蜜蜂と遠雷

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蜜蜂と遠雷のレビュー・評価・感想

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蜜蜂と遠雷
10

読み終わったあとの清涼感は、他ではなかなか得られるものではない。

3年ごとに日本で開催される国際ピアノコンクールが舞台の小説。
「ここを制したものは世界最高峰のS国際コンクールで優勝する」というジンクスがあり、新たな才能の発掘のために音楽界で注目されている。主人公は、自宅にピアノを持たない養蜂家の少年、風間塵。かつて天才少女と呼ばれたが13歳以降ピアノが弾けなくなった少女、栄伝亜夜。音大出身だが今は妻子もいる年齢制限ギリギリのサラリーマン、高島明石。名門音楽院の生徒、マサル・カルロス・レヴィ・アナトールの4人。コンクールそのものは主人公たちをはじめとした数多くの天才たちが繰り広げる、他者、そして自分自身との戦い。しかしコンクール会場の外では穏やかな海が広がっており、喧騒と静寂の対比が著者恩田陸の文章をよりひき立てている。終盤になるにつれて散々盛り上げ、惹きつけておきながら、終わりかたは非常にあっさり。この先の未来でどうなるかや、結末に当たる場面を一切書かず、ピアノコンクール審査結果のみを最後のページとする終わりかたは読者の想像を掻き立てる。読了後の余韻が凄まじい。まるで物語の中の主人公たちが演奏しているピアノクラシックを聴き終えた後のようだ。
この物語、ひいては書籍全体でピアノ演奏をしているようである。読み終わったあとの清涼感は、他の小説ではなかなか得られるものではない。

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