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komechan6のレビュー・評価・感想

エリスの聖杯
8

ただの悪役令嬢ものじゃなかった!

誠実だけがモットーの子爵家の令嬢、コンスタンス・グレイルはハームワース子爵が主催する小宮殿(グラン・メリル=アン)の夜会に参加します。
そこで婚約者のニールが男爵家のパメラと浮気しているところを目撃してしまいます。落ち込むコンスタンスは更にブレンダ・ハリスの髪飾りの窃盗という濡れ衣まで着せられてしまうことに。助けを求めるも誰1人味方をしてくれず、目を逸らされるコンスタンス。絶体絶命の窮地に陥る彼女の元に、10年前処刑された稀代の悪女、スカーレット・カスティエルの亡霊が現れ、コンスタンスに乗り移ります。亡霊が乗り移った彼女は文字通り別人。抜群の記憶力とカリスマ性ある話術でその場を一気に圧倒、髪飾りの窃盗の免罪も容易に晴らしてしまいます。それだけでなく婚約者を奪ったパメラには女性として格の違いを見せつけ、「すべてにおいて負けた」と思わせてしまうほど。小気味良いスカーレットの流れるような逆転劇は一見の価値あり、読んでいて最高にスカッとしました。
第1章では痛快な逆転劇を見せられますが、それ以降は打って変わって貴族社会・ひいては国家の闇を描くクライムサスペンス・ミステリーものに変化していきます。なぜスカーレットは無実の罪で処刑されたのか、裏で糸を引いていたのは誰なのか、題名になっている「エリスの聖杯」とは何を指しているのか…次から次へと2人に降りかかる問題解決のために、スカーレットが指示する内容は凡人コンスタンスや読者には思いつきもしないような内容ばかり。読む手が止まらないとはまさにこのことでした。

ハイキュー!! / Haikyu!!
10

バレーを通した成長物語

中学時代に偶然見かけた春高バレーの「小さな巨人」に憧れた日向翔陽が、ライバルである天才セッター影山飛雄や部員と切磋琢磨しながら成長していく青春スポーツ漫画。
中でも特に注目したいのは、主人公のライバルである影山飛雄の成長記録だ。影山飛雄は、中学時代のあだ名は「コート上の王様」。自分と同じ技術をチームメイトに求めるあまり、孤立してしまいそれがトラウマとなっている。烏野高校入学時も、「全部俺一人でできればいいのに」と、王様気質が抜けきれず、主人公や仲間とつい喧嘩してしまうこともしばしば。しかし仲間と数々の試合を乗り越えていき、仲間と協力することで、彼は協調性を高めていく。そして、春高バレー準々決勝敗退時には「このチームでもっと上に行きたかったです」と放ち、チームメイトを驚かせる。高校入学時には想像もできなかった言葉だろう。彼は烏野高校に入学し、日向翔陽をはじめとする同級生・先輩というかけがえのない仲間たちと出会えたからこそこの言葉である。
影山だけでなく、ハイキューは登場人物それぞれに成長物語があり、必ず誰か一人は感情移入できるキャラクターがいると思う。
この作品であなたの「推し」を見つけてほしい。