いよわ

いよわのレビュー・評価・感想

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いよわ
8

異端な作風で多大な人気を集めるボカロP「いよわ」をご紹介

いよわは、その代表作といえる「きゅうくらりん」がYoutube・ニコニコ動画で高い視聴回数を誇り、ドワンゴ主催の日本最大級のボーカロイドイベント「The VOCALOID Collection」、通称「ボカコレ」の2022秋の回において「熱異常」でランキング1位を獲得しているボカロPです。
その実績からは大衆的でキャッチーな楽曲を作っているかのような印象を受けますが、実際の作風は「異端」そのものです。
例えば代表作「きゅうくらりん」においては、サビのど真ん中に唐突に表れる奇怪な和音や、強引な半音階、逆再生音の濫用などで、まったく聞きなじみのない音響を作り出しています。メロディーもお世辞にもキャッチ―で歌いやすいとは言えないものです。
しかし、それらの特徴が一つの楽曲として組み立てられ、難解で激情的な歌詞とボーカロイドの歌声を与えられることによって、独特で刺激的な作品として成立しているのがいよわの楽曲の面白いところです。
その自由すぎる音選びからは、似たような音楽が増えて硬直気味だったボカロ界を荒らしまわる新星、といった雰囲気も感じられます。
ぜひいよわの楽曲を聞いて、その世界観を感じ取ってみてください。

いよわ
9

聴いていて明るくて楽しいが切ない不安定な音楽

今回私がレビューするのは楽曲『きゅうくらりん』でお馴染みの「いよわ」さんです。結論から言います。この人の曲をお勧めできる人は「今までのボカロでは満足できない」「新感覚の曲を楽しみたい」「明るいけど暗い、暖かいけどせつない、そんな曲が聞きたい」、そんな人です。強くおすすめします。
もちろんボカロが好きとか歌い手さんが歌ってて気になったって方にもおすすめできるので興味を持っていただけましたら最後までご覧になっていただけると嬉しいです。

『きゅうくらりん』とは?と思った方もいると思いますし、曲を知ったほうがわかりやすいと思うのでまずは『きゅうくらりん』の説明からしていきましょう。
『きゅうくらりん』はいよわさんが作曲、作詞し、歌はCeVIOの可不というai技術で生まれた機械音声に歌ってもらう、いわばボカロのようなものです。
2021年8月下旬から動画投稿サイトYouTubeにて公開されており、再生回数1500万回を達成するという人気の曲となっています。そんな『きゅうくらりん』ですが、何故ここまで再生回数を伸ばしたかというと、タイトルにも書いた通り「不安定な音楽」であることに理由があると考えています。
この曲は今までにないような音の使い方をしているため、素人目線からでも「音楽のタブーをやっているみたいな曲だな」と思うでしょう。それなのに聴いていて優しい感じ、楽しい感じがしてくるのです。聴いていて優しい、楽しいのに曲は不安定、さらに歌詞と相まって暖かい曲だがどこか不安定で不安になる。

『きゅうくらりん』の説明をしましたが、これこそがいよわさんの曲の特徴なのです。例えば『IMAWANOKIWA』ではとても明るい曲調ですが、所々不安にさせるような効果音がします。
どんな内容かというと、大切な子供をなくしてしまった親の歌で、歌詞も「ドラマを見るのが好き”だった”」と、楽しい部分がありますがそれはすべて過去形でもうなくなってしまったという不安定さを感じる歌詞になっています。

ここまで聴いてみていかがでしたでしょうか?ちなみにいよわさんはPVのかわいい絵も自身で描いています。独特な作詞、作曲ができて絵もうまい、そんないよわさんに興味を持っていただけた方が少しでも増えると嬉しいです。