コレットは死ぬことにした

『コレットは死ぬことにした』は『花とゆめ』(白泉社)に2014年7号から2021年21号まで掲載された「幸村アルト」による少女漫画作品である。全20巻121話『花とゆめコミックス』から刊行。2018年4月に初のドラマCD付限定版発売。累計発行部数300万部を突破している人気コミックスである。
2022年1月販売の『ザ花とゆめ』3月号から「コレットは死ぬことにした-女神編-」の新連載が開始している。
物語は人間で薬師のコレットと冥王ハデスのハートフル神話ロマンスである。
薬師としてオーバーワークゆえ限界に達したコレットは、衝動的に職を放棄し井戸に飛び込む。目覚めるとそこは冥府へと繋がっていた。体調を崩していた冥王ハデスを薬師の使命感から半ば強引に治療し始め、地上と冥府を行き来することに。地上での出来事、冥府の住人や天空の神々との触れ合いを通してコレットとハデスは心を通わせていく。愛を育む2人が選ぶ道に、神と人間の時間軸の切なさが織り交じり感動のラストを迎える。馴染みのある神話の神々が登場しており、ファンタジー神話として楽しめる作品となっている。
新連載の「女神編」はコレットが女神ペルセポネに生まれ変わった後の結婚生活が描かれている。

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コレットは死ぬことにした
8

衝撃的なタイトルはフィナーレに

『コレットは死ぬことにした』は白泉社『花とゆめ』に2014年から2021年に掲載されていた、幸村アルトによる少女漫画。
薬師の主人公「コレット」が忙しすぎる毎日に嫌気がさし、つい魔が差して井戸に飛び込んでしまう。しかしなんと井戸は冥府と繋がっていて……。
冥府を統べる王の「ハデス」と出会い、彼の看病をすることでコレットは「死」や「生」を薬師としてより一層考えるようになる。
「死ぬことにした」という少し衝撃的なタイトルだが、中身はコレットの薬師としての「お仕事漫画」でもあり、ハデスとの「恋愛漫画」でもあり、そして生死についても考えさせられる、深い内容となっている。
そしてこの「死ぬことにした」というキーワードは、先ほど説明したコレットと冥府の繋がりだけではなく、フィナーレでも重要な意味を持つ。「ああ、こういうこと……!」と納得し、「最後まで読んでいてよかった!」と思えるため、20巻とボリュームのある作品だが一気読みにおすすめしたい作品。
なによりも可愛らしい冥府の住人とハデスをはじめとする面白い神々たち、そしてコレットと同じく薬師の仲間とその患者たちと、魅力的なキャラクターたちがいきいきと描かれており、きっと誰かに共感し、誰かを応援したくなる。そんな愛おしいキャラクターたちが紡ぐ、素敵な物語だ。