さんかく窓の外側は夜

『さんかく窓の外側は夜』とは、2013年4月号から2021年1月号まで『月刊MAGAZINE BE×BOY』(リブレ)に連載された、ヤマシタトモコによるミステリー漫画である。
物語は除霊師の冷川理人(ひやかわりひと)が、霊が見えることを恐れる書店員の三角康介(みすみこうすけ)を助手にして、除霊をしながら不可解な事件の謎を解き、連続殺人事件の謎を追う姿を描いている。
冷川が三角の体を使って除霊をする際に三角が失神するほど快感を得る様子は、少女漫画でありながらもBL漫画を彷彿させる。その他に呪い師の非浦英莉可(ひうらえりか)や占い師の迎系多(むかえけいた)などが登場し、能力を持つ者の生きづらさも描いている。
2021年1月22日には実写映画が公開され、冷川役を岡田将生、三角役を志尊淳が演じた。この映画は当初2020年10月30日公開だったが、新型コロナウィルス感染症の影響で延期となった。テレビアニメは2021年10月から12月まで放送された。また2017年8月10日から9月18日まで、体感型ホラー謎解きゲームがアニメイト各店舗で開催された。

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さんかく窓の外側は夜
8

『さんかく窓の外側は夜』を見てきました

映画を見ている最中に感心するような作品は意外と珍しく、「これを見終わったらお昼何食べよう?」など、どこか現実を意識しながら見てしまうことが多い。しかし、この映画はオープニングの映像の意味が分かったとき鳥肌が立ちそうになり、ラストシーンまで現実のことを考える暇もなかった。BL作品やホラー、ミステリー、SFなどそういう枠で括ってはいけないと思う。思考に迫ってくるものがあった。映画ならではの色彩や動きが付くことの良さと、小説や漫画の読了後にストーリーの意味を悟ることで感じる衝撃が融合されて、映画でも漫画でもない作品を作っていた。映像化は大正解だった。
映画中の表現としては、半澤の「信じているもの」が見つかった瞬間と、最後のシーンでエリカの腕に呪いが走るワンカットにゾクリとした。
また、呪いの描写が鮮血ではなく黒くてドロっとしたもので表現しているのが、おぞましさを助長させていたように思う。
場面転換も自然で「作られたもの」感がなく、リアルに思えた。殺人シーンはかなりグロテスクな描写もあり、暗いシアターの中で見るとなかなか怖いが、「もう一度見たい」と思ってしまうような映画。
公式が紹介している感想の中に、石崎ひゅーいの「一つしかのぞき穴が無い万華鏡を、誰かと一緒にのぞく事ができたら」というのがあるが、核心をついている素敵な言葉だと思った。孤独と過去にどう向き合うか、考える機会を与えてくれる。