夢中さ、きみに。

『夢中さ、きみに。』とは、2019年8月10日に『ビームコミックス』(KADOKAWA)から刊行された、和山やまによる短編漫画集である。この作品は、2019年2月17日に東京ビッグサイトで開催された同人誌即売会の「COMITIA127」で頒布された同人誌である。それが『月刊コミックビーム』の編集者の目に止まり書籍化の運びとなった。2020年に「第23回文化庁メディア芸術祭」のマンガ部門で新人賞と「第24回手塚治虫文化賞」の短編賞を受賞した。
物語は中高一貫校の男子校に通うつかみどころのない林美良(はやしみよし)と、別の高校に通う逆高校デビューをした二階堂明(にかいどうあきら)を中心とした高校生の日常が描かれている。
テレビドラマは2012年1月から5話完結で放送され、林美良役を大西流星、二階堂明役を高橋文哉が演じた。また2021年3月7日に朗読劇がYouTubeで配信され、目高優一(めだかゆういち)役を梶裕貴、二階堂明役を小野賢章が演じた。

夢中さ、きみに。のレビュー・評価・感想

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夢中さ、きみに。
10

独特の雰囲気に癒されたい人におすすめです

2019年に発売されて一躍話題になった和山やま先生の「夢中さ、きみに。」。作品全体にある、独特のノスタルジックな雰囲気がとても素敵な作品です。「林」と言う少年の周りで起こる様々な出来事が主題になっているのですが、林くんが主人公然としているわけではないところが非常に不思議な物語です。
林くんの周りの人々が彼に関わっていくことで起こる、決して大きくはない日常の出来事をユーモアたっぷりに、ですが穏やかな空気感で描かれています。林くんは最後までミステリアスなキャラクターですが、少しずつ彼の持ち味が見えるところに可愛らしさや魅力を見つけることが出来て、とても惹かれるキャラクターとなっています。
所々に散りばめられているユーモアもとても独特な雰囲気があり、ついついクスッと笑いながら読み進めてしまいます。
WEBで話題になっていた同作者のシリーズ、「うしろの二階堂」も加筆されて収録されており、このシリーズに関しては描き下ろしの続編も収録されています。
こちらの作品も、元からファンだった人はもちろん初めて読む人もしっかり満足できる、心が満たされるものになっていました。二階堂くんと目高くんの魅力をより知ることができる続編でした。
高校生の、複雑だったりそうではなかったりする感情や関係性が好きな人には、ぜひおすすめの作品です。