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Sota21のレビュー・評価・感想

閉鎖病棟 ―それぞれの朝―
10

ハッとするラスト。初めは退屈な時間が静かに流れるが、気づいたらのめり込んでいた。そんな映画だ。 笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈はもちろん脇役からも目が離せない。本当の家族とは、絆とは何なんだろう。偏見に負けず、必死に生きる人々の日常が淡々と描かれている。今こそ見たい映画だ。

モノクロの画面で、主人公秀丸の死刑が執行される場面から幕を開ける。
その後、場面は切り替わり、閉鎖病棟での日常が、ときに微かな笑いも交えて静かに淡々と進んでいく。
死刑執行に失敗し、車椅子で陶器を作る秀丸。秀丸を慕うチュウさん。父親からのDVが原因で強制入院させられる女子高生のゆき。
それぞれが居場所がなく、いつしか心地よい家族のような存在になっていく。
カメラ小僧の青年を交えて、4人で買い出しに出かける姿は、不揃いで誰もかみ合ってはいないが、幸せな家族の姿そのもののような気がした。
その後、さなえさんという家族のいない孤独な老女が、海で命を投げてしまう。
表面上は、温かな家族に囲まれ、裕福な暮らしをしていると装っていたことを閉鎖病棟にいる仲間は知っていたが、現実を目の当たりにして、彼らは苦しむ。
それから、閉鎖病棟にいる気の荒い男が起こした事件が、秀丸を再び殺人犯にしてしまう。
第一の殺人の場面と重なりやりきれない気持ちになる。
殺人現場を息子のような存在のチュウさんに目撃され、「来ないでくれ」という声が小さく漏れる場面が秀丸の抱えてきた苦しみ、葛藤をあらわしている。
ラストにかけての裁判の場面には、姿を消していたゆきの姿が現れる。
髪が伸び、化粧をして凛としているゆきが、秀丸がなぜ殺人を犯してしまったか真実を語る。
秀丸に買ってもらったえんじ色のシュシュをきゅっと結んだ姿は以前とは別人のようだ。
チュウさんも以前の自信のないチュウさんではなく、判決の下った秀丸を追いかけ「オレ、閉鎖病棟出たんだよ。出られたんだよ。」と大声で叫ぶ。
ラストは刑務所の広い運動場で、車椅子から立ち上がろうとする秀丸の姿が映し出され、エンドロールを迎える。
Kが歌う曲は静かなバラードで静かな涙を誘う。
心の奥底に訴えられるような映画だった。
普通に生きることが困難な人たちの心の部分に少し触れることができるかもしれない。
人との絆は素晴らしく、家族は血のつながりだけではないことを知れるとっておきの映画だと思う。

プロメア / PROMARE
10

火消し魂に揺さぶられる大炎上アニメ映画

スカッとしたい人にオススメしたい、アニメのハリウッド映画と言って良いほどのアクションと爽快感ある映画です。火を操れるバーニッシュと呼ばれる人々が、発生するようになった地球が舞台となって、新米消防士の主人公が活躍するお話です。
幼少期の頃、火事の中1人だけ助け出された主人公が、消防士になって初めての出動から話が始まります。序盤は、熱血感でお調子者な印象が強く見られますが、しっかりと自分の立場を弁えて行動できる理性も持ち合わせています。
本映画の炎の演出は、かなり特殊なものとなっており、固形物のようになったり、一般的な揺らぐものになったりと多くの形態をとります。色合いもパステル調のものが多く、戦いの内容に反して涼やかな印象が残ります。
反して内容に関しては、中盤から少し重い部分もありますが、後半は怒涛の盛り上がりを魅せます。キャラ同士の掛け合いなども面白く、飽きずに見続けられます。
使われている曲は「inferno」や「覚醒」を筆頭に名曲ばかりで、聴覚からも場面を盛り上げてくれます。
特に印象に残るのは堺雅人さんのセリフの数々です。豊かな声色のバリエーションで、どんなシチュエーションにもマッチしています。これだけでも見る価値はあると思います。特に後半は見せ場の連続となっています。