ラスト、コーション

ラスト、コーションのレビュー・評価・感想

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ラスト、コーション
10

激しい情愛とスリル満載のラブ・サスペンス映画『ラスト、コーション』

『ラスト、コーション』は2007年に公開された、アン・リー監督の映画です。
第二次世界大戦中、日本軍の占領下にあった香港・上海が舞台のスリル感溢れるラブストーリーです。
公開時は激しい性描写が話題となり、様々な国で公開規制されるほどでしたが、物語は熱くも儚い純粋な愛の物語です。

女子大生ワンは素朴な恋心から劇団員となりますが、抗日運動を挙げる仲間たちに感化され、スパイとなって抗日派を弾圧する特務機関のリーダーであるイーに近づきます。
中国人でありながら日本軍に背く者を残酷非道なやり方で容赦なく始末するイーを、最初は暗殺目的で誘惑したワン。しかしイーが心に大きな恐怖心や孤独感を秘めていることを知り、次第に心惹かれるようになります。

話題になった濡れ場のシーンは濃厚で激しく、迫力があります。しかし抗日派にいつ暗殺されてもおかしくないイーと、いつ身元がばれるかわからないワンの逢瀬は命がけです。お互いの苦悩を、激しく体を重ねあうことで癒しているように見えます。
ふたりが幸せになれたらいいのに。でもこの時代、この立場だったからこそ2人は出会い、苦しいほどの情愛が生まれたのでしょう。
映画のラストシーンでは胸が締め付けられるような余韻が残ります。