わたしはロランス

わたしはロランスのレビュー・評価・感想

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わたしはロランス
8

愛する人のすべてを愛することの難しさ

舞台はカナダのモントリオール。国語教師をしている恋人のロランスからある日「女性として生きていきたい」と告げられたフレッド。
その告白に苦しめられるも、フレッドはロランスの想いを理解し、今まで通り愛していこうと心に決める。
本当の自分を取り戻していくロランス。その変わりゆく姿に戸惑いを隠せないフレッドであったが、自分の感情に葛藤しながらも、ロランスを愛し続けようとする。

LGBTQ(性的マイノリティ)を題材にしている映画は、当事者側からみた「社会の中での生きずらさ」をテーマにしているものが多いが、この映画はその当事者を愛する者や当事者と共に生きる人々の視点がメインであり、当事者とは別の苦悩、「受け入れることの難しさ」をテーマに描かれている。
実際社会の中でLGBTQは少数派なので、当事者ではない大多数の人がこの映画を鑑賞することもあり、このテーマに共感する人は多いのではないかと感じる。
当事者側の視点というのは、正直なところ当事者にしかわからない部分がある。
一方、その当事者に寄り添う側になることは誰しも起こりうることで、これはLGBTQに関わらず、愛する人と今までのような関係ではいられなくなることがきっと人生の中であるであろう。
それは付き合いが長くなればなるほどいろいろな感情が交差し難しくなるもの。
この映画は愛する人が今までとは違う、別人になっても愛し続けることができるかということを考えさせられる。