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5wblackhkのレビュー・評価・感想

PandoraHearts / パンドラハーツ
10

美しく幻想的で滑稽な御伽噺が今開幕する

『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』などの童話のモチーフを多く取り入れられ、
笑いとシリアスがほどよく混ざり合った緩急ある表現、そして最大の特徴として綿密で複雑な伏線とちりばめられた記述トリックが癖になる不思議な物語である。
主人公のオズは15歳の成人の儀を迎えたが、その成人の儀の最中に突然現れたバスカヴィルの民と呼ばれる者達。
連れて行かれれば二度と出ては来られない、大罪人の入る監獄『アヴィス』に身に覚えのない罪により閉じ込められてしまう。
そこでオズは血染めの黒うさぎと呼ばれる少女アリスと契約をしてアヴィスから脱出するが、脱出した時には10年の時が経っていたのだ。
オズの罪とはなにか、少女アリスの正体は、謎多き物語が今開幕する。
物語の第一話から伏線がちりばめられており、ストーリーが進んでいきその第一話の伏線が回収されるが実は記述トリックによるミスリードで謎が謎を呼ぶ展開となっている。
最後にすべての伏線が回収され物語が収束していく様子はまさに圧巻である。
複雑に練り込まれた伏線や記述トリック、それぞれの信念や強い思いを持った登場人物達が繰り広げる人間模様、
それらの美しくてもの悲しい幻想的な物語は読む者の心を引きつけて放さないのだ。

僕等がいた
10

大人でもハマる青春ラブストーリー

この作品は、小畑友紀先生の青春ラブストーリー漫画である。
2002年からベツコミにて連載が始まり、単行本は全16巻だ。
同作は、2006年にアニメ化され、2012年には前篇・後篇の二部作が実写映画化されているのである。
(主演:生田 斗真・吉高 由里子)
アニメ化、実写映画化されるほど人気のあるこの作品は一体どんなストーリーなのか、紐解いていこう。
主人公の高橋七美は、高校に入学したばかりの純粋で明るい女の子だ。
どんな高校生活になるのかと期待に胸を弾ませているところ、友人からある噂を聞くのだ。
「クラスの女子の3/2が好きになる」という伝説のイケメン、それが矢野元晴だ。
七美は矢野に対し良い印象はなく「絶対に自分は残りの3/1の女子だ」と豪語するも彼と関わっていくことで魅力に惹かれ、
過去に触れていき次第に好意を寄せていくようになる。
一方矢野は、中学生の時に失った彼女と七美を重ね合わせ、七美に好意を寄せ二人は高校1年生の秋に付き合うこととなるのだ。
複雑な家庭環境や悲しい過去を抱える矢野を、七美は包み込むことが出来るのか…
甘酸っぱい青春ラブストーリーではなく、リアルなストーリーに自身が主人公になった気分で話にのめりこめる作品だ。
そして、この作品の一番の良いところは、社会人になってからもストーリーが続くというところだ。
学生の頃の心情から、社会人になっての心の移り変わりが最後まで読者を飽きさせない工夫であり、
読み返す度、ストーリーの表情が変わっているように思えるのだ。
青春ラブストーリーではあるが、大人にも読んでほしい作品だ。

インテルビスタ / Intervista
10

映画監督自身を題材にしたコメディ

映画『インテルビスタ』は、イタリアの巨匠、フェデリコ・フェリーニが監督して1987年に公開された作品です。
この作品は、フェリーニが映画を撮っているときに日本のマスコミが取材に来て、それをうるさく思った監督が早く彼らを追っ払おうと考えているうちに若い頃のことを思い出すという話です。その後、現代に戻って取材を受けつつも、作品を撮る過程ですったもんだがあったり、出演したくていろいろ売り込んで来る俳優たちが出てきたり、映画に使おうとして象を登場させたりします。そして最後にもう一度初めからやり直そうとフェリーニが声をかけるところで終わっています。
その間に個性的な顔立ちの俳優たちが出てきたり、監督が助監督に罵声を浴びせたりするなどフェリーニ後期の作品にお馴染みのシーンが頻出するので、観客は飽きることなく笑えるというわけです。
フェリーニの作品には笑いの要素が強いものが結構あり、この映画もその一つですが、まさしく抱腹絶倒という感じになっています。
さらにこの映画は、映画作りの舞台裏を見せたような作品であるため、メタ映画の側面があります。その意味でこの作品より20年以上前に彼が撮った名画『8 1/2』と同系列の作品といえます。ただ『8 1/2』が悲劇的であるのに対して『インテルビスタ』の方は徹底的にコミカルです。
機会があればぜひご覧ください!