえによる日本の少女漫画作品。1976年から白泉社「花とゆめ」に40年以上も長期連載されている。2014年9月の段階で累計発行部数が5,000万部を超え、少女漫画の金字塔とも言われる大ベストセラー。
平凡な1人の少女・北島マヤが演劇への熱い情熱を滾らせ、演劇に全てをかけ、才能を開花させる。演劇界のサラブレッド・姫川亜弓と競いながら幻の名作「紅天女」を目指す超人気大河ロマン。

「みてらっしゃい…!わたしはあなたみたいなひきょうな役者は許せないの…!」

乙部のりえは、マヤの芝居を邪魔し、母の死にショックを受け弱ったマヤをはめる為に偽の看護師を雇い嘘の証言をさせ、暴走族を雇いマヤを拐かした。無理やり睡眠薬入りの酒を飲まされ気を失ったマヤは、翌日の初日舞台をすっぽかし、それがきっかけで芸能界を追放になった。

マヤが芸能界を追放された原因が乙部のりえにあると知った姫川亜弓は、卑怯な乙部のりえに制裁を加えるためにのりえが主演する舞台に親の力を使って出演することにした。
舞台が始まる直前、のりえの背を見つめながら、マヤのために復讐を誓った亜弓の名セリフ。「みてらっしゃい…!わたしはあなたのようなひきょうな役者は許せないの…!」
練習では抑えた演技でのりえを欺いた亜弓は、本番の舞台で本来の実力を遺憾なく発揮し、のりえに格の違いを見せつけた。

引用:白泉社文庫 ガラスの仮面 10巻

「おらあトキだ!」

母の死をきっかけに演技ができなくなったマヤ。与えられた役は乙部のりえに取って代わられ、マヤのために速水らが必死になって取ってきた役も嫌がらせを受けたり中傷を受けたマヤは演技が全くできなくなってしまっていた。
マヤは演技への情熱を無くし、このまま芝居をやめようと考えていた。しかし、大都芸能との契約のため勝手に辞めることはできない。憔悴したマヤを見かねた速水は、マヤを解放する代わりに、後1つだけ舞台に立ったら大都芸能との契約を解除すると約束した。

その条件を飲んだマヤが舞台に立つと、そこでもまたマヤに対するひどい嫌がらせがあった。石を投げられる場面では偽物ではなく本物の石を投げられ、食べるはずっだったまんじゅうは泥まんじゅうにすり替えられていた。
この場面ではマヤは必ずまんじゅうを美味そうに食べなければならない。「おらあトキだ!」マヤは舞台を壊さないために泥のまんじゅうを美味そうに食べた。
消えかけていたマヤの女優魂が蘇ってきた名シーン。

引用:白泉社文庫 ガラスの仮面 10巻

「2年よ!2年の間あなたを待ってるわ」

姫川亜弓が「ジュリエット」でアカデミー芸術大賞を受賞した。そのパーティー会場にて、月影から亜弓が次代の紅天女であると発表された。しかし、マヤにも可能性は残されており、2年の間に亜弓と同格の芸術大賞か、最優秀演技賞を取れば、紅天女候補に返り咲くことが許されるという。
速水に賞の取り方を教えてもらい、そのまま帰ろうとするマヤの腕を掴み、亜弓はマヤに言った。「2年よ!2年の間、あなたを待ってるわ。いいこと!途中でくじけたりしたらわたし…、もし、棄権なんてマネをしたらわたしあなたを軽蔑するわよ!いいわね、2年よ!あなたはきっとわたしと「紅天女」を競うのよ!2年後にあなたがわたしの前から消えていたらわたし…、一生あなたを許さなくてよ…!」

マヤに出会ってから敗北感ばかりを味わってきた亜弓は、マヤと正々堂々と戦うために、マヤに自分の思いを吐き出した。ライバルであるマヤを信じ奮起させるための亜弓の名セリフ。

引用:白泉社文庫 ガラスの仮面 12巻

「どんなに影が濃くても光がなくては影はできないのですよ…」

舞台「ふたりの王女」での亜弓の演技は圧倒的だった。憎まれ役のはずなのに、観客は亜弓のオリゲルドに感情を移入させオリゲルドの悲哀を感じている。これでは亜弓が主役になってしまう、と危惧したスタッフに月影が言った一言。「どんなに影が濃くても光がなくては影はできないのですよ…」
マヤという光があるからこそ亜弓のオリゲルドの影が際立つと教えた月影の名セリフ。

引用:白泉社文庫 ガラスの仮面 16巻

「いつまでも信号は赤ではありませんわよ」

マヤが初舞台を踏んでから、影からずっと紫のバラを贈りマヤを支援してきた速水。マヤの成長を見守り続けてきたが、いつしかマヤへの思いは女優としてではなく、1人の女性としての思いへと変わっていった。
マヤへの態度は憎まれ口ばかり、マヤの母を死に追いやり、「紅天女」上演権を得るためには手段を選ばない速水は、マヤから憎まれ許されることなど一生ないと思っていた。
しかしマヤは、マヤや月影にひどいことばかりする速水を初めは憎んでいたのに、最近では時折見かける優しい表情や、憎まれ口に隠された本当の優しさなどに触れるうちに、速水のことを憎からず思うようになっていた。しかし、まだ自分の気持ちには気づいていないマヤは速水の見合い話を水城から聞き、動揺してしまった。水城はマヤの気持ちに気づき、このままずっと影の存在で構わないという速水に忠告をした。「真澄様、いつまでも信号は赤ではありませんわよ」自分は憎まれているという思いが強すぎて、マヤの気持ちの変化に気づかない速水に、今のマヤの気持ちに早く気づけと教える水城の言葉。昔からマヤと速水の関係を見守ってきた水城の、速水の凝り固まった認識を揺さぶる名セリフ。

