ソドムの市

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ソドムの市
7

狂宴の皮をかぶった社会派映画(下品な場面の描写が多いです。苦手な人はスルーしてください)

マルキ・ド・サドが執筆した「ソドム百二十日」が原作の、年老いた権力者たち(侯爵、最高判事、司教、大統領)に強制的に集められた美男美女の若人の尊厳を踏みにじる狂宴の物語。

この映画の見どころ
1. 貴婦人たちの体験談
全員が屋敷の中に入り、狂宴を開始して以降のチャプターごとの冒頭は、貴婦人たちの少女時代に大人から受けた性的暴力の語りから始まる。貴婦人が化粧とヘアセットをばっちりきめて煌びやかなドレスを身にまとい、ピアノの演奏に合わせて笑顔で過去のお下劣な秘め事を語る。外見と内容のギャップの格差が大きくあるけれど、最後までまじめに聞き入ってしまった。

2. 徹底したスカトロ表現
この映画には排せつ物がたっぷり盛り付けられてご馳走として出てくる。本物かどうかは不明だが、高級な食器を使ってそれをみんなで食卓で囲む場面は、レンタルDVDでこの映画を見て返却した二週間以上経過した今でもはっきり覚えているほど衝撃的だった。
詳しくは書けないが、その後もスカトロマニアがうなる、ガチリアルなスカトロのオンパレードだった。

3. どSホイホイ
権力者と貴婦人たちは、少年少女らを快楽を得て満足するための玩具としか見ていない、映画が進むにつれて扱いが過激になっていった。全裸で首輪をつけてのよつんばい移動に、食べ物を放り投げて犬と同じく口で食べることを強いた。釘を入れたパンを食べさせて口内を出血させる者もいた。拉致されるなかで殺された母のことを思い出して泣きじゃくる少女に、怒鳴りつけてまで出したてのアレの強制咀嚼。そして、中庭で乳首に焼きごてを押し付けられたりナイフで体を傷つけられて苦しむ他人のさまを、権力者たちが笑って眺めて映画が終了した。

まさに原作者のマルキ・ド・サドにちなんだ、上級者向けサディズム(マゾヒズムにも気持ちがいいだろう)的快楽にまみれた一作であった。ただ、この映画の製作を指揮したパゾリーニ監督の嗜好ではなく、当時の現代社会を批判した作品らしいが、それを知らなければ上映禁止のトラウマ変態映画としてしか認識されないであろう。