ザ・ファブル / The Fable / ざ・ふぁぶる

『ザ・ファブル』は、講談社の『週刊ヤングマガジン』にて連載された南勝久による累計発行部数2200万部の漫画。2014年から2019年まで第1部が連載された。その後、第2部が『ザ・ファブル The second contact』のタイトルで2021年から2023年まで連載された。映画は2019年に「小島編」の『ザ・ファブル』が岡田准一主演で公開された。さらに2021年に「宇津帆編」の2作目『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』が公開された。また、2024年春には日本テレビでテレビアニメ化が決まっている。主人公の佐藤明は寡黙な「殺しの天才」の今時の若者。闇の暗殺組織の「ボス」の命令により「殺し禁止」というルールのもと、大阪府太平市の一般社会に溶け込んでいこうと、抜群の記憶力を持つ相棒の「佐藤洋子」と新生活を始める。様々な凶悪事件に巻き込まれてしまうが、圧倒的な格闘の強さと拳銃の操作術で、仲間を救出して、事件を解決する。1つ目の物語は、出所したての凶暴な暴力団員「小島」との戦闘。2つ目は、表向きは子供の支援事業を行う好人物の悪人「宇津帆」との闘い。最後の3つ目は、同業の凶悪な暗殺者「山岡」との戦闘。「アザミ」と「ユーカリ」という2人の強力な部下が描かれた。2作目『ザ・ファブル The second contact』では、佐藤のグループと、謎の暗殺組織「ルーマー」との戦闘が軸となっている。

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ザ・ファブル / The Fable / ざ・ふぁぶる
7

アクションよりも、人間ドラマを楽しもう!

映画化もされた話題作だが、いざ読もうと手にしたものの読み進められなかった人も多いかもしれない。
が、もし実際に映画を見てから漫画を読もうとしたという事は、そもそもその手のお話が好きなはず。
それを読まずに置くのはもったいない。

とはいえ、この作品のように緻密過ぎる絵柄はスピード感に欠けるものだ。
その意味ではこの作品もアクションシーンの迫力はイマイチな気がするのだが、話の流れとしては、実は殺しのシーンというのは本来そんなに派手なものではないよな〜と考えさせられる。

そしてその点は脳内補正に任せて、むしろ楽しみたいのは伝説の殺し屋、佐藤が他人を殺さずに一年大阪で過ごすための彼の涙ぐましい努力の部分だ。
殺さないどころか、一般人になり切ろうとわざと殴られたり、失敗したりを一瞬の計算でこなしている。
が、勘の良いものは違和感を持つ。
でも、我々一般人が考え付く範囲などはたかが知れているので、やはり本当の正体はとりあえず周囲には基本的にはバレていない。
その当たりのギャップが、緻密な絵柄ゆえに真面目なのにギャグ!の構造を強調していて笑いを誘うのだ。

佐藤の生来の真面目さは、少なくとも普通の生活では良い方に彼と彼の周囲の人々を巻き込んでいく。
本人には気づかれないように、佐藤はなんだかんだとずっと周囲の者を守り続けている。好き嫌いに関係なく、「明日もその人と会えたらいい」程度のニュートラルな気持ちで、それでも自分が関わる者の平穏な日々を守るのは簡単ではない。
そのために、当事者が知らない所でまた恐ろしいほどの非日常を佐藤は繰り返すことになる。
そんな日々の中でも、佐藤が周りの人々との絆を深めている様こそが、この作品の見どころだ。
絵柄は1巻も読めれば慣れるもの。
ぜひこのドラマを追いかけてみていただきたい。