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7ryamatoのレビュー・評価・感想

ハドソン川の奇跡 / Sully
9

"奇跡の生還劇"の真実を描いた傑作

2009年に発生したUSエアウェイズ1549便不時着水事故、通称「ハドソン川の奇跡」を題材にしたヒューマンドラマです。
実話をもとにした映画制作に定評のあるクリント・イーストウッドが監督を務め、名優トム・ハンクスが主人公の機長チェスリー・サレンバーガー(サリー)を演じました。
監督は実際に事故に関わった人物を本人役で登場させるなどリアリティを追求しており、その手腕は今作でも見事に発揮されています。
この作品には物事の見方や在り方を考えさせられました。
機長サリーは不時着水で乗客を救いますが、NTSB(国家運輸安全委員会)からは乗客を危険に晒したと追及されます。
冬の川に不時着水することは生存が絶望的ともいえる状況のため、別の視点から見ると物事は違って見えるというメッセージ性を感じました。
また、英雄として称えらえることが必ずしも人の幸せと呼べず、有名となり注目されることで今までと違う日常を強いられることの辛さには衝撃を受けました。
メディアの存在意義についても改めて考えるべきだと思い知らされました。
奇跡や英雄という輝かしい言葉の裏にある様々な苦悩や辛さを感じさせる、ただの感動作とは一線を画す傑作映画です。

弱虫ペダル / 弱ペダ / Yowamushi Pedal
9

弱虫ペダルは全然「弱虫」が出てこない。

日本ではあまりメジャーではないものの、全世界で老若男女に愛されている乗り物がある。
それが「自転車」だ。
この「弱虫ペダル」という漫画はその「自転車」がメインとなる「スポーツ漫画」。
丸メガネをかけてひょろひょろの主人公、「小野田坂道」(おのだ さかみち)は高校生だ。
この漫画の見どころは、そんなヒョロヒョロの主人公が、なんと自転車部というゴリゴリにスポーツ系に入部し、ついには日本一を目指して部を引っ張る存在になっていくという展開の爽やかさと気持ちよさ。
さらに殆どのジャンプ漫画は主人公の可愛そうな生い立ちからスタートするが、最初から最後まで主人公が可愛そうじゃない。
主人公のストーリー、生い立ちは全く描写されないのに、周りの仲間達の描写がたまに登場する。
なんと適役が一番生い立ちが辛いという斬新さで、適役も大好きにさせてしまう。
内容のほとんどが自転車のレース風景に当てられているのだが、その描写も的確で、息を飲んでしまう。
自転車であれば一瞬で通り過ぎてしまう1秒1秒を、何ページにも渡って描写されている。
選手の鼓動・思考・熱が恐ろしいほど伝わってきて、自転車競技なんて知らなくても、一緒に同じ場面で走っている気分にさせられるのだ。
この、競技を知らない人も引き込んでしまうストーリー内容や描写は、これまでのスポーツ系の漫画だと『スラムダンク』に匹敵するのではないだろうか。
「弱虫ペダル」はその人気から、アニメ化、映画化、舞台化までしている。
舞台化?!自転車だぞ?!と、一体舞台でどのようにこの作品を再現するのか、大変注目が集まった。
結果、斬新な表現方法で、舞台でも漫画の中と同じように、息を呑む迫真の展開・空間を作り上げ、大成功に終わっている。
何よりこの漫画が人気な理由は、やはり主人公のヒョロヒョロさ。
主人公だけでなく、登場人物のほとんどがヒョロヒョロなのだ。
それには大きな理由があるというのもポイントだ。
自転車競技の奥深さを学ぶことができ、自転車競技に興味がわき、まさか自分でも世界目指せるのでは?と勘違いもしてしまう。
そこでますます弱虫ペダルのファンになってしまうのだ。