八つ墓村

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八つ墓村
10

落ち武者の祟りと連続殺人事件・映画「八つ墓村」

横溝正史原作の推理小説を映画化した1977年の萩原健一主演の作品。空港で航空機の誘導員をしていた寺田辰弥(萩原健一)が、新聞の尋ね人欄で自分のことを探している人がいることを知り、大阪の弁護士事務所へ行くと井川丑松という老人がいた。老人は辰弥の背中のやけどの傷を見て、自分の孫であることを確信するが、突然苦しみだし、その場で死亡する。そのことから、辰弥は自分の生まれ故郷である山奥の村を訪ねるが、その村は八つ墓村と呼ばれているおどろおどろしい村だった。
作品のテーマは戦国時代に村へ逃げてきた八人の落ち武者が褒美のために村人がだまし討ちにしたことで怨霊が生まれ、その祟りで村人たちが次々に殺されていくというもので、辰弥は好むと好まざるとにかかわらず、八つ墓村での連続殺人事件にまきこまれていく。そしてこの不可解な事件を解決しようと村を訪れたのが、探偵の金田一耕助で、渥美清がコミカルな演技で惹きつける。この作品は原作者の横溝正史が、戦時中に岡山の田舎に疎開したときに聞いた津山大量殺人事件をモチーフにしていて、村の青年が猟銃と日本刀で三十人もの村人を殺害した事件が、映画の中でも描かれている。この青年役を山崎努が演じていて、猟銃を片手に村を走り回るシーンはゾッとするものがある。
暗くドロドロした映画だが、鍾乳洞でロケをおこなった風景のすばらしさ、音楽の良さや俳優たちの演技力など見所が多い作品。