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yukki_dono1のレビュー・評価・感想

べしゃり暮らし
10

これはもう作者買いです

森田まさのり先生作の漫画「べしゃり暮し」です。何故作者買いと書いたかと言いますとこの森田先生がこの作品の前に書いた漫画が日本中でブームになった「ROOKIES」、その前が「ろくでなしBLUES」だからなのです。森田先生の作品は絵も大変上手で内容もしっかり詰まっています。そして話のところどころにお笑いの部分が入っています。この「べしゃり暮し」は連載前からお笑いの漫画だという触れ込みだったので、連載が楽しみで仕方なかったのを覚えています。
作者は普段から作中にお笑い要素を入れるみたいな事を書いていました。この作品の連載前には森田先生が1回漫画家活動を休止し、吉本工業の芸人養成所に入学して最初からお笑いの勉強をして作ったそうなのです。そして連載は週刊少年ジャンプで始まりましたが、コミックス3巻分を発売して何故か週刊少年ジャンプから週刊ヤングジャンプに連載の舞台が移ってしまいました。この時は「打ち切り?」と思ってしまいましたが、先生の体調不良が原因で、週刊ヤングジャンプで隔週連載になったという事を後で知りました。週刊ヤングジャンプに移る際にコミックス3冊分を1冊にした合本版をローソンで見つけて立ち読みした時は、あまりにも面白くてコンビニで声を出して笑いそうになり、我慢して涙が止まりませんでした。

怪物事変 / Kemono Jihen
8

登場人物が全員魅力的!

鹿の子村に住んでいる泥田坊と呼ばれていた主人公・夏羽がさまざまな人(怪物)と関わっていくことで、人間らしい心の成長を成し遂げていくところが見どころです。また、人間の姿をした怪物たちがたくさん出てきますが、どの登場人物も設定や人物背景が魅力的です。
メインで出てくるのは、主人公の夏羽と蜘蛛(アラクネ)と呼ばれる怪物の半妖であるシキ、雪男子の怪物のアキラ。はじめて出会った頃はギクシャクしている場面もありますが、一緒に時間を過ごしていくうちに信頼関係が生まれていくところが心が温まります。それぞれの登場人物の背景も内容が詰まっており、みんなで解決していこうとするところに胸を打たれるシーンも多いです。また、敵である狐の一味の人物背景も濃く、読んでいてなかなか憎むことができません。敵の仲間の中にもきちんと友情や愛情があるんだなぁと考えさせられる内容です。主人公は屍鬼(クーラー)と呼ばれる怪物と人間の半妖なので死ぬこともなければ痛みも感じませんが、他人の痛みを理解しようとする優しい男の子です。それがとても魅力的だし、どこかぼんやりしているようですが、自分の考えもしっかり持っているなぁと感じます。
登場人物全員がとても魅力的なので、誰にもいなくなってほしくない…!どのように話がまとまっていくのか、とても楽しみな作品です。

アズミ・ハルコは行方不明
8

行きづらいよねって共感できた。

10代、20代、30代の女性、それぞれ、悩みも生きづらさもあるってのがわかりました。
住む場所違わず、女性ということでいろいろ言われたり(結婚のこととか)とかあると思いますが、この映画は特に地方の独身女性の生きづらさがよく表現されていたなと思いました。たしかに地方って、みんな知り合いというか、ガソリンスタンドに行けば同級生が働いててとかあるから、いやだよねと共感しました。それに、この映画に出てくる男どもはほんといやなやつで、女は若いうちに結婚しなきゃとかいっちゃう奴らだから、春子はマジでしんどいだろうなと思いました。男たちが悪いと思わず、そういうこと言ってる風なのがまた闇深いなと思いました。
主役の春子は蒼井優ちゃんが演じています。私ももう若くないのねと思う女性の役ですが、蒼井さん自身は童顔だし、まだまだ大丈夫よと思っちゃいます。くたびれた顔をしていて、すごく演技がうまいなと思いました。高畑充希の空気読めないキャラも良かったと思います。
ストーリーは、時系列が行ったり来たりする系で、ちょっと把握が難しかったです。もう一度落ち着いて見たいなと思いました。役者の演技は文句なしでよかったですし、何度も見たくなる作品です。

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 / 旧劇場版 / 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に / Revival of Evangelion / 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生 / Neon Genesis Evangelion: Death & Rebirth / 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に / The End of Evangelion
8

言葉で悟った直後に行動で間違う。

シンジを奮い立たせるために、ミサトは彼を叱咤し、説得し、激励します。本作屈指の名シーンです。その直後にキスをします。シンジはミサトに対して、母や姉のような存在であることは求めても、性的な存在であることは求めていません。ミサトはそれを最後の最後まで理解できていないままですが、シンジが前に進む可能性が少しでもあるならと、間違った行動をしてしまいます。どこまでも擦れ違い傷つけあう人間関係を描いてきた本作ならではの悲しくも醜悪なシーンと取ることもできますが、本来他人であるミサトがシンジと本物の家族になろうと必死に足掻く姿とも捉えることができます。
そしてラストシーンでは、“自分を他人に認められたければ、自分も他人を認めなければならない”という人という生き物の本質を悟ったシンジが「他者の肯定」に目覚め、人類全てを融合させることで他人という異物を排除しようとした人類保管計画から決別します。しかしその後、シンジは隣に倒れていたアスカの首を締め始めるのです。「他人という異物と共にあり続ける」ことを選びながら、その異物から与えられる痛みに耐えられずにそれを排除しようという、ある種本末転倒な展開です。人生の選択を間違えること、進んでは後悔する事の繰り返しという流れに囚われ続けることを受け入れるという点では、中途半端なまま終わったTV版よりも一歩先の話になっていると思います。それは常に相手から否定的な目線を浴びる可能性が続く事を意味しています。しかし、それに対して、カヲルの「その可能性(他人という異物によって与えられる痛み)こそが、自分と異なる何かがこの世に存在するという希望そのものなんだ」という言葉がとても心に残ります。
直後、アスカが覚醒するシーンのカタルシスだけでも見る価値は大いにあります。登場人物の誰もが自分の理屈でしか行動していない今作において、シンジが初めて生々しい他人の感情をぶつけられる場面になるので、リアリティのギャップがえげつないです。