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Oku7のレビュー・評価・感想

聲の形 / A Silent Voice
7

イジメという問題に向き合うことのできる作品

こちらのアニメ作品は主人公の石田将也という少年が、小学生の頃にしてしまった過去の過ちを、高校生になった現在の自分と向き合いながら乗り越えようとしていくストーリーだ。

小学生の頃はクラスで影響力を持っていた主人公。ある日耳の聞こえない転校生の少女がやってくるのだが、主人公を含めてクラスのみんなもまだ幼く、上手く受け入れて接する事ができないのだ。
何とか周りに溶け込もうとする転校生だったが、いつしか孤立しイジメられるようになっていく。その中心となっていたのが主人公であった。
しかしそのことが主人公自身を孤立させ、人と接することが苦しい毎日を送るようになる。この描き方は厳しくも大切な真実を伝えようとしているのではないだろうか。
人が人を傷つけてしまうことも、傷つけられることも世の中には当たり前のように溢れているが、「傷つけた経験」「傷つけられた経験」この両方ともを持っている人は多くはないからだ。
対極を知らないと分からないことや見えないことばかりの世の中で、イジメという問題もその1つなのだ。

この作品はその対極を苦しいまでに現実的なものとして映し出しているのだ。人との向き合い方、自分との向き合い方、人生で大切なものは何か、失くしてはいけないものは何か、そんな色々な事を考えさせられる素晴らしい作品である。

ワールドトリガー / ワートリ / World Trigger
8

読めば読むほど味が増していく「遅効性SF」

「近界民(ネイバー)」と呼ばれる異世界人との近未来SFバトル漫画です。
ジャンルとしてはSFバトル漫画といったもので、異世界の近未来的な戦闘技術を現代に落とし込んだ能力モノバトル漫画になっています。

一つ目のおすすめポイントは『噛めば噛むほど味の出るバトル』です。
この作品は例えば異世界転生チート物や剣と魔法のファンタジーのような派手さや圧倒的強者による爽快感は少なく、逆に言うと平凡な主人公が知略を絞って敵を翻弄し、挫折と苦悩の中で勝利をもぎ取るといった泥臭い戦いが多い印象です。
それ故に一回一回の戦いの勝利の後味が程よく澄んでいて、後から二度三度と読み返したくなり、いわゆるベストバウトと呼ばれるような濃厚な戦いを堪能する事ができます。

二つ目のおすすめポイントは『全てのキャラが魅力的な群像劇』です。
登場人物は比較的多いですがそのほとんどに思想・信念・矜持・境遇といった魅力があり、それらの人間関係が絡み合いながら物語を形成していく様は非常に良質な群像劇を見ている印象になります。

三つ目のおすすめポイントは『カスタム性と想像性の高い戦闘仕様』です。
本作では「トリガー」と呼ばれる武器を用いて戦う事になります。
これは自身の「トリオン」と呼ばれる物(ゲームでのMPに近い概念)を消費して、様々な武器を具現化させて戦うものとなっており、例えば「剣」「弾」「盾」「銃」といった一般的なものから「小型のジャンプ台」「姿を隠すマント」「ダミーのビーコン」といったギミック的なものまで色んなものを作り出す事が出来ます。
これによって「狙撃銃をメインに使うが寄られると刀を抜くアクション派スナイパー」「両手にマシンガンを用いて面での制圧を得意とする重火力ガンナー」「ジャンプ台を駆使して縦横無尽に駆け回り暗殺者のように敵を刺すスピードスター」「盾と剣を用いて守備型の戦いを得意とする防御型アタッカー」といった様々なカスタムが可能となり、それによって様々な戦略と想像性を生み出すワクワク感があります。

このように大きな派手さは少ないが実直なストーリー展開やキャラクター、そして読者のワクワク感を刺激する漫画としておすすめの作品です。