はっちゃん、またね 多発性骨髄腫とともに生きた夫婦の1094日

はっちゃん、またね 多発性骨髄腫とともに生きた夫婦の1094日のレビュー・評価・感想

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はっちゃん、またね 多発性骨髄腫とともに生きた夫婦の1094日
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夫婦が力を合わせて闘病する姿に感動。

ロックバンドバンド「THE GOOD-BYE」でベースボーカルをしていた加賀八郎と、漫画家である池沢理美先生の闘病記です。
多発性骨髄腫を発症した夫を献身的に支えていく姿が印象的なのですが、死が近づいてくる恐怖や戸惑い、日に日に弱っていく姿を目の当たりにした時の妻の心境がダイレクトに突き刺さります。
当たり前のことながら、加賀八郎さんの思いや心境は深く書かれていないのですが、そこにもリアリティがあり、遺された側の切実な想いに心を打たれました。
発症した直後は「病気になんて負けないぞ!」と前向きな姿勢を見せていた方が、辛い治療に耐え続けて「もういいよね。俺、もう頑張ったよね」と言った瞬間、涙が溢れました。
いつ誰がどこで命を失うのかは誰にも分かりません。
パートナーはもちろん、自分の親や子ども、自分自身がもし病気になった時、こんな風に頑張ることが出来るのだろうか。ここまで生にしがみついて病気と闘うことが出来るのだろうか。死んだあとはどうなるのだろうか。遺された側になったとき、その先をどうやって生きていくのか。
読み終わったあと、いろんなことを深く考えさせてくれる漫画であり、改めて周りの人達に感謝することが出来たり大切にしていこうと思える作品でした。