満月をさがして

満月をさがして

『満月をさがして』とは、2002年から2004年まで種村有菜により『りぼん』に掲載されていた、ファンタジー漫画およびアニメ作品である。
喉の病気で余命わずかの少女満月が、死神タクトの力を借りて変身して歌手になるというストーリー。少女と死神の交流を描きながら生と死といったテーマも根底にあり、小中学生から大人まで幅広い人気を集めた。

満月をさがしてのレビュー・評価・感想

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満月をさがして
8

ただの変身アイドル物ではありません。

喉の病気で余命少ない12歳の少女、神山満月が、死神の力を借りて16歳に変身してアイドルになるというファンタジー漫画です。
全7巻という決して長くはない巻数なのですが、ストーリー展開や世界観のせいか20巻くらい読んだような気になってしまいます。
死神たちは可愛らしい見た目とは裏腹に様々な過去を抱えているし、生々しい大人の恋愛事情も出てくるし、これ本当に少女向け雑誌『りぼん』で連載していたの?と疑ってしまう程でした。
ただの変身アイドル物ではありません。満月も、ただ初恋の男の子との約束でアイドルを目指しているのかと思いきや、実は大きな秘密を抱えていて驚かされました。彼女の本心を知った時、その芯の強さに心を打たれます。何度も読み返しては、各所に散りばめられた伏線に唸りました。
人間と死神、本来では交わらないはずの者たちが交流を深めていくことで、世界が少しずつ変わっていきます。
根本には生と死というテーマがあり、キャラに感情移入して胸が苦しくなることもあります。
ですが最後はハッピーエンドで、少しだけ切なさが胸に宿り、そして心が温かくなる物語です。
アニメも放送されていましたが、終盤からの展開が大きく異なります。
子どもの頃にアニメだけ見ていた、という大人たちにも、是非読んでいただきたく思います。

満月をさがして
8

可愛い絵と練られたストーリーが最高

知る人ぞ知る、人気漫画家・種村有菜先生の作品です。2002年から約2年間りぼんで連載されていた作品です。
物語の主人公・神山満月は、想い人・桜井英知との再会を夢見て歌手を目指す少女。しかし喉の病気により大声で歌うことが出来なかった。そんな満月の前に死神のタクトとめろこが現れた。二人は1年後に死亡する彼女の死を阻止しようとする者を探すためにやってきたという。後1年の命なら…と満月はオーディションを受けたいとお願いする。タクトの変身能力を使って健康な16歳の姿に変身した満月は見事オーディションに合格し、素性を隠して「フルムーン」という名前で歌手デビューを果たす。

まず見ごたえの一つが種村先生の可愛い絵です。フルムーン時の衣装はもちろん、満月の時の12歳ならではの可愛い私服は憧れたものです。死神たちの衣装も(小児科ということで)動物の耳が付いていて可愛らしいです。
さらにそのストーリーも見どころの一つです。現在を生きている人と死神も含むすでに亡くなっている人が何かしらの関わりを持っていて複雑に絡み合います。よくこんなに複雑な人物関係を考えたなあと初めて読んだ時思いました。アニメも作られており、こちらは原作とは違った結末なので見比べてみてもいいかもしれません。