闇芝居

闇芝居のレビュー・評価・感想

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闇芝居
7

殺人鬼より怖いハエの浸蝕!12期第9話「面会謝絶」

最初に言ってしまうと、このアニメは虫が大量に出現する閲覧注意なホラーであり、オチについての説明の描写がないまま主人公がバッドエンドを迎えます。虫に耐性があり、考察好きな人向けの内容になっています。
主人公よしのぶは、旅行中に交通事故に遭ってお母さんと山奥の病院に入院しますが、お母さんだけが面会謝絶状態になります。院長先生にお母さんの容態を聞いても、「人の心配している場合か」と、濁す言い方をされる始末。この時、院長先生は飛んできたハエが自分の鼻の中に入っても微動だにしません。この病院はハエが人の周りをやたらと飛んでいて、誰もそれを嫌がったりしないのです。ハエのぶんぶんと鳴らす羽音すらも嫌いな書き手からしたら、日常的にハエがたくさん飛んでいるなんて、耐えられません。ましてや体内にハエが進入するのは、ホラー映画で殺人鬼が突撃してくるよりも恐ろしいです。お母さんの病室に鍵が掛かっていないので部屋に入ったよしのぶは、お母さんがゾンビのように狂暴な顔で肉を貪っている姿を見て、病院に何かされたんだと思い、お母さんの手をとって逃亡の決意をします。外に出たよしのぶは、事故で大きく歪んだお母さんが運転していた車と、車とぶつかって壊れた石碑を発見します。その石碑はよく見るとハエの模様が刻まれていました。ふと気づくと、お母さんが生きている犬を食べているので、「やめてくれ」と訴えていたら、よしのぶはハエの大群に囲まれました。そして、ハエに体を犯されて狂ったよしのぶは、院長先生に「病院に戻ろう」と言われ、ハエが群がっている瞳で返事をするのでした。物語はここで終わりです。
あの病院が立っている土地は、古くからハエを神として奉っているから石碑が建てられたのではないか、病院の関係者、院長先生は神であるハエと主従関係を先祖の代から結んでいるから、傍を飛んでいても体内に入っても追い払えなかったのでは。よしのぶとお母さんがハエに犯されたのは、石碑を壊した罰当たりな罪人だったからなのか。
身近な害虫に浸蝕されるトラウマ要素が濃いめですが、考察が止まらない一作でした。

闇芝居
7

「早く帰れ」と言われたらさっさと帰るのが少年にとってのただ1つの救いの道!アニメ12期第8話「子削儀」

『闇芝居』の公式youtubeチャンネルにて、期間限定配信で見ました。少年、父、母の一家が父方の田舎へ、祖父母への連絡をせずに車で訪れました。祖父母は息子一家に帰れと憤慨します。しかし、雨が酷く降り出したので一家は帰れません。祖父母の暮らす村は「子削儀」の祭りの期間に入っていました。ずっと昔に、口減らしのために子供を手に掛けていたことから、祭りの期間中は子供を隠さないといけない、ホラーの定番である、悲しい成り立ちから出来た因習を行っていたのです。
少年は子削儀の期間が終わるまで屋根裏部屋に隠れることになりました。雨で冷える暗い部屋の中に少年が1人でいると、窓の外に異変を感じました。見ると、案山子の首が切られていたうえに、2階の窓の外に少年と同い年の子供たちが、こっちにおいでと少年を誘います。「自分以外の子供は1人も見かけなかったのに。この子ら絶対に幽霊だな。大人たちの都合で死んじゃった子供たちかな?」と推測していると、幽霊に操られて窓を開けて外に出てしまい、髪と手足が異常に長くて体が巨大で、子削儀のせいで我が子を殺され、狂った母親が変貌したと思われる化け物が接近。「連れて行かれるのかな、食べられるのかな」と少年の末路を想像していると、母親に名前を呼ばれて正気に戻り、ギリギリセーフでした。
雨が弱まってきたから帰ることにした一家は、祖父母の家から出ます。ここで書き手は出てきた3人に違和感を覚えました。両親は傘をさしていて、少年だけ雨合羽を着ています。しかも、車に乗らずに違う道を歩いて、ここで物語は終了します。「なんで?」と困惑しましたが、3人の会話に雑ざって聞こえてきた祖父の言葉で、両親と祖父母は少年を生贄にしようとしていることを察しました。
祖父が孫を化け物から守りたくて、祭りの最中に来た息子一家に怒っていたと思っていたのに、最後には「孫を生贄にすれば今年は豊作だ」と言いました。
子供の幽霊に誘われた=化け物に見つかった。執着されるうえに解決策がないから生贄にするしかなかったという線も考えられます。さっさと帰らなかった一家にも非がありますが、少年1人に村の掟を破った尻拭いを命をもってやらせることを想像できるオチは、後味がとても悪かったです。