働かないふたり

働かないふたりのレビュー・評価・感想

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働かないふたり
8

こうなりたくはないけど、仲間にはなりたい

二人のニート兄妹のお話です。
4人家族でお父さんが大黒柱、専業主婦のお母さん、成人したニート二人。
文字だけで見たら、決して幸せそうな家族ではないように思えてしまいます。
お父さんだけが一生懸命働いて、ニートの子どもたちは好きなことをして遊んでいるのですから。
え?大丈夫?と心配になってしまうような状況ですよね。
ところが、この漫画を読んでいるとほのぼのとして、心が穏やかになるのです。
二人の状況は褒められたものではないのに不思議です。
最初、読み始めはもしかしたらイライラしてしまうかもしれません。
でもそこで諦めないで!と言いたい。
この漫画は読み進めていくほどにおもしろくなり、この漫画の良さに気がつけるのです。
話が進むにつれ、登場人物が増えていき、兄妹二人の魅力や周りの登場人物に感情移入してしまいます。
なにより、ニート兄妹の周りの人たちがとっても温かい。
そして強烈なキャラクターもいて思わず笑ってしまいます。
こんな二人の状況にはけしてなりたくないけど、その仲間にはなりたいと思わせてくれます。
今後二人は働くのか、それとも一生ニートのままなのか?!
そのゴールまでの道のりにはどんな展開があるのか、最後まで見届けたいです。

働かないふたり
10

働いていないニートから人生の大切なことを教われる

この漫画の主人公はふたりの若い兄妹。どちらもニート。おちゃらけてるが自分をしっかり持ってる兄と優柔不断だが心優しい妹の周りには気づいたら人がいっぱい。
私の好きなセリフを一部抜粋すると「誰にでもできることだからこそ、誰かの目に留まるのは難しい。ひとりでも買ってくれた人がいたならそれは凄いことですよ」。これは同人誌の即売会で自作の本が1冊しか売れなく、自身を失っている人に兄が言ったセリフだが、私は非常に感銘を受けた。本が1冊しか売れないというのは常識的に考えれば望ましいことではない。自己嫌悪に陥りたくなる気持ちの方がよく分かる。でも兄のこの発言で考え直した。みんな知らず知らずのうちに高望みをしてしまっているのかもしれない。高みを目指すことと謙虚に生きることは実は相反しない。自分の現状を把握し、自分で自分を褒めることは素直に素敵なことだ。
このように全ての人を肯定し、全ての人を勇気づけるようなセリフが多々ある。働かないことを肯定しているわけではないが、かと言って働いていることを無条件で美化していない。自分が必死に抱えているものが実はそんなに大切ではないと気が付いたとき、生きることがほんの少しだけ楽になるかもしれない。
これは毎日必死で働いている社会人にこそ読んでほしい漫画だ。

働かないふたり
7

ゆるすぎなニートの兄妹に脱力

主人公は実家暮らしのニートの兄妹。彼らのゆるい日常が描かれたコメディーです。
いつもスウェット姿で部屋にこもり、夜中ゲームに明け暮れて、朝になると寝る。
そんなダメダメな生活の中の面白エピソードがギャグになっており、読んでいていい感じに脱力できます。

二人が恋人同士ではなくて、兄妹というところも和めるポイントです。
なんとなく関係性が、『干物妹!うまるちゃん』のお兄ちゃんとうまるちゃんに似ていますが、うまるちゃんのお兄ちゃんが社会人なのに対して、この漫画はお兄ちゃんまでもが完全なるニート。
なので引き締まるところがなく、どこまでもゆるみっぱなしです。
ですが、一応、ダメ過ぎる妹に対して、お兄ちゃんの方が一枚上手のようで、ボケとツッコミのような役割ができていて笑わせてくれます。
そんなお兄ちゃんのことを妹が、エニート(エリートのニート)と呼んだときは、はじめて聞く言葉に衝撃を受けました。

一緒に住んでいる両親や、兄の友達なども、二人に対して叱咤するでもなく、とにかく生暖かい作品です。
漫画の中に出てくる隣人の会社員女性が、兄妹のダラけた姿に癒されるように、読んでいると、些細なことがどうでもよくなってきます。
登場人物に嫌なヤツがいないのもポイントで、なんの争いごともなく、嫌味のない漫画です。
そして、なぜか漫画の内容とは反対に、頑張らなきゃなという気持ちになりました。
ギスギスしているとき、疲れているときに読みたい漫画です。