風をつかまえた少年 / The Boy Who Harnessed the Wind

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風をつかまえた少年 / The Boy Who Harnessed the Wind
10

学ぶ事と実践の大切さ

Netflixオリジナル映画です。アフリカのマラウイで必死に生きるウィリアム一家が主人公です。苦しい食糧事情はウィリアムも例外ではなく、彼の家庭も干ばつで大きな被害を受け、学校に授業料さえ納められなくなってしまいます。それでも試行錯誤し、姉の恋人を上手く利用しながら、独学で風力発電の研究を進めます。
知恵の力の大切さ、諦めない心の大切さがひしひしと伝わる映画です。
後半、「風力発電装置を使う為には、父の自電車を使わなければならない」と父に直訴するも激怒されてしまうシーンは、心が痛いです。父自身も必要な事であると理解しているのに最後の一歩が踏み出せない。このシーンは本当に鬼気迫る演技で名場面だと思います。しかし最後にはウィリアムの事を理解し、父自身の自転車を風力発電装置に使うことを許します。装置を作り起動させ、段々と水が畑に運ばれて流れて行くのと共に涙を流しながら抱き合う父とウィリアムのシーンは、涙無しには見られません。「“長い夜が明ける”とはこの事だ」と感じる場面です。
自伝をベースにした映画なのですが、是非原作も読んで下さい。もっと詳細に描かれており、より感情移入する事が出来ます。本当に近年稀に見る素晴らしい映画だと思います。