ハリーの災難

ハリーの災難のレビュー・評価・感想

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ハリーの災難
8

ヒッチコック作のコント映画

ヒッチコックと言えば映画好きなら誰もが知る、サスペンスやスリラー映画の巨匠だ。
『鳥』は当時の技術を駆使し、鳥が人間に襲いかかると言う荒唐無稽ながら、理由のない襲撃による恐怖を観客に与えた。
『サイコ』は、サイコサスペンスという新しいジャンルを作り上げ、現在でも色褪せない作品である。
しかし、今回私がお勧めする『ハリーの災難』と言う映画は、ヒッチコック作品の中でも異色な傑作だ。

私自身、ヒッチコック=サイコホラーお爺ちゃん。というイメージというのもあり、この映画を見始めた時はいつ死体が登場するのかサイコな野郎はいつ現れるのか、ドキドキして見ていた。
しかし、開始早々現れたのはライフルで狩りを楽しむお爺ちゃん。そして、いきなり死体の登場である。

これは、罪のないお爺ちゃんが疑われるのか、それとも本当にたまたま殺してしまったのか。お爺ちゃんも焦ります。するとそこに、本を読みながら人が歩いてきます。死体が見つかった時に近くにいたら怪しまれてしまうと思ったお爺ちゃんは、近くの物陰に隠れて様子を伺うと、その人は本を読みながら死体を跨いで歩いて行きました。

とまぁ、こんな冒頭でいつ、誰が殺したのか。というサスペンス映画を量産しまくったヒッチコックが、新しく何を作ったのかという観客の期待を利用したコメディとなっています。
画面も白黒ではなくカラーなのでとても見やすいので、お勧めです。