バトルフィーバーJ

バトルフィーバーJのレビュー・評価・感想

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バトルフィーバーJ
6

アメコミヒーローの戦隊版

シリーズ三作目、と言って良いのかどうか複雑な作品です。
お分かりのように「○○戦隊」という冠名が付いていない上、元々マーベルコミックが原作にあるので、それを戦隊シリーズのテイストに寄せて再現した、という意味合いの方が強い。
だから前作に続き本作も別の意味で実験要素の多い作品でした。
まず大きな変化は「巨大ロボット」が登場したこと。バトルフィーバーロボという人型ロボットは前年にやっていた「スパイダーマン」のレオパルドンが人気だった為に継承された要素なのですが、それが上手くヒットしたのか巨大ロボ戦は戦隊シリーズにおける文法の一つとして定着していきます。
そしてこれが一番大きいのですが、やはり正義の味方五人の型破りなキャラクター。
本作の五人は肩書きこそ国際組織所属ですが、その実態はエゴスが絡まなければパチンコやディスコパーティーなどに興じているその辺の若者です。
しかも一度は五人全員ゲームに現を抜かして敵を甘く見たせいで負けてしまいます。
一番真面目と思われるバトルジャパンですら普段は割と剽軽でお茶目な一面も見せています。
こうした普段の若者としての等身大な感じは後の「ジェットマン」「カーレンジャー」「メガレンジャー」「タイムレンジャー」などの90年代戦隊により洗練された形で継承されており、シリーズが黎明期だったからこそ出来た設定という感じです。
とはいえ決しておちゃらけてるだけではなく、中盤で起こった初代ミスアメリカとバトルコサックの退場劇は凄まじいものがあり、特にバトルコサックはスーツ不携帯だったせいで敵組織の兵士に銃で蜂の巣にされて死んでしまうという、実に残酷な描写があるのです。
歴代でも中々こういうトラウマになる描写はなく、初期の上原正三の黒さが爆発しています。
そんな予想外の魅力に溢れた本作ですが、やはりシリーズとしての位置づけはまだまだ荒削りな要素が目立つ「佳作」であり、次作「デンジマン」に繋いでいくための試金石をここで培ったという過渡期の作品ですね。
90年代だと「メガレンジャー」に近いかもしれません。