蛍火の杜へ

2aRIKU4673のレビュー・評価・感想

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蛍火の杜へ
10

これは、私とギンの夏のお話

これは、人と人ならざるものの淡く切ない夏のお話。
こちらの作品は『夏目友人帳』で知られている緑川ゆき先生が夏目友人帳を連載する前に描かれた短編読み切りになります。
夏休みの時にだけ帰省できる主人公の蛍は6歳の時、遊んでいた山神の森で迷子になり、そこではじめて“人ではない”ギンと出逢い、助けて貰いました。そこから二人は心を通わせていきます。
蛍はギンは人に触れると消えてしまうと知り、何とかお互いに触れないようにしながら夏が来る度、思い出を重ねていきました。
毎年夏にしか逢えないという切なさと、お互いを思う気持ちが少しずつ強くなっていくにつれて、同じくらいもどかしい気持ちも強くなっていく、夏の淡い恋のお話です。
一般的な人間同士の恋のお話ではないのですが、それでも同じような、あるいは普通では味わえない恋のときめきや切なさが魅力的で、ドキドキしながら読むことができます。
漫画では約50ページ、アニメ映画では約30分のお話と少なめのボリュームですが、切ないながらも不思議と心が暖かくなるお話で、ずっと心に残る作品です。
また、緑川ゆき先生の世界観や魅力が詰まった原点の作品でもあるので、夏目友人帳がお好きな方や気になっている方は是非1度触れて頂きたいです。
日本の和風なお話が好きな方や、切ない恋のお話が好きな方にオススメです。