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123456789Awのレビュー・評価・感想

ゆず
8

2人の声と変化

ゆずは、高校時代の同級生のデュオである。そんな2人の特徴と言えば、「ハモリ」だろう。リーダーの北川悠仁のパワフルな声に、サブリーダーの岩沢厚治の高音を重ねる。そんな形で今まで歌ってきたのがほとんどだが、SNSの普及もあり、どちらか片方のパートを本人が投稿している動画もある。自分でハモって歌うのもいいが、1度歌わずにそれだけを聞いてほしい。2人で歌っているときの声ももちろんいいのだが、どのように歌っているのかを聞くと、普段の曲の聞き方が変わるだろう。そして聞く前よりもゆずの魅力にのめり込んでしまう。
また、25周年を迎えて、特に変化したと感じる事がある。それは、伴奏をギターだけに頼らずに他の最新の楽器も使ってきていることだ。デビューしたてのギターの弾き語りも聞いてて気持ちが良いが、それとは別に、ノリノリの音楽を作る事が可能になっている。ライブの最中だけでなく、家で聞いているときまでリズムに乗る事ができる。テレビに出演する時などはわざわざギターの曲に直して弾き語ってくれることもあり、その時の新鮮さ、感動は口であらわしきれない。
曲に2つの可能性を仕込ませておくことで、より長く楽しませることができるのは、ゆずの才能である。

ノーカントリー
8

静寂と銃声

コーマック・マッカーシーの同名小説を映画化したもので、2007年に公開されました。彼の作品らしい冷徹なまでの現実的な描写に、コーエン兄弟得意のブラックかつシニカルなジョークの要素を加えたような作品です。
物語はアメリカ・メキシコの国境で、麻薬の取引現場から大金を持ち出した主人公を追って、賞金稼ぎや殺し屋が主人公を追うというもの。

なんといっても、主演(助演?)のハビエル・バルデムの演技が圧倒的です。撮影監督のロジャー・ディーキンスの撮影手腕と相まって、全編に渡って彼の演技はこちらに緊張を与え、目が離せません。

派手なアクションや音楽より、映像の陰影、音そのものが緊張感をもたらしている作品のように思います。
モーテルの廊下で、殺し屋が家畜の屠殺用の器具につながれたボンベを床に置く、かすかな金属の反響音。売店のカウンターの上で音を立てる菓子の包み紙。国境の町の空気が伝わってくるような陽の光と砂漠、スーツの明るい灰色。
こうしたもの1つ1つの要素と、役者の素晴らしい演技はどれも味わい深く、雰囲気を楽しめます。

また根底を流れる哲学をとっても、言葉で説明出来ずとも、感じられるものがあると思います。
上質なサスペンス・スリラーを求める方には、ぜひともおすすめしたい作品です。

ブレードランナー / Blade Runner
9

監督リドリー・スコットが多層的に造形したミステリーSF大作『ブレードランナー』

『ブレードランナー』は1982年のSF映画で、監督はリドリー・スコット、脚本はハンプトン・ファンチャーとディヴィッド・ピープルスです。
出演はハリソン・フォード、ルトガー・ハウザー、ショーン・ヤング、エドワルド・オルモス。
本作は作家フィリップ・K・ディックが1968年に発表した小説『電気羊はアンドロイドの夢を見るか?』を緩やかに原案にしています。
映画の舞台は2019年のディストピア的な未来のロスアンジェルス。
「レプリカント」として知られる人造人間が、市場を独占するタイレルコーポレーションによって遺伝子工学的に「製造」されて宇宙植民地での労働のために供給されています。
ロイ・バッティ(ハウザー)に率いられたレプリカントのグループが地球に逃亡すると、疲れ果てた警官リック・デッカード(フォード)は彼らを狩り出す命令をいやいやながら承諾しました。
研究者は本作公開時から映画の分析を始めていました。
1996年には、作品製作に関する詳細を「解剖」する研究が現れました。
また、別な研究では、『ブレードランナー』における哲学的・心理学的問題や文学的影響が分析されています。
たとえば、複数の文学テキスト(聖書、古典、近代文学)をコラージュして画面を構成していることを指摘することで、映画のサイバーパンク的な、ディストピア的な要素を摘出している研究があります。
というように、多様な解釈を許す「懐の深い」作品として仕上げられたのは監督リドリー・スコットの力量であるかもしれません。

カカオ79%
8

甘過ぎないストーリーに好感が持てる新世代コミック

家も隣、学校の席も隣。高校一年の綾野翼と一ノ瀬勇は、子供の頃からの幼馴染。
男勝りな翼と、ぶきらっぽうな勇には、ロマンチックな雰囲気はあまりありません。どちらかというとサバサバしていて、憎まれ口を言い合うような関係なのですが、そこにリアルな感覚があって好感が持てます。
昔からよく知る、家族のような近い関係の相手に対して甘々な態度をとったり、ときめいてキュンキュンしたりするのは何か不自然に感じるからです。その点、この漫画のようにお互いに対して口が悪いぐらいの二人の方が、現実味があり、互いを信頼している感じが出ていて安定感があるのではないでしょうか。
そんな飾り気がないところが魅力ですが、ところどころに他の異性にヤキモチを焼いたりするシーンが挟まれるなどして、二人の微妙な心の動きが描かれます。そして幼馴染という絶対的な絆の心強さと、移り変わっていく気持ちの切なさが、いいバランスを取っているように思います。
そんなところに題名が表す通りの、ビターな趣を感じられる作品です。

背景などの絵の雰囲気が綺麗なところもおススメのポイント。デジタルな感触が特徴で、新世代のコミックだなと思いました。
主役の二人のキャラクターもこれまでにあまりない感じで新鮮です。こういう性差のあまりない恋愛は読んでいて落ち着くものがあります。