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kinkuma841w3のレビュー・評価・感想

わたしの幸せな結婚
10

交互に訪れる胸糞感と爽快感が絶妙

とある名家で生まれた女性が母親を亡くし後妻としてやってきた継母と実の父親との間に生まれた腹違いの妹からの執拗な嫌がらせを受け、その後家から追い出されるところから物語は始まります。時代背景上では嫁に出される流れですが、嫁がされた先は「冷酷無慈悲」という悪名高い名家の当主のところでした。実の母親の形見も無く荷物は古着のような着物2着と壊れかけの櫛のみ。付き添いもなく1人で簡易な地図を頼りに嫁ぎ先へ向かった主人公。当主へ挨拶にいくと理不尽な言葉が返ってきます。「私が出て行けと言ったら出て行け。死ねと言ったら死ね。反論は許さない」。しかし、主人公は「承知致しました」と答えるのでした。その言葉に少し違和感を覚える当主。
この嫁ぎ先から追い出されたら帰る家もない主人公は、翌日早起きをして当主の為に朝食を準備します。当主を幼い頃からお世話してきた優し気な中年女性が主人公を労い、一緒に当主の元へと朝食を運ぶのでした。お口に合うだろうかと心配していた主人公。ですが、当主から出た言葉は意外なものでした。「ここに来て食べてみろ。毒でも盛ったか、次からはもっと上手くやれ」。朝食に手を付けずに仕事に出掛けた当主に呆然としながらも、その日の夜に帰宅した当主に頭を下げ名家の当主が見知らぬ者の食事を口にしないのは当然のこと、自身の配慮が足りなかったと謝罪するのでした。

ウインド・リバー
9

ネイティブアメリカンの現状

少女失踪を基にした映画はアメリカで多く作られていますが、本作は単なるサスペンス物では無く、実に優れた社会派スリラーとなっています。
アメリカの良心を象徴した、カウボーイ姿でハンターの主人公はネイティブアメリカンの人々と支え合い雪深い山岳地で暮らしています。しかし彼は娘を亡くしています。犯人はわかりません。
彼は友人のネイティブアメリカンの娘の死体を発見した事で経験の浅い女性FBI捜査官と事件に協力する事になります。
映画を見ていく中、観客はある事に気付きます。ネイティブアメリカンの父親が捜査官に心を開かない事、事件性が無いと警官は動かず数も少ない事、採掘所で働く酒に女に溺れる粗暴な男達、カウボーイを嫌う、ヤク中の悪い若者達…皆希望無く彷徨い生きるこの雪の地帯はどこか普通とは違うのです。
実は現実の世界でも多くのネイティブアメリカンの女性が失踪し、死体さえ見つかっていません。物語の舞台は現在もアメリカ各地に残る、ネイティブアメリカン強制居住地そのものなのです。
この強制移住により、国は見返りにカジノ施設等を作り雇用を用意しましたが、残ったのは依存症患者や犯罪の増加でした。故郷を奪われた彼らは生きがいを無くし、ヤクや酒、女等にはまりました。一番弱い女性がおそらく犠牲になっているのでしょうが、映画は真実まで教えてはくれません。
カジノ問題や人種差別等は日本人にも身近な問題です。説教じみた映画では無く、娯楽作品として十分楽しめます。大人も若い人も見るべき作品だと思います。