迷宮入り探偵

迷宮入り探偵のレビュー・評価・感想

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迷宮入り探偵
9

謎が謎を呼ぶ、探偵ギャグ

この漫画は、推理物ではお約束のトリックや、動機の解明は一切行われません。なぜなら、主人公は事件の詳細を迷宮入りにする、『迷宮入り探偵』だからです。明かされるのは犯人だけ――。主人公に推理力がないので、毎回推理以外のあらゆる方法で犯人を当てようとするのがおもしろいです。適当な人を指差してみたり、ダウジングや降霊術を試してみたり。めちゃくちゃな方法でも、真犯人だけは必ず突きとめてしまう。それが、迷宮入り探偵です。そう、この漫画は、ミステリーではなくギャグなのです。基本的に1話完結の話なので、テンポよくサクサク読めると思います。また、回ごとに「犬●家の一族のような家」や、「犯人を追い詰める崖」などの推理物では”あるある”なシチュエーションが多く登場するため、推理物の作品をよく見る人はクスッとできる部分が盛りだくさんです。登場するキャラクターも、事件を担当する警部やコ●ン似の中学生探偵、収監中の連続殺人犯など、いかにもな人が次々出てきます。特に主人公の宿敵『殺人ピエロ』は、その名前と犯行のギャップがすごいので思わず笑ってしまいます。推理しない探偵ギャグ。ありそうでなかなかない話ですが、一度はまったらクセになると思います。推理物が好きな人、ギャグが好きな人、もしくは両方好きな人は、とりあえず1話読んでみたらいかがでしょうか。迷宮入りする事件の魅力にはまってしまうかもしれません。