ヒトラーに屈しなかった国王

ヒトラーに屈しなかった国王のレビュー・評価・感想

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ヒトラーに屈しなかった国王
9

究極の選択をした国王

第二次世界大戦の最中、ナチス=ドイツの侵略を受けた、当時のノルウェー国王ホーコン7世の実話を基にした映画です。136分の長さを感じないほど、濃いです。

ホーコン7世は、ヒトラーからナチス寄りの傀儡政権を承認するよう求められます。ヒトラーに協力(という名の降伏)してしまった方が国民の被害は減らせるけど、それでは民主主義の理念が汚されてしまう。究極の選択だったと思います。
なぜここで「民主主義」という言葉が出てくるかというと、ホーコン7世は前のノルウェー国王の子だから自動的に国王になった、というわけではなく、国民投票の結果、デンマークから迎えられた国王なのです。いわば民主主義の手続きの下、王に選ばれた方なんですね。だから国民の意思とか民主主義ということに対し非常に敏感です。国民の生命のためとはいえ、もし彼が独断でヒトラーに屈したら、それは国民の意思の反映ではないわけです。

題名で分かる通り、国王は結局ヒトラーに屈しない決断を下します。ノルウェー駐在のドイツ大使に対し、決断を伝える際の王者としての威厳が印象的でした。一方で決断の結果、国王の目の前で機銃掃射を受けた人がバタバタ死んでいきますが、その時の国王の目が忘れられません。彼らは自分の決断の結果、死んでいったのですから。

国を率いる者の決断の重さについて考えさせられる、良い映画です。