モノノ怪 / Mononoke

モノノ怪 / Mononoke

「モノノ怪」とは、2006年にフジテレビのノイタミナで放送されたアニメ「怪 〜ayakashi〜」の中の「化猫」編をスピンオフし、「モノノ怪」というタイトルで2007年に同じくノイタミナで放送されたオリジナルアニメーション。シリーズディレクターは「中村健治」で、スタイリッシュな和製ホラー作品。
人間の情念に憑いたあやかしが「モノノ怪」となり、主人公「薬売り」が退魔の剣でモノノ怪を斬っていく。

モノノ怪 / Mononokeのレビュー・評価・感想

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モノノ怪 / Mononoke
10

”モノノ怪”と”薬売り”と怪事件。和製ホラーアニメの真骨頂

—人の因果と縁がモノノ怪を成す。人の情念・怨念にあやかしが取りつくことでモノノ怪は生まれる。—

物語の中心となるのは薬売りの男。周りの女性が頬を染める感じの美形です。持ち歩いている退魔の剣はモノノ怪を斬るためのもの、しかしモノノ怪の形(かたち)・真(まこと)・理(ことわり)の三つを知らないと剣は抜くことができない。この三つは物語が進むごとに徐々に明らかになっていきます。剣を抜いた薬売りは凄く強い!が、抜けるまでが長いので、その間は変幻自在の万能御札とモノノ怪との距離を測る天秤が活躍します。だんだん天秤が可愛く見えてきますよ!

一話構成のエピソードはなく、すべて二話もしくは三話構成で、不安感や恐怖感が回を追うごとに増していきます。
和紙のテクスチャが利いたアニメは、素晴らしいの一言に限ります。原作の雰囲気を壊すことなく、一話を見始めたら一瞬で引き込まれてしまう圧倒的な作画。極彩色かと思えば、次のエピソードではモノクロに。雨の描写にしても普通じゃない。アニメのどこを切り取っても美しく、不思議な世界観に浸りきることができます。

前作の「化猫」を観なくても楽しめますが、ぜひこちらもセットで視聴してほしい。
「座敷童子」「海坊主」「のっぺらぼう」「鵺」「化猫」の5つの怪異。取り付かれた人間とその人生、欲、憎悪、敬愛。心にストンと落ちるような話です。

モノノ怪 / Mononoke
9

怪しきモノノ怪達の物語。

私がおすすめしたいのはモノノ怪というアニメ、漫画です。
アニメの方は一話完結になっております。
主人公は薬売りです。名前は私の知る限りでは物語の中で登場しておらず、そのまま薬売りと呼ばれます。ぱっと見た感じ、怪しげな綺麗なお兄さんと言った容姿です。そんな薬売りが旅の途中で出会ったあやかしに秘められた真実を解き明かし、退魔の剣をもって退治するのが物語の大体の流れです。
個人的には化け猫という一番目のお話が印象的でした。ある武家に隠された憤らずにはいられない悲劇、主犯であり共犯者である者達の末路、最後の化け猫の涙としか思えない大粒の水滴。特徴的な絵と世界観が、この物語をより一層高めていると思います。あとは、それぞれの物語に登場するキャラクター達も魅力的だと思います。あやかしが存在するにはそれぞれに理由があって、それを一つ一つ解き明かしていった先には、最初は良い人だと思っていたキャラクターの裏の顔があったりします。
また、物語の最後を飾る退魔の剣の封印を解いたあとの薬売りの姿も格好良いです。色白の薬売りが、封印を解いたあとは色黒の筋肉質なお兄さんになって退魔の剣を振り回します。そんな真逆の姿で暴れるのも面白かったです。