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nancyrose7

nancyrose7のレビュー・評価・感想

TARI TARI / タリ タリ
10

見る人の心が綺麗になっていく青春物語。

「TARI TARI」は青春物語のアニメ。
高校生最後の夏、合唱部に所属する主要5人のキャラクターがそれぞれの悩みや思いを抱えつつも共通の夢を諦めず、最後まで力を合わせて夢を叶えるという友情の大切さを改めて感じさせてくれる最高のアニメです。
高校生の目線で描かれているアニメですが、大人の社会でも忘れがちな目に見えない大切なことに改めて気づかされ、1話毎に少しづつ心が綺麗になっていると感じさせられます。

そして、TARI TARIで欠かせないもう1つの大切なものが”音楽”です。
”音楽”がとても大切なキーワードになっています。
青春時代、勇気をくれたり心を支えてくれた音楽はありますか?
学校からの帰り道に友達とずっと歌い合った音楽はありますか?
きっと、どんな方も大切な音楽やアーティストはいるかと思います。
TARI TARIでは、"音楽"を通して友達との絆を深めたり、時には励ましあったりと"やっぱり音楽って良いな”と感じられる場面が多くあります。

また、TARI TARIは日本のアニメ会社のP.A.WORKSさんによって制作されており、「true tears」「花咲くいろは」も同じ制作会社によって制作されています。
舞台とされた江ノ島も綺麗に描かれており、素晴らしい音楽に加え、絵のクオリティにも感動するでしょう。

flat / フラット
8

サボり癖のあるゆるゆる男子高校生と、まじめな幼児の男の子とで展開される、ハートフル日常漫画

主人公は、名は体を表すといっても過言ではない、起伏のない平らかな日常を送ろうとしている男子高校生・平介。
ゆるゆるした性格、感情の起伏が薄い性格、といった感じで、ワルではないのですが授業は気分でサボりがちで、他人の感情の起伏に疎い一面もあります。
ですがそのゆるさや構えない性格から、周囲の知り合いや友達とは良好な関係を築いたり、逆にきまじめな後輩からは目の敵にされたり、といったように、本人は平穏に生きたいものの、なんだかんだで周りに引っ張られることも多いのです。
主人公は一話で、親戚の子ども・秋の面倒を、おばの留守中に見ることになります。
秋はわがままをあまり言わない、自己主張をあまりしない、手のかからない良い子…なのですが、実際は寂しさを押し込めて我慢しようとする、けなげな子どもでした。
そんな秋にすぐ気づくというわけではない平介だったのですが、一緒にいるうち、秋が我慢していることに段々気づいていき、「我慢しなくていいよ」と告げます。
秋はそんな平介を優しいと感じ、どんどん懐いていくのです。
秋の、わがままをあまり言わないようにしようと思いつつも、平介と遊びたい、一緒にいたいという気持ちをどんどん隠せなくなっていくいじらしさ・もどかしさ、そして秋や周りの人、友達二人に振り回されつつも、持ち前のゆるさを失うことのない平介のキャラの濃さ・面白さが、それだけで最後まで読ませるほどの、強い魅力です。

UNISON SQUARE GARDEN / ユニゾン・スクエア・ガーデン
10

このバンドに乗り遅れるな

ギター&ボーカルの斎藤、ベースの田淵、ドラムの鈴木の超絶テクニックを持った三人が、ひとつのバンドで音を奏でるだけでも奇跡です。
そこにベースの田淵のトリッキーな歌詞と圧倒的なスピード感を持ったメロディ。
正確でありながら情熱的な鈴木のドラム。
そしてその詞と音を正確に声に乗せて歌い上げる斎藤のボーカル力。
圧倒的なスピード、耳に入っては流れていく歌が、不思議なぐらい耳から離れない。
そして麻薬のように何度も何度も聴きたくなる。
これが15年選手のギラつきかと感嘆してしまう。しかしそのギラつきの中にキラリと光る虹のような爽快さをも秘めている。
こんなバンドを聞き逃すなんて勿体無い。ファンを置いてけぼりにするようなスピードに追いつこうと追っかけて追っかけて追っかけているうちに、UNISON SQUARE GARDENの魔法にかかってしまっている。
そして難儀なことに、この魔法はなかなか解けないんです。いえいえ、解けないようにと願ってしまう自分がいる。
どこの美少年かと思うような斎藤のボーカルから紡ぎ出される田淵の皮肉った歌詞がまた、憎らしいぐらいにこのバンドをただの「かっこいい」「うまい」バンドにしてくれない。
そんな簡単な評価ができないからこそ、振り切られそうになりながら縋りつく。
掴めそうで掴めないUNISON SQUARE GARDENのしっぽが、素晴らしい音楽の世界へと誘いこんでいる。

WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜
9

気軽に、やってみる。

三浦しをんの小説「神去(かむさり)なあなあ日常」を原作としている本作品。
「ウォーターボーイズ」や「スウィング・ガールズ」など、あまり日の目を見ない部活やカルチャーにスポットを当てることを得意とする矢口史靖監督がメガホンを取りました。
大学受験に失敗、夢が無い・今が良ければハッピーのダメダメな男子高校生・勇気がひょんなことから林業を学ぶことになり、様々な紆余曲折を経て、“山の男”へと成長していく物語です。
映画冒頭、林業の仕事を学ぶべく研修先へ行く勇気ですが、人の多い東京の街を他人とぶつからずにスムーズに歩き、スマートフォンで音楽を聞きながら向かうシーンは今どきの若者としては当たり前の動きです。ですが、研修も終わり東京へ帰ってきた勇気は、東京の人の多さ、まっすぐ歩けないつらさ、以前は気にならなかった肩と肩がぶつかっても謝らない人たちの冷たさを痛感します。家に帰ろうと歩いていたときどこからか木のいい匂いがしてきて勇気は自分がいるところはここじゃないと思い、村へと帰り物語は終わります。
今が良ければ、楽しければOKな勇気でしたが、林業は短期間の仕事ではありません。手作業で木の苗を植え、良い木が育つように間伐したりと何人もの人が何百年もかけ、こなしていく仕事です。勇気は自分の子供、孫のことまで考えたことがなかったのでそのようなことを棟梁が言われ、将来について真剣に考えるようになったシーンが印象的です。
林業だけでなく、農業や漁業などは人材不足が大きな課題です。IT技術を用いて、若者を取り込もうと努力しています。
この映画は若者には特に響く映画だと思います。夢ややりたいことも特に無い、でも社会に出るのは怖いと考えているのなら、「何でも興味を持ったものはやってみる!」と力をくれる作品です。実際、主人公の勇気も林業の紹介の冊子の表紙を飾っていた女性に会いたくて村に行ったくらいです。そして、現在働いている若い社会人にも響くのではないでしょうか?やりたいことも無い、楽しくもなく、淡々と過ごす日々を少し見直してみる、新たな経験をしてみる、そんな人の背中を押してくれる作品となっています。