mo_0u0rio6@mo_0u0rio6

mo_0u0rio6
mo_0u0rio6
@mo_0u0rio6
3 Articles
2 Reviews
0 Contributions
0 Likes
mo_0u0rio6

mo_0u0rio6のレビュー・評価・感想

レッド・ドラゴン / Red Dragon
10

狂気な面はその人物の一面にすぎない

「噛みつき魔」と呼ばれる連続殺人犯を元敏腕FBI捜査官が追うサイコサスペンス映画。
レクター博士シリーズの中ではグロテスク要素は抑えめなので、比較的ストーリーに集中できました。
ずっと気になっていたレクター博士が捕まった経緯がさらっと冒頭シーンになっていて贅沢な作品だなと思います。
レクター博士の一言一言が深く無駄のない言葉選びが心に刺さります。
ハンニバルで狂気的な一面ばかり目が行きがちですが、本当に恐ろしいのは常人には理解できないほど知的過ぎることなのではないかと思います。
今回の事件解決のために動いている元FBI捜査官ウィル・グレアムを大きく助け、そして陥れる役回りです。
グレアム捜査官はレクター博士を逮捕した人物で、犯人の心を読むことが出来るプロフェッショナルでした。
正常な精神を保ちつつ犯人の精神に近づくというのは、考えてみると常軌を逸していることで自身も悩んでその才能を嫌っていたのが印象的でした。
引退後は家族と穏やかに暮らしていましたが、心のどこかで事件を求めていた感じが見受けられ隠している狂気的な探究心がレクター博士に気に入られた理由なのだろうと思いました。
この映画が印象的に思えた一番の理由は、犯人フランシス・ダラハイドのストーリーにとても重きをおいていたからです。
同時進行でストーリーは進み、ダラハイドの心の移り変わりがとても分かりやすく描かれていて同情を誘います。
人を殺すことに罪の意識を感じないほど純粋ともいえる狂気の背景には、悲しい理由がありました。
どんなサイコな犯人でも寂しいという感情も、人を愛したいという感情もあり、その愛情が不足することで心に異常をきたすのだと考えさせられる作品です。
どのように犯人を追い詰めるかも面白いですが、キャラクターそれぞれの心境をみて頂けるとよりこの作品を楽しめます。

ライムライト(映画) / Limelight(film)
10

これぞまさしくヒューマニズム

映画「ライムライト』はチャールズ・チャップリン後期の名画です。1952年に公開されました。
チャップリン演ずる老コメディアンを巡る笑いと涙を起こさせる傑作です。
この作品の魅力はどこにあるのでしょうか?
それは初めて素顔を見せたチャップリンが売れなくなってしまって久しい老コメディアンを楽しくしかし切なく演じているところにあるでしょう!
その演技は実に巧みで円熟の極みです。蚤にダンスをさせるという巧みな趣向も笑わせますが、それを見事な演技で見せるところがさすがという感じですね!
即ちこの作品のシナリオもとても巧みで洗練されているわけです。
この作品を見て涙しない方はいないと思います。
久し振りにショーで演ずる機会を得た主人公がその古臭い芸のためにお客さんたちに全くウケなかったところなどは、とてもリアリティがあって見事です。
さらにいえば、チャップリンが作曲したこの映画の音楽が素晴らしいことをを忘れてはいけません。
この作品はチャップリンが米国で撮った最後の作品です。
彼は「殺人狂時代」で米政府の怒りをかってしまい、欧州へ帰ることになりました。
しかし『ライムライト』には『殺人狂時代』のような強烈な諷刺はありませんが、人間に対する愛が溢れています。
これぞヒューマニズムというところですね!
名画は永遠なのです!