アンフレンデッド

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アンフレンデッド
8

SNSでイジメた相手からSNSで呪われる?!ネット社会の闇を描く斬新なホラー

『アンフレンデッド』(原題:Unfriended)は、2014年にアメリカ合衆国で制作されたホラー映画だ。監督はレヴァン・ガブリアーゼ、主演はシェリー・ヘニッヒが務めた。

本作はラストの場面を除いてすべてがパソコンの画面で進行している。1999年に公開された同じくホラー映画の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』をほうふつとさせる、低予算ながらも非常にユニークな演出がされており、撮影期間もわずか16日と短期間だ。興行収入は当初は1200万ドルと見込まれたが、最終的におよそ6000万ドルと大きく上回り、初登場時の週末興行収入ランキング3位と大健闘した。

ストーリーはカリフォルニア州フレズノ。地元の高校に通うローラ・バーンズは泥酔して晒した醜態をYouTubeにアップロードされ、それがもとでひどいいじめを受け、耐え切れずに公の場で拳銃自殺。その様子をLiveLeakで中継した。

その1年後ローラの親友だったブレアは、Skypeで彼氏のミッチと4人のクラスメート(ジェス、アダム、ケン、ヴァル)で楽しく会話している最中、突如としてbillie227という未承認ユーザーが会話に加わっているのに気付く。当初はクラスメイトのいたずらだと思われたが、その後Facebookに、何者かが友人のアカウントを乗っ取ってプライベートな写真をアップロードするという悪質ないたずらが発生した。さらにbillie227は自分がまるでローラ・バーンズであるかのように語りだし、自分の苦しみを訴える動画を投稿したのだ。

あんまりないたずらにヴァルは憤慨し、警察に通報してSkypeを切断する。一方ブレアの元には、ヴァルがノーラを中傷する投稿をした証拠が貼られたリンクが送られてきた。困惑するブレアをよそに再びヴァルがSkypeに接続するも、様子がおかしい。携帯を鳴らしてもしても反応せず、傍には開けられた漂白剤のボトルがおかれ、しばらくしたのち突如として悲鳴を挙げて倒れるヴァル。つながったままのSkypeからは、駆け付けた警察官が「彼女が漂白剤を大量に飲んで自殺した」と本部に報告する様子が聞こえた。

突然の出来事に困惑し恐怖する5人。警察に通報を試みてもbillie227と思わしき人物に繋がり、アンチウィルスソフトで事態の解決しようとしたケンは、正気を失ったようにミキサーで喉をつくという凄惨な方法で自殺する。生き残った4人はここに至ってbillie227はローラの怨霊であり、件の動画をアップロードした人物、およびイジメのきっかけを作った者たちを復讐として呪い殺すつもりだと確信した。そして恐怖に震える彼らに対してbillie227はあるゲームを提案する。

本作は2020年代においても深刻になっているネットでのいじめをテーマにしており、告発動画や漂白剤を飲んでの自殺は、ネットでのいじめを苦に同じ方法で自殺したアマンダ・トッドを彷彿とさせる。また終盤で彼らの秘密を暴かれ、半ば自業自得・因果応報で死んでいくが、それを見て嘲笑うのはネットでのいじめと同じだろう。

誰にだって隠しておきたい何かは持っている。「ネット」という誰でも情報が発信できて記録に残りやすい社会においては、ほんのいたずらで上げた動画や、雰囲気でついつい書いてしまったコメントがもとで取り返しがつかない事態が起こることもざらにある。この映画をみたら恐怖と共にそのことも肝に銘じて置いてもいいだろう。