超音ジェット機

超音ジェット機のレビュー・評価・感想

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超音ジェット機
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ジェット戦闘機開発の黎明期に殉じたテストパイロットを感動的に描いた『超音ジェット機』

『超音ジェット機』は1952年に公開された英国の航空映画で、監督はデヴィッド・リーンです。本作は航空機設計者とテストパイロットが音速の壁を破ろうと試みる架空の物語です。これはデヴィッド・リーンが妻アン・トッドと製作した3番目で最後の作品ですが、シネギルドと袂を分かった後でアレクサンダー・コルダのロンドン映画と組んだ最初の作品です。『超音ジェット機』の出演はラルフ・リチャードソン、アン・トッド、ナイジェル・パトリックです。
本作は初公開時にヒット作となりましたが、リーンの映画の中で最も知られていない作品の一つとなりました。『In Which We Serve』(1942年)に続いて、この映画は記録映画の印象が醸し出されている映画製作の分野を試みたリーンの作品の2作目です。
第二次世界大戦中にジェットエンジン技術を巡って航空機会社で画期的な仕事をした後で、ジョン・リッジフィールド(ラルフ・リチャードソン)はその会社の所有者になり、大戦中に成功を収めた戦闘機パイロットのトニー・ガースウェイト(ナイジェル・パトリック)をテストパイロットして雇って、新型ジェット機を飛行させようとしていました。ガースウェイトはリッジフィールドの娘スーザン(アン・トッド)と結婚した後でリッジフィールドに雇われました。ガースウェイトが試験飛行という危険な仕事に就いているために父娘間の緊張感はつのります。画期的な新技術が発表される中、スーザンはガースウェイトが複座機デ・ハヴィランド・ヴァンパイヤをエジプトのカイロにフェリーするガースウェイトの仕事に同行し、同日中にデ・ハヴィランド・コメットの旅客として帰国することにしました。
「英国でディヴィッド・リーンによって監督・製作され、脚本は尋常ならざる文学的で感受性溢れる脚本作家テレンス・ラティガンによって書かれた、この映画はジェット機という奇跡を起こすマシンに関わった人々の知性と感情を見事に理解して映像化した作品です」との評価が米国の『ニューヨークタイムズ』紙の映画評に掲げられています。