ピノキオ(2022年の実写映画)

ピノキオ(2022年の実写映画)のレビュー・評価・感想

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ピノキオ(2022年の実写映画)
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「ほぼ本物」でも実は「本物」

ファミリーで楽しむのにおすすめの作品。1940年に制作されたディズニーの同名タイトルのリメイクです。
おおかたのストーリーはみなさんご存知かと思います。リメイク版だからといって特別にあたらしい出来事があるわけではないのですが、実写とCGの融合が素晴らしく、キャラクターたちの細やかな演技にどんどん引き込まれていきます。
「ほぼ本物の子供」から「本物の子供」になるために、ピノキオの冒険が繰り広げられるわけですが、ピュアなピノキオを混乱させるのは、学校であったり、まるで人身売買のような芝居小屋だったり、そこでの労働環境だったりします。
やっとのことで芝居小屋から抜け出すと、今度はうっかり不良たちの馬車に乗り込んでしまう。そこで彼が体験するのは「空気を読め」という同調圧力。
そしてどこかの国のニュースでみたような暴動に巻き込まれ、暴力と良心の喪失を体験します。
そこからどうやってゼベットと暮らせるようになるのかはご存知とは思いますが、今回の作品ではなかなかの盛り上がりを見せます。
また全財産を投げ打ってピノキオを探しに出たゼペットがピノキオと再会し、「わしが願ったのはお前ではないと思わせてしまったようだな。だがお前はわしが願った通りの子だ。今までも、これからも、私の本当の子供だ」と語りかけるところは、どことなく「放蕩息子の帰還」の逸話を思い起こさせました。
もちろんピノキオは懸命に頑張っていただけで、放蕩はしていませんが。
また人種や人の特性をごく自然に取り入れていて、昨今の流れに遅れを取らない作りをしていました。
「本物とは姿形ではなく心の中身で決まる」という妖精のこの言葉が、映画のテーマを表わしていると言えるでしょう。

あと気になったのが、ピノキオの良心を導くコオロギのジミニー・クリケットの声を、『インセプション』で有名なジョセフ・ゴードン・レビットが演じていたこと。クレジットをみなければ、彼が声を演じていたとは思えませんでした。
他にも沢山のディズニーキャラクターがカメオ出演していたのですが、その中にはディズニーランドあったとか。
とにかくほのぼの楽しめる映画なので、そんな気分の時にぜひ見て頂きたいです。