引用:白泉社文庫 ガラスの仮面 17巻

「真澄様、あなたの中の海は広すぎてぼくにはみえません…」

影からずっとマヤを見守り続け、いつしか愛するようになった速水。マヤが紅天女候補に戻るためには、2年の間に亜弓と同格の賞を受賞しなければならない。マヤが選んだ「忘れられた荒野」は演出家の黒沼と制作の大沢演劇事務所の社長との折り合いが悪く、芸術祭に参加できなくなってしまった。
紫のバラの人の代理としてマヤと接触させている聖から、報告を受けていた速水は、マヤが賞を取るためにはまず「忘れられた荒野」が演劇協会から注目されないといけないと言う。そのためのシナリオはできているが、それを演じてしまったら、さらにマヤから憎まれてしまう。それが分かっていながらマヤのため、あえて憎まれ役を買って出ようとしている速水に対し、聖が心の中でつぶやいた名セリフ。「真澄様、あなたの中の海は広すぎてぼくにはみえません…」
マヤを愛しているなら紫のバラの人の正体を明かせば一発でマヤの心を掴めるのに、それをせず、むしろ憎まれることばかりをやろうとする切ない速水の心が広すぎて分からない、という聖の思い。

引用:白泉社文庫 ガラスの仮面 18巻

「こい!ジェーン!」

大沢演劇事務所制作の舞台「イサドラ!」の初日を迎えた。黒沼の「忘れられた荒野」はこの「イサドラ!」とどちらがアカデミー芸術祭に参加するかで競っていた。結局、「イサドラ!」が大沢演劇事務所から出品され、黒沼は大沢演劇事務所から出なくてはならなくなっていた。
以前、速水が間に入りお互いの舞台を招待し合うことになっていたため、「イサドラ!」の舞台初日、黒沼とマヤと桜小路は舞台を見に行き、その後のパーティーにも出席していた。
速水から「イサドラ!」の舞台の感想を聞かれたマヤは、速水に言われるがまま舞台の1シーンを演じ始めた。舞台のセリフすべてを覚えているというマヤの言葉に会場中はざわつき始め、周囲の注目がマヤたちに集まったところで速水はマヤに狼少女を演じろと言ってきた。一緒にいた桜小路はマヤを止めるが、マヤは速水の挑発に乗り狼少女を演じ始めた。速水が投げた骨付き肉をマヤが奪えたらマヤの勝ち。速水は上着を右腕に巻きつけ、マヤと対峙する。
速水はマヤを挑発する言葉を吐き続け、怒ったマヤは唸り声を上げて速水に飛びかかっていく。その姿は本物の狼少女のようであった。
その様子は、「イサドラ!」の取材に来ていたカメラマンたちの注目を浴び、しきりに写真を撮られていた。
マヤの狼少女の迫力ある演技は周囲から注目され話題を呼び、パーティーに出席していたアカデミー芸術祭審査員や著名な劇評家などの興味を引き、「忘れられた荒野」の舞台をアカデミー芸術祭審査員たちが観劇することになった。このひと騒動が始まるきっかけとなった名セリフ。「さあ、こい!ジェーン!」

かつて速水が聖に話していた「忘れられた荒野」に注目を集めるための機会とはこのことだったのだ。確かにマヤは速水に辱められたと憤り、「だいっきらい!」とさらに速水を憎むようになった。
この結果が分かっていながら、あえて憎まれ役をした速水の優しさは、しばらく後になってからマヤにも理解できるようになる。

引用:白泉社文庫 ガラスの仮面 18巻

台風が吹き荒れる中、ただひとり速水だけが「忘れられた荒野」の舞台初日に現れたシーン

舞台「忘れられた荒野」初日、東京は大型台風の直撃を受け大荒れだった。劇場の前の道路は封鎖され、高速道路も一般道も封鎖。バスも電車も止まっている。交通手段がなく劇場までたどり着けない面々がいる中で、速水は早々に車を乗り捨て、徒歩で劇場まで向かった。
開演時間間際になっても誰ひとり観客が現れず、初日の舞台は中止かと思われたその時、会場に速水が到着した。びしょ濡れで現れた速水の姿に出演者は外の台風の凄さを感じた。

観客が一人現れたため、初日は無事幕を開け、出演者の気持ちは高揚した。出演者の心を救った速水の名シーン。

引用:白泉社文庫 ガラスの仮面 19巻

「おれの中の嵐も当分やみそうもないな…」

1syuntatann
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@1syuntatann

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