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mrdt_555u9のレビュー・評価・感想

四月の永い夢
7

元気を取り戻していく日常

取り立ててストーリーが面白いわけでもなく、27歳の音楽教師の生活と心の動きを淡々と描いた映画。どこにでもあるような日常、テレビもなくラジオを愛聴しているような生活で、引っ越すわけでもなく、同じ町で恋人の思い出を引きずって生きている。それが教え子との再会、初海に恋心を抱く若い青年からの告白によって少しづつ過去の呪縛から解かれ新しい生活、人生を踏み出すようになる。恋人の家族、両親や妹といまだ交流を持っているのだから恋人のことを忘れて次に進むには難しいと思う。初海は恋人の母親に死ぬ4か月前に実は別れていたことを告げる。自分の気持ちの整理をつけたかったのだろう。自分の過去は過去としてしっかり整理をつけて、また恋人にこれからも手紙を書く決心をする。強い女性だ。でもそのことによって告白してきた若い青年のことを思いやる余裕も出てくる。最後笑顔が出てきて本当に良かったと思った。人は思い出のみで生きるものではなく、思い出はこれから作るものである。

聖の青春
9

1994年、プロ棋士・村山聖(さとし)六段は、将棋界最高峰のタイトル「名人」を目指し、15歳の頃から10年間弟子入りし同居していた森師匠の元を離れ、上京しようとしていた。聖の上京を広島の両親は強く反対する。それは、聖が幼少期より「ネフローゼ」という腎臓の難病を 患っていたからである。彼は、常に死と隣り合わせで生きていたのだった。なぜ彼は、そこまでにも将棋という物への執着に命をかけたのか?これは、村山聖という一人の人生の物語ともいえる作品でもあります。

将棋を通じ、人生の楽しさや魂の輝きを表現してくれた作品でもあり、一人の人生物語でもありました。
実際の天才棋士で、難病を抱えながらも将棋へ魅了された、村山聖の熱く生きた証を、松山ケンイチが見事なまでに演じ切ってましたね。

将棋への圧倒的な熱さ、情熱の注ぎ方に観るものへ、生きることの大切さを教えて頂けるような作品でもありました。

将棋をしている以外は、少しチャーミングな部分と、将棋以外への関心のなさや
人間性にも、素晴らしい人格者だと思わせるシーンの数々には、笑わせてもらいました。

いざ、将棋モードになると表情が一変して、近寄りがたいオーラを出す...

何とも、人を惹き付ける魅力的な人ですね。

難病があるのを忘れさせられるくらいに...

天才、羽生善治との対局...
張りつめた空気感のなかなも、両者の燃えたぎる熱量が感じ取れました。

終盤の羽生善治と、食堂での対談...
頂点を極めた同士でしか解り合えない会話の数々には、心揺さぶられました

将棋という物を通じ、人間の暖かさ
人生の楽しさを教えて頂いた作品でした。

村山聖という一人の人生の壮大で、「生きること」に
これ程までの情熱と信念を貫き通し、短くて密度の濃い
人生を歩む彼の、生き様に共感して頂ければと感じて
います。

彼が、残した足跡とは一体なんだったのだろう?
答えは、分からないが一つだけ確かな事は言えるだろう
それは、日々生きることに感謝できる事の喜び。
そんな事を、将棋という世界を通じ感じた作品でもありました。