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roki_rokiko8のレビュー・評価・感想

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
10

新感覚バディ冒険譚

この漫画の舞台は明治20年代。日露戦争の帰還兵・杉元佐一とアイヌ民族の少女・アシリパがひょんなことから出会い、アイヌの男たちがどこかに隠したと言われる金塊をめぐる事件に関わっていく、北海道冒険譚です。
この作品の見どころは「隅々まで濃いキャラで満たされた世界で起こる、ギャグとシリアスのジェットコースター」にあります。
主人公の杉元は「不死身の杉元」の異名を持つほど戦闘能力に優れ、相手を敵と認めれば容赦なく殺しにかかるような人間でありながら、虫が苦手で少女雑誌を愛読している。その相方のアイヌの少女アシリパは凛とした顔立ちでさまざまな変顔をこなし、杉元が携帯している味噌を「オソマ(うんこ)」と言って譲らない。
彼らの敵対勢力として描かれる陸軍第七師団の構成員は「戦争で前頭葉の一部が吹っ飛んでいて興奮すると変な汁が出る中尉」を筆頭に、「サーカスの少女団に少女の衣装を着て真顔で混ざる屈強な軍曹」「興奮すると早口の薩摩弁になってしまって何を言っているのかわからない少尉」「精子をものすごく飛ばせる上等兵」と濃いキャラが乱立。
一見するとぶつかり合って調和しないような濃いキャラたちが、しかしきちんと関係を成立させている。そこを上手く調和させているのが、激しい緩急で巻き起こるギャグとシリアスの相転移です。
味噌をうんこだと思っていたヒロイン・アシリパは勇気を出して口にしてから味噌を好むようになったものの、呼び方は「オソマ(うんこ)」のまま。どう見てもギャグのための設定かと思いきや、ある事件をきっかけに相棒の杉元と別れて行動する中で、「杉元のオソマがなくなってしまった」と呟く彼女のセリフには寂しさが滲み出る。
登場人物一人一人が持つ濃いキャラクター性がギャグにもシリアスにも転ぶことで、うまく調和を保っている。その転換のスピードに読む人は巻き込まれ、逃れることはできないでしょう。

ジパング(漫画)
10

歴史の知識も補える仮想戦記

「ジパング」は、かわぐちかいじ氏のSF仮想戦記です。最新テクノロジーを備えた海上自衛隊の護衛艦「みらい」が、第二次世界大戦の真っ只中にタイムスリップしてしまうのです。ミッドウェー海戦、アッツ・キスカ島撤退作戦、占領下のシンガポール、ガダルカナル島の戦い等、忠実に則って物語が進行します。大戦史好きには当然お勧めの作品ですが、歴史に興味があってもなくても、歴史認識のための知識を補うことのできる機会にもなる内容になっています。また、近代のイージス艦「みらい」に搭載された数々の近代兵器や、V22オスプレイを参考にした架空のティルトウイング方式の国産垂直着陸機「海鳥」が登場したり、ミニタリーマニアの心をガッチリ掴んでいます。最新鋭イージス艦と大戦機の大軍との戦闘等、随所に描かれる戦闘シーンはとてもダイナミック。戦闘シーンのみでなく、原子爆弾開発のためにドイツに渡ってアドルフ・ヒトラーと対峙したり、中国共産党の毛沢東と戦況を画策する等、政治的背景をも巻き込んで進行する物語は圧巻。錯綜する登場人物たちの人間模様も目まぐるしく展開し、当時の大戦の様子を多角的に触れることができる素晴らしい作品です。

男はつらいよ 寅次郎恋歌
10

博の父

博の母が亡くなるというエピソードの話でした。博が母の葬式で、父や兄弟たちに母は可哀想な人だったと泣いたりします。父の奴隷のような人生だったと。博は本当に優しい人だなと思いました。でも、夫婦のことは子どもでもわからないところはあるだろうし、父も可哀想だなと思いました。寅さんは別に呼ばれてもないだろうに、葬式?お通夜?にきちんときて、義理人情が厚い人だな、寅さんらしいと思うし、その後父も1人で大変だろうと、その場に居座ったり優しいと思いました。さくらは、まあなんて迷惑なと言ってたけど、父はうれしかったと思います。確かに寅さんって遠慮知らずのところはありますが、やっぱ人の懐に入り込むのがうまいというか、寅さんならいても気にならずただ嬉しい気がします。あと、博の父は博のことをちょっと悪く言ったりしますが、博識だし、言うことがとても文学的で素敵なことを言うので好きです。寅さんが彼の言うことで、結婚もいいなと思うのもわかる気がします。博の父のエピソードが楽しめる作品としてもいい作品だなと思います。あと寅さんが珍しく、ヒロインに振られない回です。ヒロインは女手一つで子供を育ててる女性で、喫茶店を営んでいるのですが、誰か他の男が現れるわけではないし困るとか言うわけではないのですが、寅さんが自ら身を引く感じでした。