張り込み

張り込みのレビュー・評価・感想

New Review
張り込み
10

事件の捜査である女性を張り込むことになった刑事と、張り込まれている女性とのラブロマンス

いやよくできた映画である。
リチャードドレイファスのコミカルな演技も楽しいが、脚本がよくできていてちりばめられた会話が素晴らしい。
漁船の魚の缶詰工場で仕事をしていて、臭いがすごいので、風下へ立てよ!笑ってしまう。
仕事を少しでも楽しくしようと張り込みチーム同士でいたずらを仕掛けたり、そんな和やかな捜査の中、事件は指名手配の男が女性宅に帰ってきて急転直下。
殺人も犯している凶悪な男なのだ。女性を守るため刑事は全力を尽くし助け出そうとする。
最後まで飽きさせない展開である。
普段はおちゃらけていても本職は刑事、いざという時は市民を守るため頼りになるヒーローになるのだ。
これはアクション映画でもなくヒーロー映画でもなくどこにでもいる人間臭い男と女の話である。
刑事だって恋もするし誤解を解くために任務を忘れて張り込んでいる女の家に押しかけたりもする。
ある意味フィクションではなく現実的にありそうな話だから面白いのだ。
派手な映画ではないがいぶし銀の名作だと思った。相棒との掛け合いも最後まで楽しめる。
女性は助けたがチームの相棒としては最悪のコンビだった。(笑)
この映画の中には様々な生活の匂いのシーンが出てくる。
仕事をしながら食べるからゆっくりレストランでランチというわけには行かない昼食や、張り込みの仕事は単調でつらいから少しでも退屈しないように楽しもうとする工夫など。
ある映画監督がヒットする映画を作るには明らかにフィクションではなくできるだけ現実に近づけたシーンを重ねる事だとコメントしていたがまさにその言葉を地でいった作品であった。