バブル(映画)

バブル(映画)のレビュー・評価・感想

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7

SF人魚姫は泡になっても報われる

映画館で見ました。振り返ると自分一人で、人気ないのかなと思いましたが、思ったよりスピード感のある綺麗な映像でした。人魚姫のストーリーを彷彿とさせる展開とモチーフだと分かり始めてからは、理解が早まりました。新海監督作品の、東京を舞台にした『天気の子』に被せてきた感はありました。『天気の子』は東京が雨で浸水しますが、この映画では災害が起こった時の時間が動き出した後、復興が始まっていきます。
ヒロインのウタの声はSNSで話題のりりあ。で、とてもエモーショナルな歌声がキャラクターの透明感をあげていたと思います。ウタは本を読んだりフィボナッチ数列は理解するようになるけれど、絵本の言葉を引用した発言が続きます。しかし最後の方で自分の言葉で語り始めるのが印象的でした。東京を覆う泡がなぜ宇宙から来たのか、少しわかるようになっています。
大きな流れとして、ボーイミーツガールストーリーであり、主人公・ヒビキは、ヒロインと関わることで、昔彼女に命を救われていたことや、ウタの正体、そして本当の「自分」がわかり、そんな彼女に少しずつ惹かれていきます。彼女に触れたいのに、彼女は触れられると泡になってしまうため、逃げる仕草が切なく、ウタもヒビキのことを想っているのに触れられず、悲しそうな感じがしました。彼女が、自己犠牲的にヒビキを助けようと彼に触れたときは、なんだかホッとしました。泡になっても、ヒビキとウタは分かり合えているようにも見えました。ここは人魚姫の話と違うところです。ヒビキたちと船で一緒に暮らす女性科学者のマコトのセリフで、すべてのものは原子レベルに崩壊して、最終的には一つになれるというセリフを言うシーンがあり、量子力学的な世界の捉え方が面白いなと思いました。エヴァンゲリオンの人類補完計画を彷彿しました。
ヒビキたちのバトルクルーチームは、かなり運動量が多くて、息が切れないところとか人間の動きとは思えないアクロバットは、ファンタジーアニメの醍醐味だなと思いました。